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「週末だけ運動」でも死亡リスク低下 脂肪肝MASLD患者1万人超を追跡した研究

世界で十数億人が罹患しているとされる代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の患者が、健康のために必要とされる習慣的な身体活動を週末などに集中して行った場合においても、全死亡や心血管死のリスクが有意に低下することが明らかになった。米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを利用した前向きコホート研究の結果として報告された。

「週末だけ運動」でも死亡リスク低下 脂肪肝MASLD患者1万人超を追跡した研究

週末戦士はMASLD患者の死亡リスクも下げるのか?

代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease;MASLD)は世界で最も蔓延している慢性冠疾患であり、2021年時点の患者数は12億7,000万人と推定され、2040年までに成人の55%以上の有病率となることが予測されている。MASLDにはいまだ、肥満に伴う場合の減量薬以外、効果的な治療薬がなく、生活習慣改善が必須とされ、なかでも身体活動が重要であり、すでに身体活動によってMASLD患者の死亡リスクが抑制されることが報告されている。

身体活動は従来、ほぼ毎日継続して行うことを前提として多くの研究が行われてきている。しかし近年、週末などの1~2日に集中して行うという、いわゆる「週末戦士」型の身体活動パターンの健康効果が知られるようになってきている。MASLDは就労世代に多くみられ、時間的制約から平日に運動療法としての身体活動を行うことが困難な患者が少なくない。週末戦士型の身体活動パターンであれば、就労世代でも実施可能と考えられるが、MASLD患者の死亡リスクをそのような身体活動パターンによって抑制可能かは明らかにされていない。

以上を背景として、2007~18年の米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey;NHANES)のデータを用いた前向きコホート研究が行われた。

1万人超のMASLD患者を6.5年追跡

MASLDの定義

NHANESデータから把握されたBMI、ウエスト周囲長、トリグリセライド、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-glutamyl transferase;GGT)に基づき算出した脂肪肝指数(fatty liver index;FLI)が60以上の場合を「脂肪性肝疾患(steatotic liver disease;SLD)」と判定し、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝障害が認められ、かつSLDを来し得る他の原因が否定された場合を「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」と定義。2007~18年の米国国民健康栄養調査(NHANES)参加者のうち、1万2,246人がこの定義を満たし、データ欠落を除外した1万410人を解析対象として、中央値78カ月(四分位範囲44~118)追跡した。

身体活動パターンの分類

身体活動習慣は、世界標準化身体活動質問票(Global Physical Activity Questionnaire;GPAQ)により評価。以下の4群に分類した。

  • 非活動群:中等度から高強度の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行っていない群。
  • 身体活動不足群:MVPAを行っているが、ガイドラインの推奨(週に150分以上)を満たしていない群。
  • 週末戦士群:ガイドラインの推奨を満たすMVPAを行っており、身体活動の頻度が週に2回以下の群。
  • 継続的運動群:ガイドラインの推奨を満たすMVPAを行っており、身体活動の頻度が週に3回以上の群。

評価アウトカムと考慮した交絡因子

評価したアウトカムは、全死因死亡(全死亡)と心血管疾患による死亡(心血管死)だった。身体活動パターンと死亡リスクとの関連の解析に際しては、年齢、性別、人種/民族、喫煙状況、糖尿病・高血圧・心血管疾患の既往、食事の質(健康的な食事指数2015〈Healthy Eating Index 2015;HEI-2015〉で評価)、睡眠時間、教育歴、婚姻状況、世帯収入(household income poverty ratio;PIR)を交絡因子として調整した。

週末戦士型の身体活動はMASLD患者にとっても有効で現実的な選択肢

解析対象者は平均年齢50.153±0.267歳、男性52.311%で、身体活動パターンの分布は、非活動群57.2%、身体活動不足群17.7%、週末戦士群2.8%、継続的運動群22.3%だった。追跡期間中に988人の死亡が記録されており、そのうち319人が心血管死だった。

全死亡リスク:週末戦士群は非活動群より低リスクで、継続的運動群との差は非有意

前記の交絡因子を調整後、非活動群を基準として全死亡リスクを比較すると、身体活動不足群はハザード比(HR)0.729(95%CI;0.597~0.889)、週末戦士群はHR0.423(0.233~0.767)、継続的運動群HR0.593(0.452~0.778)であり、いずれも有意なリスク低下が観察された。

継続的運動群を基準とした解析では、非活動群はHR1.685(1.285~2.210)と有意にリスクが高かった。身体活動不足群はHR1.228(0.902~1.672)、週末戦士群はHR0.713(0.383~1.329)であり、継続的運動群と有意差がなかった。

年齢(60歳未満/以上)、性別、心血管疾患既往の有無で層別化した解析からは、年齢の有意な交互作用が認められ(交互作用p=0.044)、週末戦士群における全死亡リスクの低下は、60歳未満でおいてのみ有意だった。性別および心血管疾患既往の有無の交互作用は非有意だった。

心血管死リスク:週末戦士群は非活動群より低リスクで、継続的運動群との差は非有意

前記と同様に、非活動群を基準として心血管死リスクを比較すると、週末戦士群はHR0.172(0.044~0.677)、継続的運動群はHR0.658(0.448~0.965)であり、この2群は有意なリスク低下が観察された。それに対して身体活動不足群はHR0.864(0.556~1.341)と、有意なリスク低下が示されなかった。

継続的運動群を基準とした解析では、非活動群はHR1.520(1.036~2.230)と有意にリスクが高かった。身体活動不足群はHR1.313(0.757~2.275)、週末戦士群はHR0.261(0.070~1.372)であり、継続的運動群と有意差がなかった。

年齢、性別、心血管疾患既往の有無で層別化した解析からは、いずれも有意な交互作用は示されなかった。

論文の結論は、「まとめて運動を行う『週末戦士』型の身体活動は、MASLD患者における全死因死亡および心血管疾患死亡の有意なリスク低下と関連しており、とくに60歳未満の患者においては、連日の身体活動と同等の効果をもたらすことが示された。これは、週末の運動が死亡リスク低下につながる現実的な選択肢であることを裏付けている」と総括されている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Weekend warrior physical activity pattern and risk of all-cause and cardiovascular mortality among US adults with metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease: A prospective cohort study of NHANES 2007–2018」。〔Sci Prog. 2026 Apr-Jun;109(2):368504261444443〕
原文はこちら(SAGE Publications)

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