NBA創設から現在までの選手の死亡原因を解析 高身長が癌死と心血管死のリスクの高さと関連
NBAが創設された1946年以降の全選手の死亡原因を調査した結果が報告された。傾向としては米国の一般男性と同様に、癌死と心血管死が多いことが示されたが、アフリカ系の選手は欧州系の選手より死亡リスクが高い傾向があることや、身長が高いほど癌死・心血管死のリスクが高いことなども明らかにされている。

競合リスクを考慮してNBA選手の死因を分析
一般に健康的と考えられることの多いアスリート集団の死因について、それが一般人口の傾向と異なるのか否かなどを明らかにすることが公衆衛生戦略において重要とされ、医学研究の的とされてきている。そのような観点から、米国で最も人気の高いスポーツである男子バスケットボールのプロリーグNBA(National Basketball Association)の選手を含む、エリートアスリートの死因に関する研究報告が既に存在する。ただしその研究では、競合リスクが考慮されていないこと、死因に関する情報をオンラインソースから得ており正確性が不足している可能性のあることなどが指摘される。
これを背景として今回紹介する論文の研究では、元NBA選手および現役のNBA選手全員を対象とし、死亡ケースの死因を詳細に調査したうえで、競合リスクを考慮した解析を行った。なお、死因における競合リスクとは、先に発生したある原因による死亡が、その後に発生する可能性のあったほかの原因による死亡の評価を妨げるという関係を指す。
1946年のNBA創設以来、全選手の死因を追跡
解析の対象は、1946年にNBAが創設されて以来、2019年7月までにNBAでプレーした全選手4,374人。なお、1967~1976年に存在したABA(American Basketball Association)のみでプレーした選手は解析から除外したが、NBAとABAの両方でプレーした選手は含めた。
選手の死亡に関する情報は、NBA関連の情報サイト、新聞記事のデータベース、オンラインサイトで確認し、信頼に足ると判断される死因が明らかになった場合はその情報を採用した。死因に関する情報が疑わしい場合は、死因の特定は不能と扱った。
2名の研究者が独立して、癌死、心血管死(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓症、心不全など)、外因性死亡(外傷、転倒、暴行、精神活性物質による障害、自傷、自殺、火災、溺死など)、特発性(死因が不明確なもので、突然死を含む)、その他(死因を特定できたもの)、という五つのカテゴリーに分類。複数のカテゴリーに該当する場合、より主要な死因と考えられるカテゴリーに分類した。研究者間で分類の判定の意見が一致しない場合、討議により解決した。
身長と人種/民族による死因別死亡リスクの差が明らかに
2019年7月までに、4,374人の19.8%にあたる864人が死亡していた。死因のカテゴリーは特発性が411人(47.5%)と最も多く、次いで心血管死が156人(18.1%)、癌死が148人(17.1%)であり、外因性死亡は61人(7.1%)で、その他(死因を特定できたもの)が88人(10.2%)だった。
死亡時年齢別に傾向をみると、60歳以降では癌死と心血管死が主流となり、これら二つの死因は95歳までの死因の6割以上を占めていた。
アフリカ系の選手は心血管死リスクが高い
アフリカ系選手と欧州系選手に二分しCox比例ハザードモデルにて死因別リスクを比較すると、アフリカ系選手は年齢の影響を調整後も心血管死のリスクが有意に高いことがわかった(ハザード比〈HR〉1.69〈95%CI;1.17~2.44〉)。癌死、外因性死亡のリスクについてもアフリカ系選手のほうが高い傾向にあったが有意ではなかった。
身長が高い選手は死亡リスクが高い
次に、身長と死因別死亡リスクとの関連をみると、身長が高い選手ほど年齢の影響を調整後も死亡リスクが高い傾向が認められた。とくに、癌死(HR1.102〈1.013~1.2〉)と心血管死(HR1.13〈1.04~1.23〉)については、身長が5cm高いごとの比較で有意なリスク差が観察された。外因性死亡のリスクについてもその傾向がみられたが有意ではなかった。
より最近にプレーしていた選手ほど死亡リスクが低い
続いてNBAでプレーしていた時期と死亡リスクとの関連が検討された。結果は事前の予測どおり、より最近になるまで現役であった選手は年齢の影響を調整後も、より古い時代にプレーしていた選手よりも死亡リスクが低く、癌死、心血管死、外因性死亡、および、その他(死因を特定できたもの)という四つの死因すべてにおいて、有意差が観察された。
アスリートの身長を考慮した、引退後も含めた健康介入が必要
以上の結果に基づき著者らは、「身長の高いNBA選手は心血管疾患と癌による死亡リスクが高いことが明らかになった。この知見は、このエリートアスリート集団における死亡パターンに関する新たな洞察を提供し、身長と人種/民族を考慮し個別化された健康介入の必要性を強調するものだ。この点は、選手の現役時代だけでなく、引退後においても同様である」と述べている。
文献情報
原題のタイトルは、「Causes of death in NBA players: a competing risks analysis」。〔BMJ Open Sport Exerc Med. 2026 Jan 30;12(1):e002917〕
原文はこちら(BMJ Publishing Group Ltd & British Association of Sport and Exercise Medicine)







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