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食事の質が高いアスリートほど睡眠の質も良好 イランのプロアスリート340人を解析調査

イランのプロアスリートを対象に、食生活と睡眠との関連を横断的に調査した結果が報告された。食生活の評価スコアが低いアスリートは睡眠の質が低いという有意な関連が示されている。また、重回帰分析から、食生活スコアは睡眠の質低下の独立した関連因子であることがわかったという。

食事の質が高いアスリートほど睡眠の質も良好 イランのプロアスリート340人を解析調査

食事と睡眠の関連をハイレベルアスリートで検証

近年、心身の健康や記憶・認知機能における睡眠の重要性を示すエビデンスが増加してきており、またスポーツの領域では睡眠時間や睡眠の質が、怪我のリスクやストレス状態、競技パフォーマンスに関連する可能性が示唆されている。

一方、栄養や食習慣と睡眠の質との関連についても、さまざまな知見が報告されてきている。例えば地中海食の遵守は睡眠の質の高さと関連し、炎症惹起性の高い食習慣は睡眠の質の低下と関連するといった報告がある。しかし、食事と睡眠の関連の研究は、大半が非アスリート集団を対象に行われており、アスリートの食習慣と睡眠との関連についてはまだエビデンスが蓄積されていない。とくに今回紹介する論文の研究が行われたイランでは、そのような視点で行われた先行研究がないという。

これを背景に本論文の著者らは、同国のプロアスリートを対象とする横断研究を実施した。

イランのプロアスリート340人を対象に横断的検討

この研究は2024年1~6月に実施された。イランのスポーツ連盟に加盟しているクラブのコーチやチーム管理者を通じて、プロアスリートを募集。プロアスリートの定義は、組織化された競技環境でチームやクラブに所属していることとして、管理者から提供された競技成績を参照して判断された。その他の適格条件は、年齢が18~29歳、有資格のコーチの下で週に10時間以上トレーニングを行っていることとし、妊娠・授乳中、慢性疾患の既往などに該当する場合は除外した。

当初450人が登録され、上記の基準を考慮し110人を除外。340人を解析対象とした。

評価項目について

栄養素摂取状態や食習慣の評価にはアスリート食事指数(Athlete Diet Index;ADI)のイラン語版を用い、睡眠の質の評価にはピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)のイラン語版を用いた。また、国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)を用いて日常の身体活動量を評価した。

アスリート食事指数(athlete diet index;ADI)

ADIは自己申告式の指標で、最高スコアは125点。食事の質を「コア栄養素」「特定栄養素」「食習慣」という3領域で評価するように設計されている。

コア栄養素サブスケールでは、果物、野菜、穀物、乳製品とその代替品、高タンパク質食品など、アスリートに推奨される主要食品群の通常の摂取量を評価。特定栄養素サブスケールでは、脂肪酸、抗酸化物質、カルシウム、鉄など、運動パフォーマンスと回復に特に重要な栄養素の摂取量を評価。食習慣サブスケールでは、食事の規則性、1日を通しての食事バランス、運動前後の栄養摂取習慣など、食習慣と行動を評価する。

ADIスコアが高いほど、アスリート対象食事ガイドラインへの遵守度が高いことを意味する。

ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI)

PSQIのスコア範囲は0~21点で、スコアが高いほど睡眠の質が低いことを意味する。スコアが5を超える場合に、臨床的に重要な睡眠障害と判定する。

食事の質が低いほど睡眠の質が低く、食事の質が睡眠の質に独立して関連

解析対象者340人は、年齢20.4±3.3歳、男性76.8%、BMI 22.4±3.6、週あたりの身体活動量3,845.5±2,399.7MET-分/週であり、74.4%が団体競技、25.6%が個人競技に参加していた。

アスリート食事指数(ADI)は平均72.8±16.0であり、50.0%は推奨レベルの範囲内、35.9%が推奨レベル未満であり、14.1%は推奨レベル範囲を上回っていた。ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)は平均5.3±2.0であり、45%はスコアが5を超え睡眠の質が低いと判定された。

PSQIはADIと逆相関する

アスリート食事指数(ADI)とピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)の相関を検討した結果、両者は有意に逆相関することがわかった(r=-0.583、p<0.001)。

ADIのサブスケールごとにみると、コア栄養素サブスケール(r=-0.539)と特定栄養素サブスケール(r=-0.507)の二つは、PSQIスコアとの有意な逆相関が認められ(いずれもp<0.001)、食習慣サブスケールは有意な相関が認められなかった(r=-0.089、p=0.102)。

ADIはPSQIに独立して関連する

次に、PSQIスコアを従属変数、ADIのサブスケールスコア、および、年齢、性別、BMI、競技種目、教育歴、婚姻状況を独立変数とする重回帰分析を実施。その結果、ADIのサブスケールのうち、特定の栄養素サブスケールが最も強い関連因子(β=-0.238)として特定され、次いでコア栄養素サブスケールが強い関連因子(β=-0.299)であった(いずれもp<0.001)。その他の因子はPSQIスコアとの独立した関連が示されなかった。

なお、多重共線性の懸念は認められず、また、PSQIスコアの分散の26.6%をADIで説明できることが明らかになった(調整済みR2=0.269)。

著者らは、本研究が横断研究であるため、「明らかになった関連性は慎重に解釈する必要があり、因果関係の推論が制限される」としたうえで、「イランのプロアスリートでは、食事の質、とくにコア栄養素と特定の栄養素の摂取量が睡眠の質と有意に関連していることが明らかになった。これらの結果は、アスリートの睡眠の健康と回復において、食事の質全般が重要な役割を果たす可能性を示唆している」とまとめている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Associations between the athlete diet index and sleep quality in Iranian professional athletes: a cross-sectional study」。〔BMC Sports Sci Med Rehabil. 2026 Apr 1〕
原文はこちら(Springer Nature)

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