緑茶カテキン+継続しやすい筋トレで高齢者の下肢筋力維持につながる可能性 国内クラスターRCT
カテキンを豊富に含む緑茶の摂取と、継続しやすい無理のない筋力トレーニングを続けることが、高齢者の下肢筋力の維持につながる可能性を示唆するデータが報告された。国内の地域在住高齢者を対象に行われた、クラスター無作為化プラセボ対照試験の結果であり、鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻基礎理学療法学講座の牧迫飛雄馬氏らによる論文が、「Archives of Gerontology and Geriatrics」に掲載されるとともに、プレスリリースが発行された。

カテキン摂取で高齢者のサルコペニア、身体的フレイルのリスクが抑制される?
カテキンは緑茶に豊富に含まれているポリフェノール化合物の一種であり、抗酸化作用、抗炎症作用、ミトコンドリア賦活作用など、多くの生物学的活性をもつ。動物実験およびヒト対象の研究から、カテキン摂取が筋肉の酸化ストレス抑制、疲労抑制、持久力向上などと関連することが報告されている。
このことから、サルコペニア(加齢に伴う筋肉量や筋力の低下)や身体的フレイルのリスク抑制にも有用な可能性があるが、その点のエビデンスはまだ十分でない。牧迫氏らは(株)伊藤園との共同研究により、この点を検証した。
カテキン613mg/日+簡単な運動で24週間介入し、筋量・筋力などの変化を検討
鹿児島市で実施された健康イベントの参加者のうち、筋力低下や動作が緩慢になったと自覚していて、緑茶摂取量が1日3杯以下で、運動や緑茶摂取に関する医学的禁忌のない60歳以上の地域在住者78人(77.8±6.2歳、女性89.9%)が、この研究に参加した。
研究デザインは2群のクラスター無作為化プラセボ対照試験であり、1群にはカテキン強化緑茶(catechin enriched green tea;CE)、他の1群はプラセボ茶(placebo;P)を支給した。茶の摂取と並行して、全員に後述の運動(exercise;Ex)介入を行った。10の自主運動グループをランダムに割り付け、5つのクラスターをEx+CE群(n=45)、他の5つのクラスターをEx+P群(n=33)とした。
カテキン強化緑茶には306.5mg、プラセボ茶には14.3mgのカテキンが含まれているスティック状の粉末緑茶を支給。これを1日2本、約半年間(24週間)にわたり300mLのお湯に溶解して飲んでもらった。カテキン以外の成分はカフェインも含め、ほぼ同等だった。
運動介入については、地域で開催される運動教室に参加してもらうこととした。具体的には、30~40分ほどのストレッチや自重筋力トレーニングを週に1回、および、バランストレーニングや弾性バンドを用いた筋力トレーニングを月に1回の頻度で実施した。
評価項目は、身体能力(最大歩行速度と椅子立ち上がりテスト)、筋力(膝伸展筋力)、筋肉量(生体電気インピーダンス法による四肢骨格筋量など)、および筋原線維損傷のマーカーである尿中タイチンN末端断片であり、介入前後での変化を群間で比較した。
なお、介入開始時点(ベースライン)において、年齢、性別の分布、BMI、高血圧・糖尿病・脂質異常症等の有病率、処方薬数に群間の有意差はなかった。
緑茶カテキンが筋損傷を抑制し筋力維持につながる可能性
膝伸展筋力の変化率に有意差
介入遵守率が低い参加者や脱落者も含めた治療意図解析(intention-to-treat;ITT)解析の結果、主要評価項目の介入前後の変化量に、群間の有意差は認められなかった。ただし、変化率として比較すると、膝伸展筋力がEx+P群は92.6%と介入中に低下していたのに対して、Ex+CE群は116.1%と増加しており、群間に有意差が認められた(p=0.016)。
図 膝伸展筋力の変化率

カテキン摂取量が多いほど筋損傷マーカーが低い
次に、介入遵守率が高かった(試験飲料の摂取率および運動セッションへの参加率が60%以上)Ex+CE群の参加者26人において、総カテキン摂取量と、筋原線維損傷のマーカーである尿中タイチンN末端断片との相関を検討。その結果、総カテキン摂取量が高値であるほどタイチンN末端断片が低値という、負の有意な相関が認められた(ρ=-0.444、p=0.023)。一方、Ex+P群ではこの関係が認められなかった。
著者らは本研究には、食事調査をしておらずエネルギー摂取量やタンパク質摂取量が不明なこと、および日常生活での身体活動量が評価されていないこと、また対象の多くを女性が占めていたことなどの限界点があるとしたうえで、「身体能力の低下を自覚している地域在住の高齢者において、カテキンを豊富に含む緑茶と運動の組み合わせによる介入が、下肢筋力に有益な効果をもたらすことが示された。また、この介入は筋損傷バイオマーカーの低下をもたらす可能性が示唆された」と述べている。
なお、本研究は(株)伊藤園が研究資金の一部を助成して行われた。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Effects of catechin-enriched green tea combined with exercise on physical performance and muscle mass in community-dwelling older adults: A cluster-randomized, placebo-controlled trial」。〔Arch Gerontol Geriatr. 2026 Aug:147:106260.〕
原文はこちら(Elsevier)







熱中症予防情報
SNDJユニフォーム注文受付中!

