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これから筋トレを始めるという人には運動後の液体プロテイン摂取が有効な可能性 中国での8週間のRCT

筋力トレーニングの経験のない男子大学生を対象に、液体プロテイン摂取の並行介入を行うことで、筋力や筋量に上乗せ効果を期待できるとする研究結果が報告された。中国で行われた8週間の無作為化比較試験の結果であり、胸囲やベンチプレスなどでの裁断筋力の変化量に、対プラセボ(水)で有意差がみられたという。

これから筋トレを始めるという人には運動後の液体プロテイン摂取が有効な可能性 中国での8週間のRCT

先行研究が意外に少ない、筋トレ経験のない若年者を対象とする介入研究

アスリートにとっては筋力の強さが有利に働く場面が多くあり、アスリートのレジスタンストレーニング(resistance training;RT)の効果を高める栄養介入について、数多くの研究がされてきている。なかでも筋タンパク質の同化に必要なプロテインベースのサプリメントの有用性は、多くの知見が蓄積されている。またアスリート以外に、おもに高齢者のサルコペニアのリスク抑制という点でも、RTとタンパク質サプリの組み合わせによる介入効果が多く検討されてきている。

しかし、アスリート以外で筋肉量の不足が問題となるのは、なにも高齢者に限ったことではない。非高齢者であっても筋肉量が少ないことが、心血管代謝疾患や呼吸器疾患のリスク増大と関連していることが知られている。そのため、若年期から筋肉量を維持しておくことが、将来のそれら慢性疾患のリスク抑制につながる可能性も考えられる。今回取り上げる論文の著者らによると、それにもかかわらず若年者を対象としてRTにタンパク質サプリを上乗せすることの有用性は、これまであまり検討されていないとしている。

バイオアベイラビリティーの高い液体プロテインを用いたRCT

これを背景として著者らは、過去にRTの経験のない男子大学生を対象とする、RT単独介入とRT+液体プロテイン介入の2群間で、筋肉量や筋力に差が生じるかを無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)により検討した。

なお、液体のサプリを用いたのは、粉末や固形に比べ液体は迅速に消化・吸収され生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)が高く、RT直後の筋タンパク同化作用が亢進している時間帯に速やかに利用されるためと述べている。また、RT後には腸管粘膜障害のマーカーである腸管型脂肪酸結合タンパク(intestinal fatty acid-binding protein;I-FABP)が35%上昇するという報告があり、吸収効率を考慮してサプリの形態を選択することの意義も付記している。

筋トレ経験のない若年男子を2群に分けて8週間介入

この研究の参加者は、18~35歳でBMI 18.5~23.9のレジスタンストレーニング(RT)経験のない健康な男子大学生であり、食品アレルギーや慢性疾患、アルコール使用障害を有する人、サプリメント使用者、喫煙者などは除外された。

事前の統計学的検討から、有意性の検証に必要なサンプルサイズは各群15人と計算され、30人が募集された。体脂肪率とタンパク質摂取量(3日間〈平日2日、休日1日〉の食事記録を基に推定)の分布に差が生じないよう配慮したうえで、無作為に15人ずつの2群に分類。両群ともに週3回のRTを8週間にわたって継続してもらった。各RTセッション終了後30分以内に、1群には液体プロテイン、他の1群には水を300mL摂取させた。なお、割り付けは盲検化されなかった。

液体プロテインは600kJ(143kcal)で、タンパク質25g(カゼイン、ホエイ、コラーゲンの混合)、炭水化物6.9g、脂質0.9gのほか、14種類のビタミン・ミネラルが含まれていた。RTセッションは1回40分で、指定のジムにおいてトレーナーの監督下で行われた。セッションの10%以上(2回以上)を欠席した1人(RT単独群)は、その時点で介入を中止した。

RT+液体プロテインで胸囲と最大筋力がより大きく増大

ベースラインにおいて、BMI、体脂肪率、タンパク質摂取量に有意差はなく、また採血検査の平均値はRT単独群とサプリ上乗せ群の両群とも基準範囲にあった。エネルギー量、炭水化物、脂質、食物繊維の摂取量も同等だった。

また、介入期間中もエネルギー量、炭水化物、脂質、食物繊維の摂取量は同等だった。ただし、タンパク質、カルシウム、およびビタミンDの摂取量はサプリ上乗せ群が有意に高かった。

胸囲の変化に有意差

胸囲、ウエスト・ヒップ・上腕・大腿周囲長のうち、ウエストを除いて両条件ともに、介入後は介入前より有意に高値となっていた。ウエスト周囲長は両条件ともに有意な変化がなかった。これらのうち、胸囲については変化幅に有意差が認められ、サプリ上乗せ群のほうがより大きく変化していた(p=0.015)。

BMIや体脂肪率の変化については有意な群間差がなかった。また、下肢や上肢などの局所の筋肉量についても、介入前後の変化に有意差はなかった。

ベンチプレスとディープスクワットの最大筋力に有意差

筋力はベンチプレスとディープスクワットにより評価された。いずれも両群ともに介入によって有意に上昇していたが、上昇幅はサプリ上乗せ群のほうがより大きかった(ベンチプレスはp=0.007、ディープスクワットはp=0.018)。なお、筋持久力(反復回数)についての介入前後の変化については、ベンチプレスとディープスクワットのいずれも、群間差が非有意だった。

以上に基づき論文の結論は、「トレーニング後の液体タンパク質補給を組み合わせることで、最大筋力がより向上し、胸囲の増加も増大することが示唆された。適切なタンパク質摂取は、レジスタンストレーニング中の筋肉適応をサポートする」とまとめられている。ただし、盲検化をしていないこと、トレーニング後の炭水化物摂取は参加者の判断で自由に摂取できたことなどの限界点があり、慎重な解釈が必要と付け加えられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of an 8-week liquid protein supplementation on resistance training adaptations in untrained healthy college students」。〔PeerJ. 2026 Feb 11:14:e20778〕
原文はこちら(Informa PLC)

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