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CGMに基づく持久運動中の炭水化物補給戦略は、従来型のインターバル補給戦略より優れているのか?

持久力運動中の炭水化物摂取を、従来のように定められた量を一定時間ごとに摂取する場合と、連続血糖測定(CGM)に基づき摂取する場合とで、生理学的反応に差があるかを検討した研究結果を紹介する。

CGMに基づく持久運動中の炭水化物補給戦略は、従来型のインターバル補給戦略より優れているのか?

長時間運動中の炭水化物摂取を血糖変動に基づき判断することの意義は?

持久系スポーツは主として有酸素エネルギーシステムに依存し、ブドウ糖がエネルギー源として利用される。そのため競技前にグリコーゲン貯蔵を高めておくことと、競技中の炭水化物摂取戦略がパフォーマンスを左右する。

長時間スポーツ中の炭水化物摂取戦略についてはいくつかのガイドラインがあり、いずれも1時間あたりの摂取量として目安を示している。つまり、現在の推奨は、生理学的反応の個人差を考慮した推奨を示すに至っていない。しかし、パフォーマンスの最適化のためには、持久力運動中の血糖変動を把握し、それにあわせてタイミングよく炭水化物を摂取するという戦略のほうが、理論的には優れている可能性が想定される。とはいえ、かつては血糖値の測定に採血を必要としていたため、たとえそのような戦略が優れている可能性があったとしても、それを検証することには高いハードルが存在した。

一方で今世紀に入ると糖尿病の臨床において、連続血糖測定(continuous glucose monitoring;CGM)が利用されるようになり、現在ではスポーツ領域の研究でも用いられるようになってきている。ただし現在のところ、持久力運動中の炭水化物摂取戦略について、従来法とCGMに基づく手法のどちらが優れているのかを検討した研究報告はみられない。

12人の非糖尿病男性を対象とするクロスオーバー試験で検討

この研究は、12人の非糖尿病男性を対象とするクロスオーバー試験として実施された。研究参加者は、世界保健機関(WHO)の運動に関する推奨(1週間に150~300分の中~高強度の身体活動)を満たし、習慣的に1回90分以上の持久力運動を行っており、心血管代謝疾患、筋骨格系疾患を有さないことを適格条件として、研究機関やソーシャルメディアを通じて募集された。

後述する異なる二つの炭水化物摂取戦略による持久力運動への影響を、試行順序を無作為化して全員に行い、両条件の試行には5~7日のウォッシュアウト期間を設けた。また、各テストの試行48時間前からは運動を禁止するとともに、初回のテストの際に摂取した飲食物を記録し二つ目の条件のテスト時にはそれと同じものを摂取してもらった。テストは両条件とも同じ時間帯(午前中)に行い、試行の8時間前からは絶食とした。

試験のプロトコル

持久力運動テストは自転車エルゴメーターを用いて、事前に計測したピークパワーの50%の強度で75分間の連続サイクリングとした。

炭水化物摂取戦略

従来型の炭水化物摂取戦略は、運動負荷開始から15、30、45、60分後に、スポーツドリンクに炭水化物を混ぜ合わせた飲料を、炭水化物摂取量が1時間につき51.2gとなるように摂取してもらった。

一方、CGMに基づく炭水化物摂取戦略は、血糖値を5分ごとに測定。以下の四つの条件に当てはまる場合に、上記の従来型の戦略の1回分の飲料(炭水化物は12.8g)を摂取することした。四つの条件とは、(1)血糖値が0.1~0.2mmol/L(1.8~3.6mg/dL)低下が2回連続した場合、(2)1回で0.2mmol/L(3.6mg/dL)以上低下した場合、(3)CGMが血糖低下のトレンドを示している状況で0.1~0.2mmol/L(1.8~3.6mg/dL)低下が発生した場合、(4)CGMが血糖の急速な低下のトレンドを示した場合。ただし、炭水化物摂取後の血糖値上昇がCGMの測定値に反映されるタイムラグを考慮し、1回摂取した後は15分間、再摂取は行わないこととした。

評価項目

評価項目は、運動負荷中の血糖変動、および、15分ごとに計測した心拍数、ボルグスケールによる自覚的運動強度(rate of perceived exertion;RPE)、ならびに運動負荷前後と負荷の中間点(37.5分経過時点)で測定した乳酸値だった。

CGMに基づく炭水化物摂取で血糖変動は抑制されるが、その他の指標は有意差なし

12人の男性は年齢32.3±6.3歳、BMI 21.72±1.5、体脂肪率13.9±4.2で、中~高強度運動を298.8±104.5分/週行っており、ピークパワーは247.3±39.9Wだった。ブドウ糖負荷試験により全員が糖尿病でないことが確認された。

食事記録に基づき、テスト48時間前からの炭水化物摂取量は、従来型摂取戦略では4.91±0.97g/kg/日、CGM戦略では4.69±0.73g/kg/日であり有意差がなく(p=0.236)、試行時点でのグリコーゲン貯蔵は同等と考えられた。

各条件での炭水化物摂取量

CGM戦略において、75分間の運動負荷中の炭水化物摂取回数は1.42±0.79(範囲0~3)回であり、初回の摂取は負荷開始31.8±21.0分後、最終摂取は50.5±17.8分後であって、負荷中の炭水化物総摂取量は18.1±10.1(範囲0~38.4)gだった。

一方、従来戦略はプロトコルどおり摂取回数が4回で、計51.2gの摂取だった。

血糖変動の大きさに有意差が観察される

評価した項目のうち心拍数、自覚的運動強度(RPE)、乳酸値は、どの時点でも有意差が観察されなかった。一方で血糖値に関しては、CGM戦略において、負荷開始60分後以降の血糖値が有意に低く、血糖変動が有意に少ないことが明らかになった。また、75分間の血糖変動曲線下面積は、CGM戦略のほうが有意に小さかった。

論文の結論には、「本研究において、CGMに基づく炭水化物摂取プロトコルと従来型のプロトコルの間に、RPEや心拍数、乳酸値には統計的に有意な差を示さなかった。しかし、血糖変動において観察された傾向は、CGMに基づくプロトコルが、安定した血糖値を維持し、運動中の代謝ニーズに合わせて炭水化物摂取量を調整するのに役立つ可能性を示唆している」と記されている。

文献情報

原題のタイトルは、「Comparative effects of continuous glucose monitoring-informed and traditional interval-based carbohydrate refueling protocols on endurance exercise responses: an exploratory study」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2025 Dec;22(1):2561670.〕
原文はこちら(Informa UK)

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