若者の朝食欠食を改善するには「性差」の視点が重要 肥満や学業成績、世帯収入とも関連 韓国5万5千人の横断調査
世界的に増加している若年者の朝食欠食の関連因子を、性差に焦点を当てて検討した結果が報告された。健康関連変数が朝食欠食と関連していること、および、性別と身体活動、性別と健康状態の自己認識に、有意な交互作用がみられるという。韓国の中高生約5万5,000人対象の横断調査のデータ解析から明らかになった。

若年者の朝食欠食は世界共通の課題
朝食の摂取は1日を通じた食欲のコントロール、適切な体重管理、心血管代謝リスクの低さと関連があり、朝食欠食は非健康的な生活習慣および生活習慣病、就学者における学業成績不良、メンタルヘルス不良と関連すると報告されている。それにもかかわらず、朝食欠食の頻度が世界的に増加しており、例えば本研究が行われた韓国の学校保健統計では、2013年時点の朝食欠食者は26.4%であったものが、2024年には42.45%となっていたという。
これまでの研究により、若年者の朝食欠食には、身体的・精神的健康関連因子や社会経済的因子など、さまざまな因子が関与していることが示されてきている。また、若年者の食生活の性差についても多くの知見が蓄積されてきている。しかし、本論文の著者は、思春期の若者の朝食摂取について、性差に焦点を当てた研究はほとんどないとしている。
これを背景として、韓国青少年リスク行動調査(Korean Youth Risk Behavior Survey;KYRBWS)のデータを用いた解析が行われた。KYRBWSは2005年から毎年実施されている中高生(14~19歳)対象の匿名自記式オンライン調査で、本研究では第20回(2024年)調査のデータが用いられ、解析対象者数は5万4,653人(男子51.4%)だった。
韓国青少年リスク行動調査から浮かび上がる若年者の朝食欠食に関連する因子
朝食欠食は、性別、年齢、肥満、世帯収入、学業成績などと関連
朝食欠食習慣は、1週間での朝食摂取回数が4回以下の場合と定義。その結果、朝食欠食者が過半数(50.1%)に及んだ。朝食欠食習慣の有無で二分し比較すると、以下のような有意差が認められた(すべてp<0.001)。
男子は朝食の摂取者(27.0%)が欠食者(24.4%)よりも多かったのに対し、女子は欠食者(25.7%)が摂取者(22.9%)より多かった。年齢が高いほど欠食者が多いという有意な傾向性がみられ、とくに17歳、18歳に欠食者の割合が高かった。また、高校生は中学生よりも欠食が多かった。
肥満(BMI 25以上)を有する生徒も朝食欠食習慣が有意に多かった。家庭の経済状態が良くないほど朝食欠食習慣が多いという関連も有意だった。学業成績も有意に異なり、成績が低い生徒に朝食欠食が多かった。居住形態(家族と同居/独居)との関連も有意であり、独居者より同居している生徒のほうが欠食者の割合が高かった。
身体活動および健康状態の自己認識と朝食欠食との関連は男女で異なる
次に、朝食欠食を従属変数、性別、身体活動、睡眠満足度、ボディーイメージ、健康状態の自己認識などの健康関連変数を独立変数とするロジスティック回帰分析を実施。年齢、BMI、学年、世帯収入、居住形態などの社会人口統計学的因子は交絡因子として調整した。その結果、独立変数として設定した健康関連変数は、すべて朝食欠食に有意な関連があった。例えば、性別(女子)は正の関連があり(オッズ比〈OR〉1.114〈95%CI;1.064~1.166〉)、身体活動(OR0.974〈0.965~0.983〉)と睡眠満足度(OR0.886〈0.870~0.901〉)は負の関連が認められた。
続いて、それらの健康関連変数と性別の交互作用も含めた解析を実施。すると、性別×身体活動(OR1.0217〈1.002~1.040〉)、および、性別×健康状態の自己認識(OR1.056〈1.021~1.102〉)という二つの交互作用が、有意な関連因子として抽出された。つまり、身体活動と朝食欠食との関連、および、健康状態の自己認識と朝食欠食習慣との関連は、性別によって異なることが示唆された。
メンタルヘルスも朝食欠食に独立して関連
メンタルヘルスも、朝食欠食習慣に独立して関連することがわかった。
朝食欠食を従属変数、性別、悲しみと絶望感、自殺念慮を独立変数とし、前記同様の交絡因子を調整したロジスティック回帰分析の結果、性別のほかに、悲しみと絶望感が有意な正の関連因子として抽出された(OR1.255〈1.202~1.309〉)。自殺念慮は独立した関連が認められなかった。
なお、性別との交互作用も含めた解析からは、有意性は認められなかった。
加糖飲料、ファストフードの摂取頻度も朝食欠食に独立して関連
最後に、加糖飲料やファストフードの摂取頻度との関連が検討された。
上記同様の解析の結果、性別のほかに、加糖飲料の摂取頻度(OR1.018〈1.031~1.032〉)、ファストフードの摂取頻度(OR1.026〈1.016~1.037〉)はいずれも、有意な正の関連因子として抽出された。
なお、性別との交互作用も含めた解析からは、有意性は認められなかった。
思春期世代の朝食欠食習慣の修正には、性別の考慮が必要
以上一連の結果に基づき著者は、「韓国の若者の朝食摂取頻度が社会人口統計学的特性によって異なるというエビデンスが得られた。思春期世代の朝食欠食に対しては、身体的健康、精神的健康、および食習慣を考慮した包括的なアプローチが必要なことが示唆される。とくに、男女で異なるアプローチを用いることが重要と考えられる」と述べている。
また、「本研究の特筆すべき発見」として、性別と健康関連変数との間に有意な交互作用が認められたことを挙げ、「若年者の健康における規則的な朝食摂取の重要性はすでに広く知られているが、性差についてはこれまでほとんど注目されてこなかった。本研究の知見は、性別に応じた効果的な栄養介入策の開発に貢献し得るのではないか」としている。
文献情報
原典論文のタイトルは、「An Exploration of Adolescents’ Breakfast Skipping Focused on Gender Difference」。〔Nutrients. 2026 May 7;18(10):1487〕
原文はこちら(MDPI)







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