スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2024 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

エナジードリンクの健康への影響や安全性などに関する疑問や誤解を科学的に解説 ナラティブレビューによる16項目のQ&A

今回は、アスリートに限らず広く飲用されているエナジードリンクについて、ありがちな誤解や質問をピックアップし、ナラティブレビューに基づく回答を加えた論文を取り上げる。Q&Aは16項目あり、それぞれについて詳細な解説と結論が述べられている。ここでは結論部分を中心に紹介する。なお、この論文の著者らの研究グループは、過去に同様のフォーマットにより、プロテインやクレアチン、カフェインなどについても論文を発表している。

エナジードリンクの健康への影響や安全性などに関する疑問や誤解を科学的に解説 ナラティブレビューによる16項目のQ&A

エナジードリンクに関するよくある質問と誤解

1. エナジードリンクの主な有効成分は何か?

カフェイン、糖質、タウリン、ビタミンB群などが一般的に含まれている。中でもカフェインは最も重要。

75の製品の含有成分を調査した結果、カフェインは100%の製品に含まれていて、平均含有量は174±81mgだった。カフェイン以外で含まれていることの多い成分は、ビタミンB6(72.0%の製品が含有)、ナトリウム(70.7%)、ナイアシン(66.7%)、ビタミンB12(66.7%)、糖類(45.3%)、ビタミンB5(37.3%)、タウリン(37.3%)、カリウム(34.7%)などだった。

2. エナジードリンクは体重管理に役立つか?

体組成には影響を与えないと結論付けるのが妥当。

3. エナジードリンクは有酸素運動能力を高めるか?

エナジードリンクは、とくに長時間の活動において、持久力のパフォーマンスに若干のメリットをもたらす可能性があることが示唆されている。

4. エナジードリンクは運動速度を高めるか?

カフェイン含有量が体重あたり3mg/kgを超えるエナジードリンクを摂取すると、個人競技や団体競技での運動速度が向上するというエビデンスがある。

5. エナジードリンクは反応時間を短縮するか?

カフェインを含むエナジードリンクは、視覚と聴覚の反応時間を短縮するとするエビデンスがあるが、それらの研究の一貫性が十分でない。

6. エナジードリンクは除脂肪量を増やすか?

市販のエナジードリンクを摂取することで、若い健康な成人の上半身・下半身の筋持久力とパワーが向上するというエビデンスがある。しかし、エナジードリンクが除脂肪量を増加させるという、ヒトでのエビデンスはない。

7. エナジードリンクは認知機能を向上させるか?

エナジードリンクが認知機能に与える影響を評価した複数の研究で、覚醒度、集中力、記憶力、注意力が向上することが示されている。

8. エナジードリンクの急性摂取は、安静時のエネルギー消費量を増加されるか?

市販されているさまざまなエナジードリンクは、摂取後最大3時間後までの安静時エネルギー消費量を増加させる可能性がある。

9. エナジードリンクの摂取に対する反応に性差はあるか?

エナジードリンクに対する反応に性差があることを示唆するエビデンスは限られている。

10. エナジードリンクは睡眠や眠気に影響するか?

エナジードリンクのほぼ100%にカフェインが含まれている。カフェインを過剰に摂取したり、タイミングを間違えて摂取したりすると、睡眠パターンが乱れ、認知機能が低下する可能性がある。

11. 妊娠中の女性はエナジードリンクを避けるべきか?

エナジードリンクのほぼ100%にカフェインが含まれている。カフェインの摂取源がエナジードリンクのみであることは少なく、他の飲食物に含まれるカフェインとの合計の摂取量は推奨の上限を超える可能性がある。妊娠中の有害事象はわずかなリスクであっても、児に取り返しのつかない結果をもたらす可能性があるため、妊娠中のエナジードリンクの摂取は推奨されない。

12. エナジードリンクは心血管機能に悪影響を及ぼすか?

エナジードリンクはカフェイン含有量が高く、成分の相互作用も伴うため、血圧や心拍数の上昇など、心血管系へ急性の影響を引き起こす可能性があると示唆されている。

13. エナジードリンクの摂取は脳にダメージを与えるか?

これらの飲料がヒトの脳にダメージを与えるというエビデンスはない。

14. エナジードリンクに関するその他の安全上の考慮事項は?

エナジードリンクの潜在的なリスクについて認識しておく必要があるが、長期間(数カ月または数年)にわたり、複数のエナジードリンクを摂取した場合に生じる心血管反応については、依然として明確にされていない。

15. エナジードリンクが、同量のカフェイン単独よりも効果的であることを示唆するエビデンスはあるか?

エナジードリンクと同量のカフェイン単独とのエルゴジェニック効果の比較に関するデータは限られている。しかし、カフェイン単独でもエルゴジェニック効果が得られる可能性が高いと考えられる。

16. カフェインがエナジードリンクの主な有効成分であるならば、なぜコーヒーとエナジードリンクとで、報告されている有害事象が一致しないのか?

エナジードリンクはコーヒーのような単一成分の飲料ではなく、大きなばらつきがある。エナジードリンクで報告されている有害事象の性質について、明確な一つの結論を出すことは困難。エナジードリンクとコーヒーを、ともにカフェインが同じように含まれている飲料と仮定すると、カフェインに対する感受性の高い人の場合、その摂取量が有害事象の主要な原因となる可能性が高いと考えられる。

文献情報

原題のタイトルは、「Common Questions and Misconceptions About Energy Drinks: What Does the Scientific Evidence Really Show?」。〔Nutrients. 2024 Dec 27;17(1):67〕
原文はこちら(MDPI)

この記事のURLとタイトルをコピーする
志保子塾2025前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ