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2,600kmの超耐久自転車レースでは睡眠時間が長いほど上位に 睡眠不足はパフォーマンス低下と事故リスクに影響

フランスの北端から南端まで約2,600kmを走行する超耐久自転車ロードレース参加選手の「睡眠」に焦点を当てた研究結果が報告された。平均7泊に及ぶレース中の睡眠時間が長い選手ほど、ゴール着順が上位だったという。睡眠時間とレース中の認知機能との関連も認められ、著者らは持久競技において睡眠はパフォーマンスにとって重要であり、かつ事故リスク回避のためにも重要と述べている。

2,600kmの超耐久自転車レースでは睡眠時間が長いほど上位に 睡眠不足はパフォーマンス低下と事故リスクに影響

超耐久レースにおける睡眠

睡眠は、身体・認知機能や感情のコントロールの維持にとって重要であり、スポーツとの関連ではパフォーマンスの最大化と怪我のリスク抑制という点でも重要とされる。とくに競技時間が数時間以上となる耐久レース、あるいは数日から数週間に及ぶランニングや自転車などの超耐久レース、外洋セーリングでは、睡眠の管理が競技成績を左右する可能性も考えられる。とはいえそれを証明した研究は少ない。

今回紹介する論文は、フランスで行われている国土を縦断する自転車ロードレース(Race Across France;RAF)の参加者を対象として、レース中の睡眠を計測し認知機能や成績との関連を調査したもの。

フランスを10日以内に縦断するレース参加者を対象に睡眠を調査

研究の対象としたRAFは2024年6月に行われた。フランスの北端に近いリールから南端の地中海に沿いに位置するマンドリュー=ラ=ナプールまで、2,588kmを240時間(10日間)以内に走行するレースで、ルートの累積標高差は2万9,250m。

研究参加者は40人(女性5人)。手首装着型の加速度計をシャワーの時も常に外さないこととし、睡眠や活動状況を把握した。また、独自に開発したアプリケーションをスマートフォンにダウンロードしてもらい、スタートの1時間前から昼夜を問わず、4時間ごと(9時、13時、17時、21時、1時、5時)に、その時点の眠気(カロリンスカ眠気尺度)を報告してもらった。さらに、スタート1時間前、620km地点、1,438km地点、2,066km地点、およびゴールの1時間後に、認知機能を評価した。なお、研究者は選手の睡眠や覚醒に介入せず、観察のみを行った。

認知機能の評価には、Go/No-Go反転課題と呼ばれる手法を用いた。これは、ある刺激が出たらボタンを押し、別の刺激では押さないというルールに従いテストを受け、その途中からルールを逆転させて、参加者がどれだけ早くルールが変化したことを認識し反応できるかを調べるというもの。

解析対象者について

研究参加者40人のうち10人は、関門を制限時間内に通過できなかったことや怪我、自転車のトラブルなどの理由で途中棄権した。また7人はプロトコルからの逸脱(チェックポイントでの認知機能テストを受けない、スマホアプリや加速度計の不具合など)のため、解析から除外し、解析対象は23人(女性2人)となった。

23人の平均年齢は37.2±9.1歳で、ピッツバーグ睡眠質問票で評価した日常の睡眠の質は4.2±1.6であり良好だった。

適切な睡眠戦略はパフォーマンスと安全性の双方にとって重要

レースを完走した選手は134人で、そのうち本研究に参加した選手の着順は3位から96位の範囲にあった。完走に6.9±0.5泊(範囲5~8)を要し、コース上にいた時間は190.7±12.41時間(同142.1~214.2)だった。

24時間あたりの平均睡眠時間は228±107分だった。レース中の睡眠時間には日差変動があり、境界域の有意性がみられた(p=0.05)。全体として、レースの終盤になるほど睡眠時間が長くなるという有意な関連があった(R2=0.83、p<0.001)。

睡眠の時間帯は0~4時に最も多くあてられていた。日中の仮眠の時間帯のピークは観察されなかった。

休憩時間ではなく、睡眠時間がレース成績と有意に関連

24時間あたりの平均睡眠時間とレース順位の間に有意な相関が認められ(r=0.80、p<0.001)、より長く睡眠している選手のほうが上位でゴールしていた。一方、加速度計のデータから、静止はしているものの睡眠はしていないという休憩時間は、レース成績と関連がなかった。

睡眠時間が5.29時間未満だと日中の眠気が増加していく

睡眠時間とカロリンスカ眠気尺度で評価した日中の眠気の関連の解析から、24時間あたりの睡眠時間が5.29時間を切ると、日を追うごとに日中の眠気が強くなっていくという関連が認められた。

このほかに認知機能については、睡眠時間が短い場合に経時的に低下していき、反応時間も遅くなっていくという関連が認められた。

これらの結果に基づき著者らは、「超耐久レースに参加するアスリートは適切な睡眠戦略を採用することで、パフォーマンスと安全性の双方を向上させることが可能」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Cognitive Costs of Sleep Deprivation in Ultra-Endurance Cycling: Insights From the Race Across France」。〔J Sleep Res. 2026 Feb 1:e70295〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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