肥満者の睡眠の質は朝食と強い関連 自由生活環境で「夕食と睡眠」「朝食と睡眠」の関連を横断調査
肥満者を対象として、夕食での栄養素・食品摂取状況とその晩の睡眠行動との関連、および、睡眠行動と翌朝の朝食の栄養素・食品摂取状況との関連を解析した結果が米国から報告された。夕食時の炭水化物、糖類、青魚、オリーブオイルの摂取量が多いほど、その晩の睡眠パラメータが良好となり、摂取エネルギー量、脂質、コレステロール、タンパク質、アルコール、赤身肉、フライドポテトの摂取量が多いほど、その晩の睡眠パラメータが不良であって、睡眠時間が長いほど翌朝の朝食の食事の質が高いといった関連がみられたという。

自由生活下での夕食―睡眠―朝食の関連を検討
肥満者には非肥満者と異なる食事パターンがみられることが報告されている。また、食事パターンと睡眠行動との間にも関連のあることが報告されている。ただし、肥満者の食事と睡眠の関連を同時に調査した研究は多くない。この研究ギャップを埋めるために、今回紹介する論文の研究では、肥満者の夕食とその後の睡眠、および朝食という一連の流れに有意な関連があるか否かを検討した。
研究参加者は、新聞広告または著者らの所属大学・医療機関を通じて募集された。適格基準は、BMI 30~40で過去2カ月にわたり体重が安定していて(変動幅が3%以内)、習慣的な摂食の時間帯が1日のうち11時間以上あることとされ、除外基準は、減量中、心血管代謝疾患・睡眠障害・摂食障害の既往、運動を妨げる状態、夜間またはシフト勤務、妊婦・授乳婦などとされていた。
研究参加者187人に2週間にわたり加速度計を身に着けて生活してもらうことで、睡眠行動を把握。食事摂取状況と摂取タイミングについては非連続の2日または1日に摂取したものを栄養士のインタビュー調査により把握した。
睡眠行動に関するデータが不十分(観察期間の70%未満)であった参加者を除外し、146人を解析対象とした。主な特徴は、年齢が中央値49歳(四分位範囲42~55)、男性52.1%、BMI中央値34.6(同31.6~37.4)であり、夕食と睡眠行動の関連について178件、睡眠行動と朝食との関連について180件のデータが取得された。
夕食とその晩の睡眠との関連
夕食での栄養素摂取量とその晩の睡眠行動の関連を、年齢、性別、BMI、身体活動などの交絡因子で調整して検討した結果、以下の関連が示された。
夕食の栄養素と睡眠の関連
夕食の摂取エネルギー量、タンパク質・脂質・飽和脂肪・多価不飽和脂肪・コレステロール・アルコール摂取量は、入眠時刻と相関が認めらた(すべてρ≧0.22、p≦0.036)。炭水化物と糖類の摂取量は総睡眠時間と正の相関を示した(いずれもρ≧0.16、p≦0.034)。飽和脂肪の摂取量、および、炭水化物と糖類の摂取量の比は、睡眠時間と負の相関があった(いずれもρ≧-0.15、p≦0.047)。
夕食時の食品と睡眠の関連
夕食時の青魚の摂取は睡眠効率と正の相関があり(ρ=0.16、p=0.034)、中途覚醒とは負の相関があった(ρ=-0.18、p=0.019)。一方、フライドポテトの摂取は睡眠効率と負の相関があった(ρ=-0.22、p=0.003)。
夕食時のオリーブオイルの摂取は起床時刻と負の相関があった(ρ=-0.15、p=0.042)。一方、豚肉、牛肉、羊肉などの摂取は睡眠時間と負の相関があった(ρ=-0.15、p=0.048)。
睡眠行動と翌朝の朝食との関連
前記同様に交絡因子を調整後の解析で、睡眠行動と翌朝の朝食との間に以下の関連が示された。
睡眠時間は、朝食の炭水化物、食物繊維、一価不飽和脂肪、炭水化物と糖質の比、およびオリーブオイルの摂取量と正の相関があった(すべてρ≧0.16、p≦0.030)。反対に、睡眠時間は朝食のコレステロールおよび飽和脂肪の摂取量と負の相関があった(いずれもρ≧-0.16、p≦0.034)。
睡眠の継続性(睡眠効率が高いこと、および/または中途覚醒が少ないこと)は、朝食の脂質、飽和脂肪、一価不飽和脂肪、および多価不飽和脂肪の摂取量と正の相関があり、炭水化物、およびジュースの摂取量とは負の相関があった(すべてp≦0.033)。
入眠時刻は、摂取エネルギー量、炭水化物、食物繊維、タンパク質と正の相関があり、飽和脂肪の摂取量とは負の相関があった。
夕食と睡眠との関連より、睡眠と朝食との関連がより強固
本稿では触れなかったが、本研究では対象者を代謝的に健康な肥満とそうでない肥満に分類したうえでの解析、および、夕食・朝食の摂取時間帯が速いか遅いかで分類したうえでの解析も行われている。
それら一連の結果を基に、論文の結論は、「自由生活下の肥満成人において、夕食の食事摂取量とその後の睡眠の質との関連性は弱い一方、睡眠の質はその後の朝食の食事摂取量と関連していることが示された。この相互の関係は、この集団における代謝状態、食事のタイミング、睡眠時間によって変化する可能性がある。これらは今後の肥満管理のための介入に有用な知見となり得る」とされている。
文献情報
原題のタイトルは、「From plate to pillow, and vice versa: diet-sleep dynamics in free-living adults with obesity」。〔Eur J Nutr. 2026 Feb 16;65(2):63〕
原文はこちら(Springer Nature)







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