スマホの長時間利用は摂食障害リスクと関連 系統的レビューに基づくナラティブシンセシス
スマートフォンの使用が摂食障害の精神病理または摂食障害症状と関連しているとする、システマティックレビューの結果が報告された。著者らは、問題のあるスマホ使用(PSU)による食習慣への負の影響に対する早期介入の重要性を指摘している。

問題のあるスマホ使用「PSU」は摂食障害のリスクも高めるのか?
スマートフォンは既に人々の生活に欠くことのできない存在になりつつあり、仕事やコミュニケーション、個人と社会とのつながりを根本的に変えてきた。その変化の多くは生産性の向上や交流の拡大など、前向きなものと評価できるが、一方で健康面への負の影響が生じていることも指摘されるようになってきている。現在では、健康面ほかにリスクが生じる得るスマホ使用を「問題のあるスマホ使用(problematic smartphone use;PSU)」と呼ぶこともある。
PSUによる影響として、例えば、スマホに執着して使用する時間や場面を自分でコントロールできなくなること、自動車運転中の使用、座位行動の増加と身体活動量の低下、首や肩のこり、睡眠障害、孤立・孤独感、不安、抑うつなどが挙げられ、また、摂食障害との関連を示唆する報告も増えている。
摂食障害は、典型的な場合、思春期や青年期に発症し、生涯リスクは女性8.4%、男性2.2%という報告がある。ただしこれは臨床サンプルでのデータであり実態を過小評価しているとの指摘もあって、非臨床サンプルも含めた場合、成人の31%が何らかの摂食障害症状を経験するというデータもある。
PSUと摂食障害の関連については、痩身を強調したソーシャルメディアのコンテンツに触れることによるボディーイメージのゆがみなどが関与するとの指摘もあるが、いまだ十分に検討されていない。このため今回取り上げる論文の研究では、システマティックレビューの手法により、PSUと摂食障害の精神病理および摂食障害関連症状との関係を調査した。また、副次的にその関連の媒介因子の探索も行っている。
文献検索について
システマティックレビューとメタ解析の推奨報告項目(PRISMA)ガイドラインに則して、PubMed、Embase、Web of Scienceという3種類の文献データベースを用いた検索を、2025年9月26日に実施。包括基準は、スマホ関連の研究報告が出現し始めた2011年以降に収載され、PSUと摂食障害の精神病理または関連症状との関係を定量的に検討し、査読システムのあるジャーナルに英語で公開されている論文とされた。除外基準は、PSUや摂食障害の状態を定量的に評価していない報告、総説、レビュー、エディトリアル、学会報告、学位論文、書籍など。
一次検索で3,002報がヒットし、重複削除後に2名の研究者が独立してスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は討議または、他の3名の研究者チームの裁定により解決した。340報を全文精査し28件の研究報告を適格と判断。それらの論文の参考文献のハンドサーチにより7件を追加し、最終的に計35件を抽出した。
解析対象研究の主な特徴
35件の研究は、トルコと中国で各9件実施され、米国で4件、ドイツ3件、スペイン2件で、その他の国から1件ずつ報告されていた。日本からの報告は含まれていない。
サンプルサイズは86~1万246の範囲で、合計5万2,584人であり、多くは青年および若年成人を対象とし、学校や大学で募集されていた。臨床現場で行われた研究(摂食障害と診断されている患者対象の研究)は限られていた。
研究デザインは大半(32件)が横断研究であったが、縦断研究、無作為化比較試験、コホート研究が各1件存在した。摂食障害の評価には、摂食態度テスト(Eating Attitudes Test;EAT)が多用され、PSUの評価にはスマートフォン依存度尺度(Smartphone Addiction Scale;SAS)が多用されていた。
なお、本研究ではデータのメタ解析はされておらず、ナラティブシンセシスとして検討されている。
問題のあるスマホ使用(PSU)は摂食障害と関連がある
解析対象とされた35件の研究の全体として、PSUスコアが高い(問題のあるスマホ使用が多い)人ほど、摂食障害の精神病理のスコアが高い傾向があり、弱~中程度の正相関が認められた。この結果は、年齢層や国を問わず、ほぼ一貫していた。また、1日のスマホ使用時間が長いほど、とくに7時間を超える場合に、摂食障害の精神病理スコアが高いという傾向が一貫してみられた。
摂食障害の関連症状との関係についても、大半の研究がPSUスコアの高さが、より深刻な状態(例えばコントロール不能な摂食、感情的な過食など)、およびボディーイメージの不満との関連を報告していた。ただし、スクリーンタイムとボディーイメージの不満との関連については、研究により異なっていた。
エビデンスの質の評価結果は、多くが「確実性が低い」と判定された。
PSUと摂食障害の媒介因子
PSUとEDの精神病理の関係の媒介因子として、最も頻繁に報告されていたものは、感情調節の困難さや不安、抑うつ症状など、否定的な感情の増加に関連することだった。
PSUは、痩身や体型に関するコンテンツへの接触を能動的または受動的に増加させ、否定的感情につながる可能性があり、摂食障害症状のリスクを高めることが示されていた。また、夜間のスマホ使用は睡眠の質を低下させる可能性があり、睡眠障害を介して摂食障害リスクを高め得ることも指摘されていた。
著者らは、「臨床集団を対象とした研究が少ないため、これらの結果は非臨床集団(摂食障害と診断されていない人)にのみ一般化できる。PSUやスマホの使用時間の長さが摂食障害のリスクおよびその重症度に及ぼす影響の理解を深めるために、臨床集団を含めたさらなる縦断的研究が必要とされる」と述べている。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Associations of Problematic Smartphone Use and Smartphone Screen Time With Eating Disorder Psychopathology in Non-Clinical Samples: A Systematic Review」。〔JMIR Ment Health. 2026 Mar 9:13:e88572〕
原文はこちら(JMIR Publications)







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