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乳製品の摂取頻度とメンタルヘルスとの間に有意な関連 新型コロナ禍の中国で大学生を調査

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下の中国の大学生を対象に行われた横断研究の結果、乳製品の摂取量が多いほど、感情の問題や社会的適応の困難さなどで評価したメンタルヘルスの不調が少ないという関連のあることがわかった。著者によるとこの研究は、中国の大学生の乳製品摂取量とメンタルヘルス状態との関連を明らかにした、初の研究だという。

乳製品の摂取頻度とメンタルヘルスとの間に有意な関連 新型コロナ禍の中国で大学生を調査

若者のメンタル不調は世界的な問題

世界保健機関(World Health Organization;WHO)によると、世界で毎年15~29歳の若者が8万人、自殺によりこの世を去っているという。またCOVID-19パンデミックが人々のメンタルヘルスに影響を及ぼしたことが多くの国々から報告されており、この研究が行われた中国でも約4割の学生がパンデミック中に不安症状を生じたというデータが報告されている。さらに、大学生のうつ病や不安症の有病率は、2005年が15.6%であったのに対して、2018年には31.0%にまで上昇しているとする報告もある。

一方、乳製品の摂取量が骨折リスクと逆相関することが古くから知られており、近年ではメタボリックシンドロームやメンタルヘルスのリスクとも逆相関する可能性のあることが指摘されるようになった。ただし、メンタルヘルスとの関連はいまだ知見が十分とは言えない。

中国長江デルタ地域8大学の学生6千人の横断研究

この研究は、中国の長江デルタ地域(上海などが含まれる経済活動の活発な地域)にある8大学の学生5,997人に対して実施され、5,904人から有効回答を得た(有効回答率98.45%)。解析対象者の平均年齢は20.13±1.24歳で、男子が43.3%。

乳製品の摂取量は、過去1週間の摂取頻度を基に、週2回以下、3~5回、6回以上の三つのカテゴリーに分類。メンタルヘルス状態は、中国の大学生対象調査として広く用いられている15項目からなる調査票で評価し、7点以上の場合を「精神症状あり」と判定した。

このほかに共変量として、年齢、性別、BMI、加糖飲料摂取頻度、中~高強度身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)、スクリーンタイム、睡眠の質(ピッツバーグ睡眠質問指数〈Pittsburgh Sleep Quality Index;PSQI〉)、社会経済的地位などを把握した。

乳製品の摂取量の多い大学生はメンタルヘルス上の問題が有意に少ない

乳製品の摂取頻度は、週2回以下が25.68%、週3~5回42.09%、週6回以上32.23%だった。また、精神症状ありと判定された学生の割合は、17.31%だった。

乳製品の摂取頻度と共変量との関連をみると、摂取頻度が高いのは、男性より女性で多く、また社会経済的地位が高い学生、スクリーンタイムが短い学生、加糖飲料摂取頻度が低い学生、睡眠の質が高い学生、中~高強度身体活動(MVPA)が多い学生が、乳製品摂取頻度が高かった。評価した共変量の中で、BMIに関しては乳製品摂取頻度と有意な関連がなかった。

共変量を調整後にもメンタルヘルスと有意な関連

次に、年齢、BMI、MVPA、スクリーンタイム、加糖飲料、睡眠の質、社会経済的地位の影響を調整したロジスティック回帰分析を施行。その結果、全体解析および性別の解析のいずれも、乳製品摂取頻度が低い学生ほど、メンタルヘルス上の問題を抱えているという関連が示された。

詳細は以下のとおり。いずれも乳製品摂取頻度が最も高い、週6回以上を基準としたオッズ比(OR)であり、傾向性p値はすべて0.001未満。

感情的な問題は、乳製品摂取頻度が週に3~5回はOR0.99で非有意だが、週に2回以下ではOR1.29(95%CI;1.08~1.55)で有意。行動上の問題は、摂取頻度が週に3~5回はOR1.06で非有意、週に2回以下ではOR1.31(1.09~1.57)で有意。社会適応上の問題は、摂取頻度が週に3~5回はOR1.00、週に2回以下ではOR1.21でいずれも有意(上述のように傾向性は有意)。精神症状ありに該当するオッズ比は、摂取頻度が週に3~5回はOR1.07で非有意、週に2回以下ではOR1.42(1.18~1.71)で有意。

なお、男女別に解析した結果もすべて傾向性p<0.001だった。

今後は乳製品のタイプ別の研究が求められる

著者らは本研究で明らかになったこととして、パンデミック下での中国の大学生の精神症状が17.31%に認められ、これは既報研究(8.10%という報告がある)に比べると高い値であること、男子学生より女子学生でその割合が高いこと、この違いはストレス反応性モデルによりある程度説明可能であること、乳製品の摂取頻度が高い学生は精神症状ありに該当するオッズ比が有意に低いことなどを挙げている。

また、乳製品がメンタルヘルスに対して保護的に働くメカニズムについては、乳製品に豊富なトリプトファンがセロトニン生成に使われ、セロトニンが不安の増大を抑制するように働く可能性があること、腸内細菌叢の組成を調整することを介した抗うつ、抗不安、睡眠改善作用も想定されることなどを、既報研究からの考察として述べている。

一方、横断研究であるため因果関係には言及できず、また乳製品の摂取頻度のみを評価していて、摂取量や摂取されている乳製品の種類が把握されていないことを研究の限界点として挙げている。とくに後者については、低脂肪乳製品がうつ病リスクの低下と関連がある一方で、全脂肪乳製品はメンタルヘルスの悪化と関連しているとする報告もあることから、今後のより詳細な検討の必要があるとしている。

文献情報

原題のタイトルは、「Association between Dairy Consumption and Psychological Symptoms: Evidence from a Cross-Sectional Study of College Students in the Yangtze River Delta Region of China」。〔Int J Environ Res Public Health. 2023 Feb 13;20(4):3261〕
原文はこちら(MDPI)

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