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アスリートたちの健康とパフォーマンスの向上を目指しスポーツ栄養学の礎を築く『大学時報』SNDJ鈴木志保子理事長インタビューを公開

一般社団法人日本私立大学連盟が発行する『大学時報』最新号(2026年1月発行 No.426)に、公立大学法人神奈川県立保健福祉大学大学院保健福祉学研究科研究科長であり、一般社団法人日本スポーツ栄養協会・鈴木志保子理事長のインタビュー記事が掲載されましたので一部抜粋しご紹介いたします。同誌は、私立大学の先進的な取り組み、高等教育の動向、課題、最新情報をとりあげる専門情報誌で今年創刊70周年を迎えます。インタビューの聞き手はフリーアナウンサーで大正大学表現学部表現文化学科教授の外川智恵さん。メッセージ動画と併せてご覧ください。

アスリートたちの健康とパフォーマンスの向上を目指しスポーツ栄養学の礎を築く『大学時報』SNDJ鈴木志保子理事長インタビュー

健康の3原則に深く関わるスポーツ栄養学

外川 2008年に開催された北京オリンピックで、女子ソフトボール日本代表チームが金メダルの栄冠に輝きました。その時、アスリートの皆さんの栄養管理を手掛けていたのが、今回お話を伺う鈴木志保子先生です。最初に先生の専門分野を教えていただけますでしょうか。

鈴木 アスリートや普段の身体活動量が多い一般の方を対象とした、スポーツ栄養学が専門です。特にアスリートに関しては、栄養学の知見を基にパフォーマンスを向上させることが大きな目的の一つです。「健康の3原則」は、栄養・運動・休養といわれますが、スポーツ栄養学はそのうちの栄養と運動に関連することから、健康の維持にも寄与します。

外川 スポーツ栄養学はまだ新しい学問分野だそうですね。

鈴木 約100年前にアメリカで「スポーツニュートリション」というタイトルの論文が発表されました。そして、1964年の東京オリンピックの開催前に、「スポーツ栄養」という言葉でその概念が日本に伝わってきたのです。しかしそれ以降、しばらくの間その概念が表舞台から姿を消してしまうのですが、80~90年代ごろになって耳び「スポーツ栄養」が注目されるようになりました。

「スポーツ栄養」は当初、タンパク質やビタミンB群といった栄養素をサプリメントで摂取することを推奨するような学問として捉えられていましたが、2000年前後に「やはり食事が重要なのではないか」という考え方が広まり、スポーツ栄養を栄養管理として考える方向にシフトした経緯があります。

外川 概念自体は100年前からあったにもかかわらず、なかなか世の中には定着しなかったのですね。

鈴木 私は、前職の鹿屋体育大学に勤めていた時期に、日本スポーツ栄養研究会という組織を立ち上げました。その後、会長を務めながら組織を拡大し、現在は日本スポーツ栄養学会となっています。スポーツ栄養学に携わるアカデミアを強化していきたいと考え、活動を続けてきました。

外川 日本におけるスポーツ栄養学の確立を、自ら主導されたのですね。その背景にはどのような思いがあったのでしょうか。

鈴木 私は大学時代に管理栄養士の資格を取ったのですが、当時は、栄養管理は気になった人に対してするものという考え方が一般的で、スポーツにおける栄養管理の重要性が認識されていませんでした。そのため、スポーツ栄養学の意義を広く伝え、そうした状況を変えたいと思ったのです。近年では、オリンピック・パラリンピックでアスリートが活躍するたびに、管理栄養士が栄養サポートしたことをメディアでも取り上げるようになりました。また、国立スポーツ科学センターにも栄養部門が設けられるなど、スポーツ栄養学の必要性が広く認められています。

現場に立ち続けるからこそ伝えられることがある

アスリートたちの健康とパフォーマンスの向上を目指しスポーツ栄養学の礎を築く『大学時報』SNDJ鈴木志保子理事長インタビュー

外川 先生は現在、公認スポーツ栄養士としてどのような活動をされているのでしょうか。

鈴木 日本パラリンピック委員会の強化本部員として、基本的に全競技の状況を確認して、さまざまなアドバイスをしています。個人としては、駅伝の実業団チーム、車いすバスケットボールの代表チーム、プロゴルファーなどのアスリートの栄養管理を担当しています。

外川 大学教育に携わる一方で、現場にも積極的に立ちけているのですね。

鈴木 現場に立つことはやめられません。現場から離れてしまったら、今までの経験を基にしたことしか伝えられなくなります。現場にいる人間から出る言葉と、そこを離れた人間から出る言葉は全く違うと思います。また、現場での仕事を通じて、新しい研究のタネを見つけたり、自分の研究結果や考え方が間違っていないか確かめたりという意味合いも大きいですね。

外川 現場での経験が教育に生かされているのですね。

鈴木 公認スポーツ栄養士として活動している中で、たくさん失敗もしてきました。でも、この世界はトライ&エラーです。エラーを恐れていては、トライできません。大学で教えていると、失敗を怖がる学生がとても多いことが気になります。

外川 よく分かります。失敗したことを言い出せない学生が多いことも気になります。

鈴木 学生がつまずいた時に「転ばぬ先の杖」をつかせてしまうと、その後のもっと大きなつまずきで転んでしまうことの方が怖いと思います。ですから、学生がつまずいた時は、彼らが答えを出すまで何も言わず、じっと待ちます。そうすると学生は考える。その結果、いいアイデアが出てくるものなのです。

外川 あえて「教えない」ということも、大学教育では大切なのかもしれませんね。先生の中で今の大学教育に対して求めることはありますか。

鈴木 現在の大学は、文部科学省の方針で学修者本位の在り方になっています。しかし、学修者によってモチベーションの高さは違います。大学全入時代が本格化してきた今、学修者本位の在り方を続けるには、学生の意欲を高める体制がないと、大学の存在意義が揺らぐことになるのではないかと懸念しています。

外川 最後にスポーツ栄養学の先駆者として、今後、取り組んでいきたいことを聞かせていただけますか。

鈴木 スポーツ栄養学のエビデンスやスキルは、スポーツ以外の分野でも生かすことができます。例えば、女性の身体は、妊娠前にエネルギーや栄養素が不足した栄養状態では妊娠後に胎児を良好に発育できないと判断すると、妊娠の可能性が低くなると考えることができます。男性のアスリートの場合、エネルギー摂取量に比べて消費量が多すぎると精子の量が少なくなるケースもあります。私の経験では、妊娠を希望するアスリート夫婦に栄養管理をすることで、栄養状態が改善し、翌年には子どもを授かることができたケースも多くあります。また、日本では、更年期についての教育が女性とそのパートナーに対して充実されていない現状があります。更年期の教育・支援も進めていきたいと考えています。

栄養状態を適切に維持することは、実はとても難しいのです。いつでもどこでも食べたいものを食べることができる環境だからこそ、食育の知識だけでは栄養状態を良好にできない時代がやってきています。栄養の専門職である管理栄養士の力を借りて「本当の健康」を手に入れてもらうことができるように、「パーソナル管理栄養士」の仕組みを作ることも、これからの目標です。

外川 私も食生活に気を付けて「本当の健康」を目指したいと思います。本日はありがとうございました。

【こちらの記事の全文は下記よりご欄ください】

『大学時報』クローズアップ・インタビューデジタル版(PDF)

アスリートたちの健康とパフォーマンスの向上を目指しスポーツ栄養学の礎を築く『大学時報』SNDJ鈴木志保子理事長インタビュー

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