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プロバイオティクスで持久力・VO2max改善の可能性 系統的レビューとベイズメタ解析

プロバイオティクスが運動能力にプラスの効果を発揮する可能性のあることが、システマティックレビューとベイズメタ解析の結果として示された。中国の研究者らによる研究であり、「Frontiers in Nutrition」に論文が掲載された。とくに有酸素持久力への有効性が高いと考えられるという。

プロバイオティクスで持久力・VO2max改善の可能性 系統的レビューとベイズメタ解析

プロバイオティクスのスポーツパフォーマンスに対する有効性を探る

近年、プロバイオティクスの研究が精力的に行われており、整腸作用にとどまらず、生活習慣病やがん、メンタルヘルス関連疾患など、幅広い疾患の予防や治療に役立つ可能性が報告されてきており、さらにスポーツ栄養の領域での研究も進められている。

例えば、国際スポーツ栄養学会(International Society of Sports Nutrition;ISSN)はポジションスタンドとして、「特定のプロバイオティクス株がエネルギー代謝を調節し、栄養吸収を促進し、酸化ストレスと炎症を制御することで、パフォーマンス、とくに筋力と持久力を向上させる可能性がある」と述べている。ただし、健康な成人におけるパフォーマンス向上に関する知見は依然として一貫性がない。また、観察されているパフォーマンス向上効果も、プロバイオティクスによるエネルギーシステムや筋肉機能への直接的な働きかけというより、消化管機能や免疫システムの調節を介したものである可能性が考えられる。

加えて、これまでの研究によるエビデンスをシステマティックに統合し評価したメタ解析は実施されていない。これらを背景として、今回紹介する研究では、健康な被験者を対象にプロバイオティクスの影響を、持久力、筋力、スピードという視点で評価し、至適用量・菌株を探る検討を行っている。

文献検索について

PubMed、Embase、Web of Science Core Collection、Scopusなど、6種類の文献データベースを用いて、それぞれの開始時から2025年7月1日までに収載された論文を対象とする検索を行った。包括基準は、アスリート、健康な成人、高齢者を対象に、プロバイオティクスを経口投与し、対プラセボで運動能力を比較した無作為化比較試験(並行群間試験またはクロスオーバー試験)であり、英語で発表されている原著論文とした。除外基準は、疾患有病者対象の研究、他の介入を同時に行っておりプロバイオティクス単独の影響を分離して解析することのできない研究、経口以外の投与方法による研究、レビュー、エディトリアル、レター、学会発表、学位論文など。

一次検索で4,226報がヒットし、重複削除後の3,033報を2名の研究者が独立してタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は他の2名の研究者の討議により解決された。86報を全文精査の対象とし、最終的に21件の研究報告を適格と判断した。

抽出された研究

21件の研究の63.6%はアジア諸国から報告されており、次いで米国18.2%、欧州13.6%、オセアニア4.5%だった。

研究参加者数は合計685人であり、12件はアスリート対象、8件は非アスリート成人対象、1件は高齢者対象に行っていた。性別については、9件は男性のみ、2件は女性のみ、9件は男性と女性を含めており、1件は性別の情報が記されていなかった。

介入に用いたプロバイオティクスは、12件では単一の菌株、9件は複数の菌株であり、16件はカプセル、3件は飲料、2件はヨーグルトとして投与していた。

また、13件の研究はなんらかの金銭的サポートを受けたことを開示し、8件はサポートを受けていないことを宣言していた。

プロバイオティクスは有酸素持久力に対する有意な効果を示す

21件のデータを統合したベイズメタ解析の結果、プロバイオティクスの摂取は運動パフォーマンスを小~中程度改善する可能性が示唆された(標準化平均差〈SMD〉0.38、95%信用区間〈CrI〉0.17~0.60)。
評価指標別の解析:

各研究で評価されていた指標に基づき、筋力、耐久力、持久力、有酸素持久力、嫌気性持久力、スプリントなどに分類したうえで解析すると、持久力(SMD0.74〈95%CrI;0.39~1.10〉)と有酸素持久力(自転車エルゴメーターによるVO2maxがSMD2.21〈0.64~3.68〉)という2項目において有意な改善が示唆された。

対象集団別の解析

研究対象集団別に解析すると、アスリート(SMD0.38〈0.08~0.69〉)および成人(SMD 0.46〈0.11~0.81〉)において有意な改善が示唆された。

菌株や投与量別の解析

介入に用いられた菌株別の解析では、Lactobacillus plantarumで有意な改善が示唆された(SMD0.82〈0.12~1.50〉)。また、単一菌株(SMD0.33〈0.04~0.62〉)と複数菌株(SMD0.45〈0.12~0.79〉)のいずれも有効性が示された。用量別の解析では、中等量のみが有意な効果を示した(SMD0.38〈0.14~0.62〉)。

金銭的サポートを受けた研究と受けていない研究とに分類した解析の結果、有意差は認められなかった。

この結果に基づき論文の結論は、「プロバイオティクスの摂取は、健康な成人の運動能力をわずかではあるが、実質的に意義のある程度の上昇と関連しており、単一菌株製品と複数菌株製品の両方で効果が認められ、中等量の摂取で最も一貫した効果が示された」とまとめられている。

同時にまた、「現在のエビデンスの基盤は、サンプルサイズの小ささ、介入期間の短さ、投与量のばらつき、標準化されていないアウトカム指標によって制限されており、精度と一般化可能性が制約される。得られた知見をスポーツ栄養に適した実践的なガイダンスに変換するために、今後の研究は、多施設共同、盲検化、菌株の投与法に関する正確な報告、標準化されたテストプロトコルで実施され、かつ事前に規定された指標での評価が求められる」と付言している。

文献情報

原題のタイトルは、「Effect of probiotic intake on athletic ability in healthy people: a systematic review and Bayesian meta-analysis」。〔Front Nutr. 2026 Jan 30:13:1731627〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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