パフォーマンス目的のサプリ摂取が健康関連QOL低下を招く? アスリートのサプリ摂取習慣を競技レベル別に調査
プロ、アマチュア、レクリエーションレベルのアスリートのサプリメント摂取習慣を調査し、同時に評価した健康関連の生活の質(health-related quality of life;HRQOL)との関連性を検討した、イタリアで行われた研究の結果を紹介する。サプリを使用するアスリートの特徴が浮き彫りになり、またサプリ使用とHRQOLの有意な関連が示されている。

競技レベル別のサプリ摂取状況や摂取目的、HRQOLとの関連性などを比較検討
サプリメントを習慣的に摂取しているアスリートは少なくない。しかし、競技レベル別に使用状況や使用目的などを比較した研究は十分でなく、また、サプリ摂取が健康関連の生活の質の維持・向上に寄与しているのか否かもあまり研究されていない。今回紹介する論文ではこれらの点について、イタリア国内での横断研究により検討している。
調査の参加者はソーシャルメディアやスポーツクラブを通じて募集され、質問はすべてオンラインで行われた。回答の適格条件は、年齢が18歳以上で、現在または過去にスポーツを行っていたこととされた。538人が回答し、うつ1人は回答が不十分のため除外され、537人を解析対象とした。
主な質問内容は、身体活動の頻度と継続期間、競技レベル、サプリの摂取状況、身体活動およびサプリ摂取の動機などに関する24項目の質問と、HRQOLの評価のための質問。HRQOLの評価には、36項目からなる健康状態の包括的尺度(36-item Short Form Health Survey;SF-36)を用いた。SF-36は、身体機能、日常役割機能(身体・精神)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、心の健康という8項目のサブスケールと、それらの合計である総合スコアで評価する。スコアの高さはHRQOLが良好であることを意味する。
解析対象者の特徴
解析対象者537人の主な特徴は、年齢32.44±13.64(範囲18~76)歳、男性60.7%で、BMIは24.22±4.07(同15.21~42.45)であり、大半(98.4%)がイタリア人だった。習慣的にスポーツを行っている期間は16.71±12.08(1年未満~60年)年だった。
39.1%が調査時点で競技レベルのスポーツを行っており、44.7%は過去に競技レベルのスポーツに参加していた。16.2%は競技レベルでのスポーツ活動の経歴のないレクリエーションアスリートだった。また、0.7%は調査時点でプロとして活動しており、6.9%は過去にプロとして活動していた。他の92.4%はアマチュアまたはレクリエーションレベルだった。
サプリを摂取しているアスリートはHRQOLがわずかに低い
サプリ摂取状況
全体として、46.7%がスポーツへの参加時期にサプリを摂取していた。サプリを摂取しているアスリートでは平均1.91±1.54(範囲1~8)種類のサプリを摂取していた。
摂取しているサプリの種類は、マルチビタミン/ミネラルが最も多く39.1%であり、次いでホエイプロテインが27.2%、エナジードリング19.7%、クレアチン19.4%、カフェイン16.0%、カルニチン8.9%などだった。摂取の目的はパフォーマンスの向上が66.7%、ボディーイメージの向上が6.4%で、25.9%はそれら両者を挙げた。
サプリ摂取率を性別で比較すると女性より男性が有意に高かった。BMIは摂取率との有意な関連がみられなかった。このほか、サプリの摂取目的がパフォーマンス向上のアスリートは、ボディーイメージの向上が目的のアスリートよりもサプリ摂取率が高く、スポーツを行っている期間が長いアスリートのほうが短いアスリートよりもサプリ摂取率が高いという有意差も認められた。
健康関連の生活の質(HRQOL)の状況
健康関連の生活の質(HRQOL)の総合スコアは、サプリを摂取しているアスリートが71.02±14.27、摂取していないアスリートが73.39±13.39であり前者のほうが低く、わずかに有意水準未満の差が認められた(p=0.051)。つまり、サプリを摂取しているアスリートは、HRQOLが低い傾向にあった。ただし、効果量(Cohenのd)は0.169と小さかった。
8項目のサブスケールを比較すると、体の痛みのスコアが同順に79.86±20.59、84.34±19.13であり、前者のほうが低く有意差が認められた(p=0.009、d=0.226)。つまり、サプリを摂取しているアスリートは、体の痛みをより強く感じていた。また、日常役割機能(精神)もサプリを摂取しているアスリートのほうが低値であり(p=0.036、d=0.181)、社会生活機能についてもサプリ摂取アスリートのほうが低いという有意差が認められた(p=0.049、d=0.171)。その他の5項目は有意差がなかった。
HRQOLを性別で比較すると男性(73.64±13.62)のほうが女性(70.21±13.96)よりも有意に高かった(p<0.01、d=0.25)。また、長年にわたり身体活動量を維持しているアスリート(73.53±13.69)は、以前よりも身体活動量が減少したアスリート(67.18±14.96)よりもHRQOLが有意に高かった(p=0.011)。
サプリ摂取は、場合によっては身体の不快感やオーバートレーニングに関連する可能性
著者らは本研究が横断研究であるため因果関係は不明であること、すべてのデータが自己申告であることなどを限界点として挙げている。また、サプリを摂取しているアスリートのほうがHRQOLの総合スコアが低い傾向があり、体の痛みなどはサプリを摂取しているアスリートが有意に強いという結果については、健康状態が不良であるためにサプリを摂取しているアスリートの存在が示唆されるとしている。ただし、有意差がみられた項目も効果量は小さいことから、アスリートのサプリ摂取はHRQOLの向上または低下に強い関連はないとの考察も加えている。
論文の結論には、「サプリ使用はBMIや競技レベルとは関連していなかったが、身体活動の規則性や運動のモチベーションとは関連していた。さらに、サプリ使用者は非使用者よりもHRQOLスコアがわずかに低く、体の痛みのサブスケールには有意差が観察された。これらの結果は、サプリ摂取が必ずしも生活の質の改善につながるとは限らず、場合によっては身体的不快感やオーバートレーニング行動につながる可能性があることを示唆している」と述べられている。
文献情報
原題のタイトルは、「Health-Related Quality of Life and Dietary Supplement Use in Physically Active People and Athletes: A Cross-Sectional Study」。〔Sports (Basel). 2025 Sep 11;13(9):321〕
原文はこちら(MDPI)







熱中症予防情報
SNDJユニフォーム注文受付中!

