β-アラニン+重炭酸ナトリウムでピークパワーが上昇、回復促進の可能性 女子バスケ選手のRCT結果
いずれもエビデンスが豊富なエルゴジェニックエイドである、β-アラニンと重炭酸ナトリウムを併用した場合、それら単独よりもさらに大きな効果を期待できるのかを、高度なトレーニングを行っている女子バスケットボール選手対象の無作為化二重盲検試験で検討した結果が報告された。ポーランドにおける研究。

女子バスケ選手でβ-アラニン(BA)+重炭酸ナトリウム(SB)併用効果を検討
β-アラニン(beta-alanine;BA)と重炭酸ナトリウム(sodium bicarbonate;SB)は、とくに運動時のアシドーシスがパフォーマンスを制限するような状況において、その緩衝剤として働き、pH低下を抑制して筋疲労を抑える。BAとSBのいずれもエビデンスが豊富であり、さらにそれらの併用効果についてもシステマティックレビューが実施され有用性が報告されている。しかしそれらのエビデンスの多くは個人競技や持久系競技を中心とするものであり、チームスポーツでのエビデンスは多くなく、特にバスケットボールでの知見は限られている。
バスケットボールの特徴として、短時間の回復期間を挟みながら、スプリント、ジャンプ、急激な方向転換を伴う高強度の運動が繰り返されることが挙げられる。このような特徴をもつ競技での、BA、SB併用のエビデンスが少なく、さらに、スポーツ栄養全般に言えることだが、女性アスリートでのエビデンスがまだ少ない。
今回紹介する論文の研究では、以上を背景として、高度なトレーニングを行っている女子バスケ選手を対象とする二重盲検比較試験により、BA、SB併用効果を検討している。
BAとSBおよび、それぞれのプラセボを組み合わせた4群を設定し4週間介入
研究参加の適格条件は、16~35歳の女性でバスケットボールの経験が4年以上あり、週4回以上のトレーニングを行っていて、最近の怪我や疾患罹患がなく、研究参加の3カ月前からサプリメントを使用していないこととされた。統計学的検討から有意差の検証に必要なサンプルサイズは68と計算され、募集に応じた80人が研究に参加した。
後述の介入中のドロップアウトにより、介入を終了し解析対象者となったのはちょうど68人(各群17人)となった。主な特徴は、年齢21.4±4.2歳、バスケ歴11.3±4.8年、トレーニング量10.5±0.9時間/週、試合頻度1.2±0.4/週。
独立した研究者が無作為に4群に分け、フェーズ1として21日間、フェーズ2として7日間の介入を行った。設定された4群は以下のとおり。なお、すべてのサプリメントは不透明のカプセルとし、参加者・研究者ともに区別がつかない状態で支給された。
BA+SB群
フェーズ1(21日間)とフェーズ2(7日間)においてβ-アラニン(BA)6.4g/日を1日4回に分けて(朝食、昼食、夕食、間食)摂取し、さらにフェーズ2において重炭酸ナトリウム(SB)0.3g/kg/日を1日3回に分けて(朝食、昼食、夕食)摂取する群。
BA+PLSB群
フェーズ1とフェーズ2においてBAを上記同様(6.4g/日)に摂取し、さらにフェーズ2においてSBのプラセボを1日3回摂取する群。
PLBA+SB群
フェーズ1とフェーズ2においてBAのプラセボを1日4回摂取し、さらにフェーズ2においてSBを上記同様(0.3g/kg/日)に摂取する群。
PLBA+PLSB群
フェーズ1とフェーズ2においてBAのプラセボを1日4回摂取し、さらにフェーズ2においてはSBのプラセボを1日3回摂取する群。
評価項目について
主要評価項目は、(1)カウンタームーブメントジャンプ(countermovement jump;CMJ)、(2)ウィンゲート無酸素テスト(Wingate Anaerobic Test;WAnT)、(3)漸増サイクリングテスト(incremental cycling test;ICT)の介入前後での変化であり、副次的に、体重、体組成(生体電気インピーダンス法により計測)、心拍数、自覚的運動強度(ratings of perceived exertion;RPE)を評価した。
介入前と介入後のテストの2日前からは参加者ごとに食事内容をそろえ、テストの3時間前に標準化した食事を摂取。また、24時間前からは激しい運動を禁止した。なお、介入期間中は定期的に参加者へ連絡をとり、研究参加継続のモチベーションを維持した。
SBを含む介入でピークパワーが有意に上昇
主要評価項目のうち、ウィンゲート無酸素テスト(WAnT)については、重炭酸ナトリウム(SB)が含まれていた2群において、介入前に比較し介入後はピークパワーが以下のように、有意に上昇していた。BA+SB群は介入前が761±127W、介入後821±143W、PLBA+SB群は同順に783±160W、842±149W(いずれもp<0.001)。平均パワーやピークパワー到達時間、最大心拍数については、4群すべて、介入前後で有意差がなかった。
なお、介入前後のピークパワーの比較で有意差が認められなかった2群は、介入前時点においてピークパワーが有意な変化がみられた2群より高かった。例えばBA+PLSB群は介入前823±203Wで介入後が828±198Wであり、介入後の値は変化に有意差のあったBA+SB群より高かった。また、PLBA+PLSB群は同順に817±139W、841±139Wであり、介入後の値は4群内で2番目の高さだった。
漸増サイクリングテスト(ICT)については、介入後のBA+SB群とPLBA+SB群の最大心拍数に有意差がみられ、前者のほうが有意に低かった(p=0.04)。
カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)、および、副次評価項目の体重、体組成、自覚的運動強度(RPE)については、いずれの群も介入前後で有意差がなかった。
BA+SBはバスケに必要とされるピークパワー向上や心血管系負担軽減が期待される
著者らは本研究において、テストの実施日を参加者の月経周期や試合スケジュールを考慮せずに設定したことなどを、解釈上の留意点として挙げている。
そのうえで、「慢性的(28日間)のβ-アラニン(BA)摂取と短期的(7日間)の重炭酸ナトリウム(SB)摂取を組み合わせると、バスケットボールに典型的な反復的高強度動作中のピークパワーが向上する可能性があることが示唆された。さらに、BAとSB併用は、最大下運動中の心血管系の負担を軽減し、運動間の回復を促進する可能性がある」と結論づけている。
文献情報
原典論文のタイトルは、「Effects of Combined Versus Isolated Beta-Alanine and Sodium Bicarbonate Supplementation on Physical Capacity in Highly Trained Female Basketball Players: A Randomized Controlled Trial」。〔Int J Sports Physiol Perform. 2026 Mar 12:1-9〕
原文はこちら(Human Kinetics)







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