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生後18~23カ月のBMI変化を加味した小児過体重リスク予測モデルの提案 TMM三世代コホート調査

母子手帳や乳幼児健診の記録および母親のBMIなどから、小児期に過体重(BMI Zスコア1超)となるリスクを予測可能なモデルが開発された。14歳時点の過体重リスクの予測能(AUC)は約0.7に達するという。東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門の篠田元気氏らが、同機構による三世代コホート調査のデータを用いて行った研究の結果であり、「Children」に論文が掲載された。

生後18~23カ月のBMI変化を加味した小児過体重リスク予測モデルの提案 TMM三世代コホート調査

小児期までの過体重リスク予測モデルを開発

子どもの肥満は小児期において2型糖尿病などの生活習慣病のリスクとなるばかりでなく、肥満が成人期に移行し、心血管代謝疾患等のリスクの高い状態が生涯にわたる可能性のあることが知られている。例えば、2歳時点で過体重の場合、成人肥満のリスクが2.7倍というデータが報告されている。よって小児肥満に対する早期介入の重要性が指摘されており、かつ小児肥満のリスク因子の特定も急がれている。

既に、機械学習などを用いて体重増加のリスクを予測するモデルが複数提案されてきているが、いずれも予測対象期間が限られている、あるいは乳幼児期での体重変化という入手可能なデータを利用していないといった点で課題が残されている。また、機械学習のアプローチには過学習のリスクがあり、モデル作成に用いたデータでは高精度の予測能を発揮するが他のデータセットでは予測能が低下してしまうことがある。

これらを背景として篠田氏らは、東日本大震災被災地の復興に取り組むために発足した東北大学東北メディカル・メガバンク機構による三世代コホート調査のデータを用いて、機械学習アプローチではなく従来のロジスティック回帰アプローチにより、小児期までの過体重リスクを予測し得るモデルの開発を試みた。

予測モデルの開発方法

モデル開発には、同調査に参加している2013~17年に宮城県内の産科医療機関にて受診した妊婦から出生した9,459人のうち、データ欠落や研究参加同意の撤回などを除外した1,581人の子どものデータが用いられた。除外された群は解析対象群よりやや若年であったが、特徴は概ね類似していた。

予測モデルは以下の2種類が作成された。なお、両モデルとも開発に際して、全データの70%をトレーニング用、30%を検証用にあてられた。また、子どもの過体重はBMIのZスコアが1を超過している場合と定義し、出生時、18~23カ月、36~47カ月、6歳、11歳、14歳の時点で評価した。

モデル1は、子どもの性別、18~23カ月時点での過体重、および、出産時点の母親の年齢、出産回数(初産婦か経産婦か)、母親のBMI、妊娠時の喫煙・飲酒習慣の記録を用いて開発された。モデル2は、モデル1のすべての因子に加え、子どもの出生体重、出生から18~23カ月までのBMIの変化も採用した。

幼児期のBMIの変化も考慮することで、小児期の過体重リスクを高精度で予測可能

18~23カ月時点で、327人(20.7%)の幼児が過体重に該当した。

普通体重群に比べて過体重群は出生体重が重く(3,046.8 vs 3,169.7kg)、出生から18~23カ月までのBMIの増加が大きく(3.4 vs 5.2kg/m2)、母親がやや若い(27.0 vs 26.5歳)という有意差が認められた。また、母親の妊娠時の平均BMIは両群ともに高くはないものの、子どもが過体重群の母親のほうがやや高値だった(20.3 vs 21.1kg/m2)。

その後の成長段階の各時点における過体重の子どもの割合は、18~23カ月時点で過体重であった群のほうが一貫して高く、各時点で有意差が観察された。例えば14歳時点での過体重の割合は、18~23カ月時点で過体重でなかった群は11.3%であるのに対して、同期間に過体重であった群は26.6%だった。

各成長時点での過体重に関連のある因子

多変量解析により抽出された、各時点で過体重であることと独立して有意な関連のある因子は以下のとおり。

36~47カ月時点での過体重の関連因子
18~23カ月時点の過体重(オッズ比〈OR〉4.54)、出生体重(OR6.19)、出生から18~23カ月までのBMIの変化(OR1.72)、母親が妊娠時の喫煙習慣(OR2.50)。
6歳時点での過体重の関連因子
18~23カ月時点の過体重(OR2.88)、母親が妊娠時のBMI(OR1.26)。
11歳時点での過体重の関連因子
18~23カ月時点の過体重(OR1.90)、母親が妊娠時のBMI(OR1.22)、母親が妊娠時の飲酒習慣(OR1.82)。
14歳時点での過体重の関連因子
18~23カ月時点の過体重(OR2.56)、出生体重(OR1.80)、母親が妊娠時のBMI(OR1.18)。

モデル2は36~47カ月の過体重をAUC0.87で予測し、14歳の過体重もAUC0.69

次に、これらの因子を用いて開発されたモデルの予測能が検討された。

その結果、モデル1による、36~47カ月、6歳、11歳、14歳の時点の過体重の予測能(AUC)は、0.820、0.749、0.719、0.679であり、モデル2では同順に0.873、0.772、0.720、0.692となった。10分割交差検証により、小児期全体にわたり予測誤差が少ないことが確認された。

小児の過体重・肥満リスクに対する早期介入へ向けて

著者らは、本研究の限界点として、14歳以降の予測能が不明なこと、外部データを用いた検証を行っていないことなどを挙げたうえで、「生後18~23カ月の成長記録を用いることで、小児期の過体重リスクを中程度以上の精度で予測できることが明らかになった。このような手法により肥満リスクの高い子どもをより早期に見いだし予防的な介入を行うことが、生涯にわたる健康リスク低減につながるのではないか」と総括している。

なお、モデル1と2のAUCを比較すると、6歳までの過体重に対する予測能は、生後18~23カ月のBMI変化を用いることで顕著に高くなるのに対して、11歳以降ではAUCの差が少なかった。この点については、「幼児期と青年期の過体重・肥満の関連因子に基本的な違いがあり、成長とともに生活習慣や環境曝露などの複雑な相互作用の影響が強まるのではないか」との考察が加えられている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Routine Life-Course Health Records in Infancy Predict Being Overweight in Childhood and Adolescence: The TMM BirThree Cohort Study」。〔Children (Basel). 2026 Feb 26;13(3):334〕
原文はこちら(MDPI)

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