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筋肥大と炭水化物の量に関連なし? 筋トレと炭水化物摂取の関係を検証したメタ解析で有意差なし

筋力トレーニングによる筋肥大に対する炭水化物摂取の影響を、システマティックレビューとメタ解析で検討した結果が報告された。有意な結果は示されていない。著者らは、エネルギー量とタンパク質摂取量が充足されている限り、炭水化物の摂取量は個人の好み、および筋肥大以外の影響という視点で判断してよいと結論づけている。

筋肥大と炭水化物の量に関連なし? 筋トレと炭水化物摂取の関係を検証したメタ解析で有意差なし

タンパク質摂取量が同等の条件下で炭水化物摂取量の多寡は筋トレ効果に差を生むか

筋肥大に重要な主要栄養素はタンパク質だが、炭水化物もトレーニング量をサポートすることなどを介して筋肥大に関与するという複数の報告がある。また、炭水化物摂取によりインスリンおよびインスリン様成長因子の分泌が刺激され、それが筋肥大に寄与するという考え方もある。しかし、今回取り上げる論文の研究背景によると、これまでのところ炭水化物摂取量の多寡により筋力トレーニングで誘発される筋肥大に関するシステマティックレビューやメタ解析の報告はない。

本研究は、システマティックレビューとメタ解析のための優先報告項目(PRISMA)ガイドラインに準拠して、MEDLINE、SPORTDiscus、SciELO、Google Scholarを用いたシステマティックレビューが行われた。2025年6月までに収載された論文の中から、18~65歳の健康な成人を対象に6週間以上の筋トレ介入を行い、炭水化物摂取量の多寡による筋肉量への影響の差異を検討し、英語で報告されている論文を適格とした。タンパク質の摂取量に条件間の差がある研究、炭水化物以外のサプリメントの摂取量に条件間の差がある研究は除外した。

一次検索で1,347報がヒットし、重複削除後の1,347報を2名の研究者が独立してタイトルと要約に基づくスクリーニングを実施。採否の意見の不一致は合意に至るまで討議された。21報を全文精査の対象として、最終的に11件の研究報告を適格と判断した。

全体での主解析およびサブグループ解析のいずれも結果は非有意

11件の研究のサンプルサイズは20.6±5.6人で介入期間は8.5±2.3週であり、2件を除いて習慣的にトレーニングを行っている個人を対象としていた。11件中7件は男性のみ、3件は男性と女性、1件は女性のみが参加していた。筋肉量の評価にエコー検査を用いていたのは2件のみで、他は全身の除脂肪体重(fat-free mass;FFM)を評価していた。

主解析はSMDが0.15で非有意であり、異質性はみられないという結果

11件の研究はいずれも、炭水化物の摂取量の多寡により筋肉量への影響に有意な差は生じないことを報告していた。メタ解析の結果も、非有意だった(標準化平均差〈SMD〉=0.15〈95%CI;-0.10~0.40〉、p=0.230)。

また、研究間の異質性は認められなかった(I2=0%、τ2=0.06)。効果量の予測区間(prediction interval)は-0.19~0.49と計算された。著者らは、「将来的には有意差を示す研究が報告される可能性も完全には否定されない」と記している。

感度分析やサブグループ解析でも、すべて非有意という結果

11件の研究を一つずつ除外するという手法の感度分析が実施された。結果はすべて主解析と同様に非有意であり一貫していた。解析結果に最も強い影響を及ぼしている1件を除外した感度分析ではSMD=0.08(p=0.557)となり、効果量が主解析よりも減弱した。

サブグループ解析として、条件間の摂取エネルギー量が同等という設定で行われた3件の研究でのメタ解析の結果はSMD=0.15(p=0.198)と効果量は主解析と等しく、異質性も低かった(I2=38%)。筋肉量の変化をエコーで直接評価した2件の研究は、SMD=-0.260だった。

炭水化物摂取による筋肥大の可能性についてはさらなる研究が必要

以上の結果について著者らは、「本研究から、炭水化物摂取が筋トレによる筋肥大に有意な影響を与えないことが確認され、この結果は感度分析、サブグループ解析などで一貫していた」と総括。この結果の妥当な説明として、まず、筋トレで誘発されるグリコーゲンの枯渇は通常、限定的なものにとどまることを指摘している。別の理由としては、研究における炭水化物摂取量の条件間の差が少なかったことの影響も考えられるとしている。また、炭水化物が筋肉量の評価結果になんらかの影響を及ぼすとしても、その一部はグリコーゲンの多寡に伴う水分量の差を表している可能性もあるという。

ただし一方で、炭水化物摂取による筋肥大の可能性が完全に否定されたわけではないとも付け加えている。また、高齢者や女性対象の研究がわずかしかないこと、長期介入研究の報告がないことも、このトピックにおける研究ギャップとして指摘している。

論文の結論は、「現時点でのエビデンスは、炭水化物摂取が筋トレ誘発性筋肥大の独立した因子であることを裏付けていない。実際上、摂取エネルギー量とタンパク質摂取量が満たされている場合、筋肥大のために炭水化物摂取を重視する必要はないことが示唆される。しかしながらエビデンスの確実性は高いとは言えず、信頼性を高めるためにさらなる研究が求められる」とまとめられている。

文献情報

原題のタイトルは、「The Effect of Carbohydrate Intake on Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-analysis」。〔Sports Med. 2026 Feb 19〕
原文はこちら(Springer Nature)

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