スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2023 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

クレアチンサプリに関する一般的な質問と誤解 国際スポーツ栄養学会がQ&Aを発表

国際スポーツ栄養学会の「Journal of the International Society of Sports Nutrition」に、「クレアチンサプリメントに関する一般的な質問と誤解(Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show?)」というタイトルのレビュー論文が掲載された。

クレアチンサプリに関する一般的な質問と誤解 国際スポーツ栄養学会がQ&Aを発表

クレアチンのサプリメントはアスリートの間で支持が高く、また、高齢者のサルコペニアや筋疾患患者の治療などにも適用されることがある。既に多くのエビデンスが蓄積されており、一般的な推奨量(3~5g/日または0.1g/k/日)では高い安全性が示されている。

ただし、論文の著者によると、「クレアチンの有効性と安全性に関して、いまだにいくつかの疑問が呈されることがある」という。本論文は、それらの残されている疑問を12項目取り上げ、エビデンスに基づいて解説したもの。

これら12項目の疑問への回答をまとめるため、クレアチン摂取に関し国際的に著名な専門家が招集され、その専門家グループにより、科学的エビデンスに基づく評価が行われた。各質問項目に対し、そのトピックに関する1人の研究者が回答を作成。その後、その回答を専門家グループの全著者が査読し、各意見を反映のうえ承認された。

以下に、各質問項目とその回答の部分のみを抜粋して要約する。

1.クレアチンは水分貯留につながるか?

短期的にはクレアチンの摂取によって、主として細胞内容積の増加に起因する水​​分貯留量が増加することを示唆するいくつかの報告がある。一方で、長期的にはそのことが筋肉量と比較した全身の水分量(細胞内または細胞外)を変化させないことを示唆する、他の複数の研究が存在する。結果として、クレアチンの補給は水分貯留につながらないと考えられる。

2.クレアチンは同化ステロイドホルモンか?

クレアチンの化学構造は同化ステロイドホルモンとは全く異なる。同化ステロイドホルモンではない。

3.クレアチンは腎臓に障害を与えたり、腎機能低下を引き起こすか?

実験的にコントロールされた研究は、クレアチン摂取が推奨用量でなされた場合、腎障害や腎機能低下を引き起こさないことを示している。

4.クレアチンは脱毛/脱毛症を引き起こすか?

現時点の一連のエビテンスは、クレアチン摂取が総テストステロン、遊離テストステロン、ジヒドロテストステロンを増加させたり、脱毛や脱毛症(禿頭症)を引き起こしたりすることを示していない。

5.クレアチンは脱水症状や筋肉の痙攣を引き起こすか?

実験的研究や臨床的研究は、クレアチン摂取が脱水症や筋肉の痙攣を引き起こすという考え方を検証していない。結論としては、クレアチン摂取は、脱水症や筋肉の痙攣を引き起こさない。

6.クレアチンは小児や青年に有害か?

限られたエビデンスに基づくと、クレアチンサプリメントは安全であり、小児や青年にとって潜在的に有益であるようだ。

7.クレアチンは脂肪量を増やすか?

クレアチン摂取は、多くの集団において脂肪量を増加させない。

8.クレアチンの「ローディングフェーズ」は必要か?

蓄積された報告は、クレアチンを「ロード」する必要がないことを示している。高用量ではない連日のクレアチンサプリメント摂取(3~5g/日)は、筋肉内のクレアチン貯蔵、筋肉量の維持および筋肉のパフォーマンスの向上、回復の促進に効果的。

9.クレアチンは高齢者にとって有益か?

クレアチン摂取は、とくに運動と組み合わせた場合に、高齢者に筋骨格系およびパフォーマンス上のメリットをもたらすことを示すエビデンスが増えている。クレアチンの摂取のみでも高齢者に、筋肉量やパフォーマンス上のメリットをもたらし得る。

10.クレアチンはレジスタンス運動やパワー系スポーツにのみ役立つのか?

クレアチンサプリメントの恩恵を受ける可能性があるのはレジスタンス運動やパワー系スポーツだけでなく、さまざまなスポーツが該当する。

11.クレアチンは男性にのみに効果があるのか?

クレアチン摂取には副作用がほとんどなく、女性の生涯にわたり、健康の維持増進のための介入手段の一つとなり得る可能性があるとするエビデンスが蓄積されつつある。

12.クレアチン一水和物でない他の形態のクレアチンは、より優れているのか。また、それらの安定性は?

クレアチン一水和物以外に存在するいくつかの形態は、クレアチン一水和物よりも溶解しやすいかもしれない。ただし、科学的エビデンスはクレアチン一水和物が最適な形態であることを明確に示している。

文献情報

原題のタイトルは、「Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show?」。〔J Int Soc Sports Nutr. 2021 Feb 8;18(1):13〕
原文はこちら(Springer Nature)

この記事のURLとタイトルをコピーする

特集「クレアチン」

クレアチンに関する記事

志保子塾2024前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ