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スポーツ栄養におけるビタミン摂取の推奨量やリスクを解説 最新10年のエビデンス総括

スポーツ領域でのビタミン補給に関する知見をナラティブ・シンセシスにより総括した論文が報告された。ポーランドの研究者らによるもので、ビタミンの種類ごとに、年齢、性別、競技、トレーニング強度等を可及的に考慮したうえで、推奨の提示が試みられている。

スポーツ栄養におけるビタミン摂取の推奨量やリスクを解説 最新10年のエビデンス総括

イントロダクション

アスリートは酸化ストレスや代謝回転の亢進、栄養素要求の増大によりビタミンの需要が高いと考えられる。一方でアスリートの多くはサプリメントを摂取しており、これはパフォーマンス向上、回復促進、および健康効果への期待によるものと考えられる。また、アスリートは一般に健康的と捉えられているが、微量栄養素、とくにビタミンDについては不足の有病率が高いことが明らかになってきている。

これらのため、アスリートには一般人口とは異なる栄養素摂取量の目安を示す必要があるが、現状においてはそのようになされていない。加えて、アスリートがビタミンサプリメントを摂取することの長期的な影響を検討した研究は多くなく、かつサンプルサイズの少なさ、回顧的または自己申告に基づく評価などの点で、研究手法の信頼性が高いとは言えない報告が少なくない。

また、年齢や性別、競技の特徴などを考慮した実践的な推奨が示されていないことも、大きな制約として指摘できる。これらを背景として今回取り上げる論文の著者らは、過去10年間の報告を系統的に検索したうえで、ナラティブ・シンセシスを行った。

PubMed、ScienceDirect、PEDro、Cochrane Libraryという文献データーベースに2010 年~24年に収載された論文を検索対象とした。包括基準は、アスリートまたは活発な身体活動を行っている成人を対象に、ビタミンの状態やサプリメント摂取の影響を検討し、査読システムのあるジャーナルに発表された論文。症例報告、動物実験、査読されていない論文などは除外された。また、ビタミンサプリと他のサプリを併用した研究は、ビタミン固有の影響を特定可能できない場合は除外した。非アスリート対象研究は、スポーツに関連するアウトカムを評価している場合のみ採用した。

ビタミンの種類ごとの推奨や留意点

論文では、ビタミンC、B群、E、A、D、Kについて、推奨や留意事項が述べられているが、ここではその一部を紹介する。

ビタミンC

アスリートがビタミンCサプリを摂取することに関して、メリットとしては、筋肉痛・酸化ストレス・コルチゾール(ストレスホルモン)・炎症マーカー・高強度トレーニング中の疾患リスクの抑制、回復促進、免疫反応改善、コラーゲン合成と腱の修復などが報告されていた。一方、リスクとして、消化管障害(嘔気など)、腎臓結石、銅やセレンの吸収低下、鉄吸収の増加(ヘモクロマトーシスでは問題となる)などが報告されていた。

論文の著者らは、「結論としてビタミンCサプリは、とくに筋肉痛や酸化ストレスを軽減し回復を促進することで、運動パフォーマンスの向上に期待が寄せられている。しかしながら運動適応への潜在的な悪影響を回避するために、アスリートはサプリメント摂取において慎重なバランスをとる必要がある」としている。

サプリの摂取プロトコルとしては、中用量プロトコル(ほとんどのアスリートに推奨)は、1日200~500mgを2回に分けて摂取することとし、朝食時に200~300mg、夕食時に100~200mgを摂取したうえで、重要なトレーニングセッションの直前または直後の摂取は避けることが望ましいと記されている。

ビタミンE

ビタミンEは強力な抗酸化物質として認識されており、高強度運動中の細胞膜を酸化ダメージから保護するうえで重要な役割を果たすことが示されている。ビタミンEサプリにより、マロンジアルデヒドやクレアチンキナーゼなどの運動誘発性酸化ストレスマーカーを低下させ、筋肉の回復を促進することも示されている。とくに反復的な高強度運動に対する筋肉のダメージや炎症を軽減することに関連しており、アスリートにとっての重要性が強調されている。

一方、ビタミンEを含む抗酸化ビタミンの高用量摂取が、パフォーマンス向上に不可欠なミトコンドリアの新生やタンパク質合成など、持久力トレーニングに対する生理学的適応を鈍化させる可能性も示唆されている。

文献分析の結果、摂取方法は以下のように考慮される。多くの研究で1日100~1,000IUの範囲のさまざまな投与量が採用されており、1日100~400IUが最も一般的な用量だが、この用量での効果は最小限。1日400~800IUではいくつかの研究で肯定的な効果が報告されている。固定投与プロトコルではなく、条件付きの個別化された摂取プロトコルが必要と考えられる。サプリ摂取が必要と判断された場合も、高用量摂取や運動前後の摂取を避ける。ただしこれらは、確実性の低い推奨である。

ビタミンA

スポーツパフォーマンスにおけるビタミンAの役割は、代謝、免疫機能、健康全般への多面的な影響により、近年注目を集めている。ビタミンAは、運動パフォーマンスに関連するさまざまな生理機能に不可欠であり、エネルギー代謝に影響を与え、酸化ストレスを軽減し、免疫機能を高め、回復を促進する。

しかし、ビタミンAに関するエビデンスには、いくつかの点で限界がある。まず、アスリート対象研究では介入研究の件数が極めて少なく、プロトコルとアウトカム指標に一貫性がない。また、ビタミンAが骨代謝に重要とされているにもかかわらず、骨関連アウトカムを検討した研究が存在せず、筋機能パラメータの研究も数少ない。抗酸化作用による潜在的な効果が示唆される研究がある一方で、有害事象のリスクの存在を示唆する研究もある。

アスリートの背景因子別の留意事項

女性持久系アスリート

月経による損失や食事制限により、鉄分、葉酸、ビタミンB12欠乏のリスクが高い。また、高緯度地域ではビタミンD欠乏症も頻繁にみられる。トレーニング負荷と不釣り合いな疲労、再発性疾患、疲労骨折、エネルギー利用能の低下などは、スクリーニングの対象とすべきで、また、高強度トレーニングやダイエットの期間中は、より厳重なモニタリングを要する。

屋内競技アスリート

例えば体操や水泳、バスケットボールなどの屋内競技のアスリートは日光曝露が限られるため、ビタミンD欠乏の有病率が高い。冬季、頻繁な屋内トレーニング、疲労骨折または骨の痛みの既往などは、スクリーニングの対象とすべき。競技シーズンの開始時に栄養状態をスクリーニングし、血清25(OH)Dが75nmol/L未満の場合はサプリ等の摂取を考慮。

体重別階級のある競技や格闘技のアスリート

急速な減量または食事制限中のビタミンB群およびビタミンCの不足リスクがある。また減量中の酸化ストレス亢進および免疫能低下もリスク。再発性上気道感染症、原因不明の疲労などは、スクリーニングの対象とすべき。

ベジタリアン・ビーガンアスリート

ビタミンB12およびDの不足リスクがあり、鉄、亜鉛、ω3脂肪酸の摂取量が低下する可能性がある。神経症状、疲労、回復不良、ヘモグロビン値の低下、持久力の低下などは、スクリーニングの対象とすべき。

文献情報

原題のタイトルは、「Vitamin Supplementation in Sports: A Decade of Evidence-Based Insights」。〔Nutrients. 2026 Jan 9;18(2):213〕
原文はこちら(MDPI)

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