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減量が厳しいほど回復が困難 フィジークアスリートの慢性LEA、REDsリスク、回復の課題を検証

フィジークアスリートを対象に、減量と回復について定性的に調査した報告を紹介する。半構造化インタビューにより、競技会参加前後の体重管理に関する五つのテーマが特定されたという。

減量が厳しいほど回復が困難 フィジークアスリートの慢性LEA、REDsリスク、回復の課題を検証

フィジークアスリートは慢性的にLEA状態であることが少なくない

フィジークアスリートは体型・体組成の目標を達成すために、意図的に利用可能エネルギー不足(low energy availability;LEA)の状態とすることがある。LEAは、スポーツの一場面において計画的になされる場合、許容されることもある。ただ、慢性的なLEA状態は、内分泌代謝、心血管、消化管、メンタルヘルスに負の影響をもたらすことがあり、典型的な場合は、スポーツにおける相対的エネルギー不足(relative energy deficiency in sport;REDs)となり医学的介入の対象とされる。

このため、競技会参加にあわせた急性LEA戦略が用いられることはあるものの、基本的にLEAは可及的に避けるべきと考えられる。しかしフィジークの場合、急性LEAではなく慢性LEAが、競争プロセスの一部として認識される傾向がみられる。その理由の一つに、LEA戦略がとられる他の競技とは異なる特性が挙げられる。

つまり、LEAが戦略的に導かれることの多い体重別階級のある競技では、大会参加直前の計量をパスした直後から回復戦略がとられ、次の試合参加の前までは極端な減量がなされることはない。それに対してフィジークにおいては通常、体重階級は設けられていないために明確な減量の目標値がないこともあって、回復の概念も明確でない。よって、競技会参加後にも日常的にLEAが維持されやすい。これがフィジークアスリートに慢性LEAが多い一因として指摘できる。

フィジーク選手は、意図的な慢性LEAを、どのように認識しているのだろうか。また、実際にどのように体重管理を行っているのだろうか。今回紹介する研究は、これらの疑問の答を探ることを目的に実施された。

19人のフィジークアスリートに半構造化インタビュー

この研究では、オーストラリア、ニュージーランド、北米、欧州のナチュラルフィジカルアスリート(アンチドーピング指針に従いパフォーマンス向上薬を使用せずに競技会に参加している選手)19人に対し、半構造化インタビューが行われた。研究参加の適格条件は、年齢18歳以上、各国地域レベル以上の競技会への参加経験、および、減量と回復の経験があることとされていた。参加者はスノーボール方式により集められた。

19人のうち11人(58%)が男性で、競技歴は6~10年が約半数(47%)であり、3~5年と11年以上が各26%であって、競技レベルは地域大会レベルが16%、全国大会レベルが47%、世界大会レベルが37%だった。

インタビューはzoomを用いて1対1で行われ、所要時間は45~90分だった。事前に2名のスポーツ栄養士、1名のコーチ、および3名の選手によってパイロットテストが行われ、言語の明瞭性、適切性などを評価した。

減量戦略が厳格で極端であればあるほど、競技後に直面する課題は多くなる

解析の結果、競技会参加前後の体重管理経験に関して、(1)プライドと苦悩、LEAリスクの合理化、(2)エネルギーバランスの回復、(3)減量後のボディーイメージ、(4)自律性の発達、(5)回復サポートの機会――という五つのテーマが特定された。これらのうち、(1)と(2)について一部を紹介する。

(1)プライドと苦悩、LEAリスクの合理化

アスリートは、空腹、疲労、社会的犠牲を成功の指標とみなしていた。苦しみをそのように捉えることで、スポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)の初期症状が覆い隠され、不規則な行動や睡眠不足、筋力・生殖機能・認知機能の低下などの生理的な変化を正常化して解釈していた。否定的なアウトカムは、生理的危機のシグナルではなく、個人的な弱さや努力の欠如として捉えられた。アスリートたちは利用可能エネルギー不足(LEA)の症状を、競技で成功するための計算されたトレードオフと見なし、受け入れていた。

「私は苦労を周囲に言えなかった。そうすることによってプログラムから外され、『君には必要な資質がない』と言われたくなかったからだ」(男性)、「不健康であることは、ほんの短い期間だから受け入れられる」(同)といったコメントがなされた。また一部のアスリートは、初期の行動が無謀だったことを認め、「トレーニングやあらゆることに無謀に打ち込み、自分のメンタルヘルスについてはあまり気にしていなかった」(同)と述べている。

このような傾向は、とくにキャリアの初期段階においてコーチへの依存によって強化された。アスリートたちは、厳格な規律を強化し、時には質問することを妨げるようなコーチや仲間との関係性について語った。「コーチの言うことは何でもやる。コーチには質問しない。彼に疑いをかけたくないから。それで心配事が一つ減る」(女性)。このような依存は意思決定のためのストレスを軽減するかもしれないが、機能不全の明らかな兆候があるにもかかわらず、有害な戦略を維持することにもつながる。「コーチは私にケトジェニックダイエットをさせた。それはまるで100%タンパク質のようで、炭水化物はなしだ。炭水化物は敵だ…。そのとき私はやつれきっていた」(男性)。

(2)エネルギーバランスの回復

競技直後は、減量期そのものと同じくらい大変だったとされていた。急激な体重増加、食べ物への強いこだわり、消化器系の問題、そして心理的な課題を伴うようであった。減量戦略が厳格で極端であればあるほど、競技後に直面する課題は多くなっていた。また、長期にわたる食事制限に伴う代謝機能障害と心理的混乱が組み合わさると、回復はさらに困難になることが示唆された。「多くの要素に関してこれほどまで厳格に決めつけてしまうと、その厳格さを維持する目的を見出すのが難しくなる。まさに重要な時期において、最も困難なことは、栄養に関する目的を見出すことかもしれない」(男性)。

参加者はさまざまな回復戦略を試したと述べたが、普遍的に効果的であると考えられる単一のアプローチは特定されなかった。回復の成功は、特定の栄養戦略よりも、心理的な準備、競技後の目標の明確さ、および以前の経験に依存しているようであった。空腹感の乱れや食べ物への執着は競技後も数カ月続くことが多かった。

参加者は、回復には時間が必要であると指摘した。構造化された栄養管理はコントロール感をもたらすが、完全な回復は緩やかな生理的および心理的な適応によって促進される、多因子プロセスであると理解されていた。このような洞察は、回復が直線的でなく、かつ均一でないことを裏付けるものと解された。

著者らは、「今後の研究では、個々の回復モデルを探求して、健康とパフォーマンス双方のアウトカムを最適化し得る、具体的な栄養戦略の有効性を検証する必要がある」としている。

文献情報

原題のタイトルは、「The harder the prep, the harder the recovery: a qualitative exploration of physique athlete perspectives on competition weight loss and restoration」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2025 Dec;22(1):2576238〕
原文はこちら(Informa UK)

SNDJ特集「相対的エネルギー不足 REDs」

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