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大学生アスリートの歯周病リスク25.8%、スポーツ関連の疼痛やQOLとの関連が明らかに

国内の大学生アスリートの歯周病リスクの実態が報告された。同世代の一般人口よりもリスクが高い可能性があり、またリスクのあるアスリートはスポーツ関連の疼痛を有することが多く、QOL指標の一部に有意な低下がみられるという。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の鈴木良雄氏らが同大学運動部に所属している学生を対象に行った横断研究の結果であり、「Sports」に論文が掲載された。

大学生アスリートの歯周病リスク25.8%、スポーツ関連の疼痛やQOLとの関連が明らかに

日本人アスリートの歯周病の実態を探る研究

過去のいくつかの調査により、アスリートは歯周病の有病率が高いことが示唆されている。さらに歯周病の存在がパフォーマンスに影響を及ぼしたり、怪我のリスクを高めたりする可能性があることも報告されている。しかし日本人アスリートの歯周病の実態はほとんど調査されていない。

歯周病の有無や重症度の正確な評価には歯科での検診が必要だが、近年、口腔内の細菌が産生するトリプシン様ペプチダーゼの活性を測定(trypsin-like peptidase activity assay;TLP-AA)することで、歯周病リスクをある程度評価できるようになってきた。この手法は、被験者自身が起床後にスワブを用いて舌を擦過し、採取した検体を分析するというもので、歯科受診を要さない。鈴木氏らはこのTLP-AAキットを用いて学生アスリートの歯周病リスクを評価するとともに、QOLやスポーツパフォーマンス、免疫状態などとの関連を検討した。

学生アスリートの4人に1人は歯周病リスクあり

研究参加者は、順天堂大学の運動部(バスケットボール、バレーボール、陸上競技)の学生から募集された313人で、男子学生が57.5%だった。

主な評価項目は、TLP-AAキットスコアと、口腔状態が日常生活に及ぼす影響(Oral Impacts on Daily Performance;OIDP〈飲食、睡眠を含むリラックス、恥ずかしがらずに歯を見せて笑うという3項目の支障〉)、スポーツパフォーマンスへの影響(Oslo Sports Trauma Research Centre;OSTRC)、免疫状態(7項目の質問票〈immune Status Questionnaires;ISQ〉と全般的健康状態の11段階の評価指標〈11-point numerical rating scale;NRS〉)だった。

TLP-AAキットスコアは、1点、1.5点、1.75点、2点、3点、4点、5点という7段階で判定され、スコアが大きいほど歯周病リスクが大きいことを意味する。本研究の対象者では、1点(陰性と定義)が74.1%を占めており、1.5点が13.7%、1.75点が7.0%、2点が5.1%だった。3点以上のアスリートはいなかった。

厚生労働省の令和4年「歯科疾患実態調査」では、深さ4mm以上の歯周ポケットを有する割合が15~24歳では17.8%と報告している。評価指標が異なるため直接比較はできないが、今回の調査で歯周病リスク陽性者(TLP-AAキットスコア1.5点以上)の割合は25.8%であり、この世代のアスリートの歯周病リスクは一般集団よりも高い可能性のあることが示唆された。

歯周病リスクの有無がQOL、スポーツ関連疼痛などと関連

歯周病リスクがある陸上部の学生は、笑顔を見せることに支障を感じる割合が高い

次に、歯周病の有無(TLP-AAキットスコア1.5点未満/以上)と、口腔状態が日常生活に及ぼす影響(OIDP)との関連を解析。その結果、歯周病リスクとOIDPとの間に有意な関連は認められなかった。

ただし、性別および競技別に解析すると、陸上競技部の学生については歯周病リスクあり群において、恥ずかしがらずに歯を見せて笑うことに支障を感じている割合が有意に高かった(p=0.033)。なお、他の競技では全体解析と同様、歯周病リスクの有無による有意差はなく、性別での解析も同様だった。

歯周病リスクのある学生アスリートは、スポーツ関連の疼痛をより多く経験している

スポーツパフォーマンスへの影響については、過去1週間で「スポーツ活動に何らかの支障があったか」、「トレーニング量を減らしたか」、「パフォーマンスが低下したか」という3項目には、歯周病リスクの有無による有意差は認められなかった。しかし、「過去1週間でスポーツに関連する疼痛を経験したか」という質問に対する「YES」の回答は、歯周病リスクなし群が8.6%であるのに対して、歯周病リスクあり群は18.5%と有意に多かった(p=0.016)。

これを性別および競技別に解析した場合、男性において歯周病あり群に多いという有意差が認められ(p=0.004)、女性および競技別の解析では有意差がみられなかった。

歯周病リスクがある陸上部の学生は、健康状態の不良や免疫能の低下が多い

7項目の質問票(ISQ)と11段階の全般的健康の評価指標(NRS)の回答は、全体解析では歯周病リスクの有無で有意差がなかった。ただし、性別および競技別に解析すると、陸上競技部の学生については歯周病リスクあり群において、全般的健康状態が不良との回答が有意に多く(p=0.032)、免疫能の低下が示唆される割合が有意に高かった(p=0.047)。

著者らは本研究について、単一の大学での調査であること、健康な若年アスリートにおけるTLP-AAキットスコアの妥当性が未検証なことなどの限界点があるとしたうえで、「国内の大学スポーツ選手における歯周病リスクの有病率は、同年齢層の一般集団よりも高い可能性が示された。さらに、歯周病リスクがQOL、スポーツパフォーマンス、免疫状態に悪影響を及ぼす可能性も示唆された。これらの結果を確認するため、より大規模な研究が望まれる」と結論づけている。

文献情報

原題のタイトルは、「Periodontal Risk, Self-Reported Quality of Life, and Sports Performance: A Cross-Sectional Study of Japanese University Athletes」。〔Sports (Basel). 2026 Jan 4;14(1):18〕
原文はこちら(MDPI)

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