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月経中の怪我、発生率は変化しないが重症度が高い可能性 エリート女子サッカー選手を4年追跡

女性アスリートの月経中の怪我の発生率は非月経期と有意差がないものの、受傷後の試合やトレーニングからの離脱期間が長く、重症度は高い可能性があるとする研究結果が報告された。スペインの女子サッカーの最上位リーグであるリーガFに所属するチームの選手を、4シーズンにわたり継続的に観察した結果であり、著者らは女性アスリートの月経周期をモニタリングすることの重要性を強調している。

月経中の怪我、発生率は変化しないが重症度が高い可能性 エリート女子サッカー選手を4年追跡

月経は女性アスリートの受傷リスクを高めるのか?

月経は1周期あたり4~8日続く子宮内膜の出血を特徴とし、1日あたり約1mgの鉄が失われる。アスリートの場合、鉄の喪失に伴う易疲労、回復の遅延、および月経症状により、怪我のリスクが高まると考えられ、実際にそのことを示した複数の研究報告がある。しかしその一方で、月経と受傷リスクとの間に有意な関連はみられないとする報告もあり、結論は得られていない。

これを背景に今回取り上げる論文の著者らは、スペインのリーガF所属チームの選手を、2019/20~2022/23の4シーズンにわたり継続的に観察し、月経と受傷リスクとの関連の有無を検討した。リーガF(旧:リーガ・イベルドローラ)は同国内の最上位リーグであり、本研究の対象としたチームは欧州サッカー連盟(UEFA)チャンピオンズリーグで、前記の期間に優勝を2度果たしている。

研究参加選手は合計33人(25.72±4.27歳)で、複合ホルモン避妊薬を使用している選手、無月経の選手は除外された。19/20シーズンは17人、20/21は20人、21/22は18人、22/23は22人であり、11人は4シーズンすべてに参加した。

発生率は有意差がないが、戦線離脱期間は月経中に発生した怪我のほうが有意に長い

月経の状態は記録アプリを用いて自己申告に基づき判断された。月経周期は平均31日であり、月経期間(卵胞期初期の出血のある期間)は4日であり、臨床的に正常の範囲だった。

怪我の発生件数と発生率の比較

4シーズンにわたる観察期間中に、合計852回の月経周期が記録された。また4シーズンで80件の怪我が発生していた。

月経期と非月経期での比較

そのうち69件(86.2%)は非月経期に発生し、月経期に発生したのは11件(13.7%)だった。1,000時間あたりの怪我の発生率は、6.42件(95%CI;5.09~7.99)であり、非月経期は6.48件(5.11~8.21)、月経期5.36件(2.97~9.69)であって、有意差はなかった(p=0.5519)。

試合中とトレーニング中とでの比較

なお、全体の18件(22.5%)は試合中に発生し、62件(77.5%)はトレーニング中に発生していた。1,000時間あたりの怪我の発生率としてみると、同順に5.94件、6.41件であり有意差はなかった(p=0.7762)。

怪我の重症度の比較

月経期と非月経期での比較

次に、試合やトレーニングからの離脱期間に着目すると、1,000時間あたり283日(274~293)であり、非月経期に発生した怪我では206日(197~215)、月経期に発生した怪我では684日であって、月経期に発生した怪我のほうが有意に長かった(p=0.0027)。

試合中とトレーニング中とでの比較

なお、試合中に発生した怪我での離脱期間は261日、トレーニング中に発生した怪我では290日であり、有意差はなかった(p=0.2260)。

女性アスリートの月経周期を把握しトレーニング等を考慮することが重要

著者は本研究の限界点として、受傷リスクに影響を及ぼすことが知られている、睡眠の質、栄養状態などを把握していないこと、観察期間の初期(主に2019/20シーズン)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響を受けたために受傷リスクが変化した可能性のあること、および、4シーズンにわたる観察期間中にコーチや選手が入れ替わり、サンプル内に異質性が生じている可能性があることなどを挙げている。

そのうえで得られた結果を、「エリート女子サッカー選手を対象とした4シーズンにわたる縦断研究で、月経期と非月経期の怪我の発生率は類似していたものの、月経期に発生した怪我はその負担が大きく重症度が有意に高かった。これらは、月経が怪我の可能性を高めるわけではないが、怪我が発生した場合により深刻な結果につながる可能性があることを示唆している」と総括。また、「本研究は、怪我の予防戦略においてアスリート個々の月経周期を把握すること、そしてトレーニング負荷、疲労、症状の重症度といったホルモン因子と非ホルモン因子の双方を考慮することの重要性を強調するものである」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Menstruation and injury occurrence; a four season observational study in elite female football players」。〔Front Sports Act Living. 2025 Dec 16:7:1665482〕
原文はこちら(Frontiers Media)

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