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思春期女子アスリートの食行動は、栄養教育だけでは変わらない? 行動戦略の重要性を示唆

思春期の女子アスリートに対する短期間の栄養教育介入により、スポーツ栄養に関する知識が有意に向上したものの、食事摂取量や体組成に有意な変化は現れなかったとする研究結果が報告された。著者らは、思春期アスリートの食生活を変えるには行動戦略を用いた介入が必要ではないかと述べている。

思春期女子アスリートの食行動は、栄養教育だけでは変わらない? 行動戦略の重要性を示唆

思春期は成長のために栄養素摂取が重要で、かつ食習慣の基盤が形成される重要な時期

思春期は成長と発達のために必要とされる栄養素量が急速に増加する。その一方で思春期は保護者の管理下から離れて自主的な判断が確立されていく過程でもあり、食生活も友人などの影響を受け始めて変化していきやすい。その変化は通常、最適とは言えないことが多く、主要栄養素のバランスの偏り、微量栄養素の不足が生じやすい。

これらの懸念はすべての思春期世代に当てはまる留意事項だが、スポーツを行っている場合にはそのために消費されるエネルギー量や体づくりのための栄養素を付加する必要があり、適切な水分摂取に関しても注意が必要となる。さらに女子の場合は、摂取量の不足が初経発来の遅延や月経異常および骨量低下につながりやすく、将来の妊孕性喪失などの懸念も生じる。

アスリートにみられる食事の不適切さは多因子によるものと考えられるが、主要な因子は「スポーツ栄養に関する知識(sports nutrition knowledge;SNK)」の不足と言えるだろう。SNKの不足がアスリートの食行動や栄養素摂取の不適切さと関連していることについて、これまでにも複数の報告がある。しかし、思春期の女子アスリートに特化し、短期間の介入の有効性を検討した研究は多くない。

以上を背景として今回取り上げる論文の研究では、若年の女子団体競技選手に対する短期間の栄養教育介入が、SNK、食事摂取量、体組成に及ぼす影響を、クラスターランダム化比較試験により検討した。

1回30分のグループセッションを3回実施し、介入前後および対照群との差を検討

研究参加者とクラスター割り付け

この研究の対象は、スペイン・カタルーニャ地方の女子ハンドボール選手だった。適格条件は年齢が12~19歳で、所属クラブで過去1年以上のトレーニング歴があること、1回1.5時間以上のトレーニングを週3日以上行っていることとされ、除外基準は初経発来前、摂取障害の診断、食事療法を必要とする慢性疾患の罹患、妊娠中などだった。

4カ所のクラブが研究に参加し、これを無作為に二分して、1群を介入群、他の1群を対照群とした。これらのクラブに所属する229人に研究参加を要請し101人が同意。上記の条件に合致する97人が研究に参加した。

栄養教育の方法と内容

介入群に対しては、1回30分のグループ単位での教育セッションが週に1回、3週にわたり計3回実施された。教育内容は、初回が「健康と地中海食入門、主要栄養素:エネルギーと炭水化物の必要量」、2週目は「主要栄養素:タンパク質と脂質の必要量、微量栄養素:ビタミンとミネラル」で、最後は「水分補給と周期化」とされた。

対照群に対しては一切の教育を行わず、かつ研究期間中はふだんの食生活を維持し、栄養に関する情報を集めたりカウンセリングを求めたりしないように指示した。なお、研究終了後に対照群に対して、介入群と同じ内容の栄養教育を行った。

評価項目と評価のタイミング

評価項目は、スポーツ栄養に関する知識(SNK)、食事摂取量、体組成であり、これらは介入前(ベースライン)、介入中、介入終了直後、介入終了から3カ月経過した追跡時に調査された。SNKについては、若年・成人アスリート対象栄養知識質問票(Nutrition Knowledge Questionnaire for Young and Adult Athletes;NUKYA)により評価したほかに、ベースラインと追跡調査においては地中海食の遵守状況をKIDMEDスコアで評価した。これらは参加者間の情報交換を防ぐため、研究者の監督下でのオンライン自記式アンケートとして実施された。

食事摂取量は非連続の平日2日および休日1日の計3日、写真付きの食事記録に基づき評価した。体組成の測定は生体電気インピーダンス法によった。

栄養教育で知識は増えるが行動は変化しにくい

解析対象97人は、介入群が60人、対照群37人、年齢は15.8±1.2歳だった。ベースラインにおいて、若年・成人アスリート対象栄養知識質問票(NUKYA)で評価したスポーツ栄養に関する知識(SNK)のスコアは、介入群と対照群に有意差がなかった(24.2 vs 25.3)。

スポーツ栄養に関する知識(SNK)と地中海食順守状況は介入群でのみ有意に向上

介入群のNUKYAのスコアは、ベースラインから介入後にかけて19.7点有意に上昇し、またベースラインから追跡調査にかけて16.8点有意に上昇していた(いずれもp<0.001)。それに対して対照群ではスコアの有意な変化が観察されなかった。

地中海食の遵守状況を表すKIDMEDスコアも、ベースラインでは有意差がなかった(5.6 vs 5.7)。また、介入群の77.8%、対照群の78.0%に、地中海食の遵守度を高める必要性が認められた。追跡調査では、両群ともにKIDMEDスコアが上昇していたが、有意な変化は介入群のみで認められた(p=0.003)。

一方、食事・栄養素摂取量、体組成は両群ともに有意な変化が認められなかった。

情報の伝達に加えて行動を変え得る介入が求められる

これらの結果を総括し論文の結論には、「3週間の短期的な栄養教育介入によって、女子ハンドボール選手の栄養に関する知識は有意に向上した。しかし、知識の向上は食事摂取量や体組成の変化には結びつかなかった。これは、知識のみでは行動的または生理学的変化を起こすのに不十分である可能性を示唆しており、行動戦略を取り入れた介入が必要と考えられる」と記されている。

また、その戦略においては、「個別カウンセリング、実践的なスキル開発、コーチや家族との連携などが重要ではないか」と述べられている。

文献情報

原典論文のタイトルは、「Effect of a nutrition education intervention on sports nutrition knowledge, dietary intake, and body composition in female athletes: a randomized controlled trial」。〔Front Nutr. 2026 May 8:13:1821345〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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