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新型コロナ後遺症にクレアチンが有効の可能性 欧州での小規模なRCTで有意な結果

2024年03月26日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期を脱した後にさまざまな症状が遷延する後遺症に対して、クレアチンが有効な可能性を示唆するデータが報告された。プラセボ(偽薬)が投与された群に比べて、介入後の集中力の低下、頭痛などのスコアが有意に低下したという。

新型コロナ後遺症にクレアチンが有効の可能性 欧州での小規模なRCTで有意な結果

COVID-19パンデミック収束後にも尾を引く後遺症

2019年末に発生したCOVID-19パンデミックは2023年5月に世界保健機関(WHO)が緊急事態の終了を宣言し、国内でも感染症法の位置づけが5類になるなど、落ち着きを取り戻している。しかし、COVID-19に罹患した患者の多くが後遺症に悩まされていることが、引き続き大きな課題として残されている。

COVID-19後遺症がなぜ生じるのかはまだ明らかでなく、治療法も確立されていない。COVID-19後遺症を線維筋痛症や慢性疲労症候群に類似の病態と捉える見方があり、線維筋痛症や慢性疲労症候群に対してはクレアチンが症状改善に有効であるとする報告がある。これらを背景として今回紹介する論文の著者らは、COVID-19後遺症に対するクレアチンの有効性を、小規模な無作為化プラセボ対照二重盲検試験で検討した。

1日4gのクレアチンによる6カ月の介入の影響を対プラセボで検討

この研究の対象は過去3カ月以内にPCR検査で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陽性が確認され、倦怠感や頭痛、集中力の低下、疼痛などのCOVID-19後遺症と考えられる症状を訴える、18~65歳の患者12人。COVID-19以外の呼吸器疾患または心血管疾患のある患者、および過去4週間以内に何らかのサプリメントを摂取していた患者は除外されている。

無作為に二分し1群にはクレアチン一水和物を1日4g、プラセボ群にはイヌリンを、超食時に250mLの湯に混ぜて摂取してもらった。両者は、外観、味などから区別がつかないように調整した。介入期間は他疾患に対する先行研究の報告に基づき6カ月とし、介入期間中は他のサプリメントの摂取を禁止した。

事前に設定した評価項目は、疲労感に関する20項目の質問からなる多次元疲労インベントリ(multidimensional fatigue inventory MFI-20)のスコア、主観的な自覚症状、臨床的に評価された運動耐容能、および、クレアチンの組織レベルであり、主要評価項目は身体活動に重要な内側広筋のクレアチンレベルだった。

これらのうちMFI-20は、全般的疲労感、身体的疲労感、活動性の低下、意欲の低下、精神的疲労感という五つの要素を評価し、スコアが高いほど疲労感が強いことを意味する。主観的な自覚症状は、嗅覚・味覚障害、呼吸困難、疼痛、頭痛、集中力低下などをビジュアルアナログスケール(VAS)で患者自身に評価してもらった。運動耐容能はトレッドミルによる負荷試験により評価した。またクレアチンの組織レベルは、プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーという測定法で把握した。

主な患者背景は、クレアチン群は年齢31.7±9.4歳、BMI22.5±4.5で、プラセボ群は23.3±2.0歳、BMI24.5±3.1であり、どちらも女性と男性が同数(3人ずつ)だった。

組織クレアチンレベル

内側広筋のクレアチンレベルは、プラセボ群はベースラインから、3カ月、6カ月時点で有意な変化が観察されなかった。それに対してクレアチン群は3カ月、6カ月時点でベースラインに比べて有意に高値となり、かつプラセボ群との比較で有意差が認められた。そのほか、左前頭白質にも介入後の値がプラセボ群より高いという有意差が認められた。

その他の部位のクレアチンレベルは両群ともに介入前後で有意差がなく、群間差も非有意だった。

疲労感(MFI-20)のスコア、および運動耐容能

MFI-20で評価する五つの要素のうち、全般的疲労感のスコアについてはクレアチン群で介入3カ月時点において、対ベースラインで有意な低下(改善)がみられた。ただし、6カ月時点では非有意となっていた。一方、プラセボ群では意欲の低下のスコアが、6カ月時点において対ベースラインで有意な上昇(悪化)が観察された。

その他の要素は両群ともに介入前後で有意差がなかった。また両群のスコアの比較では、すべての要素について有意差のみられたポイントはなかった。

トレッドミルによる運動負荷試験で評価した、疲労困憊に至るまでの時間は、両群ともに介入前後で有意差がなく、群間差も非有意だった。

主観的な自覚症状の評価

自覚症状のVASスコアは、クレアチン群では経時的に複数の項目の有意な改善が認められた。例えば、ベースラインにおいて、味覚障害は5.0±5.5、呼吸困難は2.3±2.6、疼痛は4.5±2.1、集中力の低下は4.0±2.3であったものが、6カ月時点はすべて0.0±0.0となっていた。また介入後の値がプラセボ群より有意に低かった。

頭痛に関しては、クレアチン群では3.8±3.5から0.5±1.2へ有意に低下し、プラセボ群でも4.4±3.6から0.0±0.0へと有意に低下していた。

評価の確立にはさまざまな集団での検討が必要

これらの結果に基づき著者らは、「クレアチンを6カ月間摂取すると、組織の生体エネルギーが改善されてCOVID-19後遺症としての疲労に関する臨床症状が軽減される。これは恐らくクレアチンのエネルギー補充作用と神経保護作用によるものと考えられる」と結論づけている。

また、現在COVID-19パンデミックは収束したが、COVID-19の後遺症はいまだ蔓延している。この状態に対して、「クレアチンが非常に重要な役割を果たす可能性がある」としている。ただし、本研究の限界点として、サンプル数が少ないこと、食事からのクレアチン摂取量や組織へのクレアチン取り込みに影響を及ぼす可能性のある身体活動レベルを評価していないことなどを挙げて、「我々の発見の確認のために、さまざまなコホートでの追試が必要とされる」と付け加えられている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of six-month creatine supplementation on patient- and clinician-reported outcomes, and tissue creatine levels in patients with post-COVID-19 fatigue syndrome」。〔Food Sci Nutr. 2023 Sep 20;11(11):6899-6906〕
原文はこちら(John Wiley & Sons)

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