スポーツ栄養WEB 栄養で元気になる!

SNDJ志保子塾2024 ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー
一般社団法人日本スポーツ栄養協会 SNDJ公式情報サイト
ニュース・トピックス

クレアチンを筋力トレーニング中にのみ摂取した場合の影響 身体活動の多い若年者で検討

クレアチンの摂取とレジスタンストレーニングにより、筋肉量とパフォーマンスが向上することが知られているが、クレアチンをいつ摂取すべきかは明らかになっていない。そこでレジスタンストレーニング中のみのクレアチン摂取でもトレーニングの効果増強を得られるか、身体活動の多い生活を送っている若年成人を対象とした研究が行われ、その結果が報告された。

クレアチンを筋力トレーニング中にのみ摂取した場合の影響 身体活動の多い若年者で検討

研究対象と試験デザイン

レジスタンストレーニングを週に3日、6週間以上継続している19〜35歳の男女がこの研究に登録された。試験デザインは二重盲検プラセボ対照試験。事前の検出力分析により有意差を得るには34名の対象者が必要であることが示されたが登録されたのは26名だった。

クレアチン群には0.1g/kg/日のクレアチンを、プラセボ群には色や味、外観、質感が類似したプラセボを、それぞれ週に5日のトレーニング日のみ摂取させた。トレーニングとクレアチンまたはプラセボによる介入は6週間とした。

介入効果は、肘や膝の筋肉厚の測定、レッグプレス、チェストプレス、垂直跳び、メディシンボールスローによる筋力・筋持久力の測定により評価した。また介入中の3日間(トレーニング日2日+非トレーニング日1日)の被験者自身による食事記録をもとに摂取エネルギー量と摂取栄養バランスを評価した。

筋蛋白質の代謝回転に影響を及ぼす可能性があるため、介入に際してはふだんの食習慣や運動習慣を変更したり、サプリメントを使用しないよう指示し、また筋力テストの前24時間は激しい運動を控えるとともに、3時間前からは水以外の飲食を禁止した。

ベースライン時に群間の有意差はなし

介入期間中に、プラセボ群の4名(すべて女性)が、時間的な制約、医師の推奨、怪我(介入と関係ないもの)等により脱落し、最終的にクレアチン群13名(男性7名、女性6名)、プラセボ群9名(男性6名、女性3名)、計22名が6週間の介入を受けた。このうち3日間の食事記録を解析し得たのは、クレアチン群9名(男性6名、女性3名)、プラセボ群8名(男性5名、女性3名)、計17名だった。

ベースライン時の年齢、体重、身長、筋肉厚、筋力、摂取エネルギー量、摂取栄養バランスは両群同等で有意差は認められなかった。介入期間中、両群ともに摂取エネルギー量が減少した。トレーニング量は群間差がなかった。

筋肉厚に有意差はないもののパフォーマンスに有意差が生じる

では、6週間のレジスタンストレーニングとクレアチン摂取による介入の、筋肉量やパフォーマンスへの影響をみてみよう。

筋肉厚

評価した肘屈筋、肘伸筋、膝屈筋、膝伸筋、足関節屈筋のうち、足関節屈筋を除くすべての部位の筋肉厚は、介入前より介入後に、両群ともに有意に増加していた。変化量の群間差は有意でなかった。

筋力パフォーマンス

レッグプレスおよびチェストプレスの負荷量で評価した筋力は、クレアチン群ではどちらも介入前より介入後に有意に向上していた。一方、プラセボ群は有意な変化がみられなかった。性別に解析すると、クレアチン群における有意な向上は男性のみで認められた。

レッグプレスの実施可能回数で評価した筋持久力は、クレアチン群では介入によって有意に増加していたが、プラセボ群は有意な変化がみられなかった。チェストプレスの実施可能回数は、両群ともに有意に増加していた。

垂直ジャンプは両群ともに介入により有意に向上し群間差はなく、メディシンボールスローは両群ともに介入による有意な変化はみられず群間差はなかった。

クレアチンのより効果的な摂取方法の研究へ

著者らは本研究を、「筋力の増加とパフォーマンスに対する、レジスタンストレーニング中のクレアチン摂取の影響を調べた初めての研究である」とし、結果は「非常に小規模なコホートにもかかわらず、トレーニング日のみのクレアチン摂取が、身体活動の多い若年成人の筋力と筋持久力(チェストプレスを除く)の増大をもたらした」とまとめている。

なお、クレアチン群の女性1名が介入1週目に消化器症状を訴えたが、脱落せずに介入期間を終了し、それ以外、プラセボ群も含め有害事象は報告されなかったという。また、筋力パフォーマンスにおいて女性はプラセボと有意差が得られなかったこと、および筋肉厚については男女ともに有意差が得られなかったことについては、サンプルサイズが当初の計画よりも少なかったこと、および介入期間を6週間に限定したことなどが影響している可能性を著者らは考察している。

結論として、「レジスタンストレーニング中のクレアチンの摂取は、安全で効果的な戦略である」としたうえで、「ワークアウト中のクレアチン摂取が、他のタイミングでの摂取よりも有益かどうかは不明。今後の研究では、クレアチン摂取のタイミングによる筋肉量とパフォーマンスに及ぼす影響の違いを明らかにする必要がある」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effects of Creatine Supplementation during Resistance Training Sessions in Physically Active Young Adults」。〔Nutrients. 2020 Jun 24;12(6):E1880〕
原文はこちら(MDPI)

この記事のURLとタイトルをコピーする

特集「クレアチン」

クレアチンに関する記事

志保子塾2024後期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部
facebook
Twitter
LINE
ニュース・トピックス
SNDJクラブ会員登録
SNDJクラブ会員登録

スポーツ栄養の情報を得たい方、関心のある方はどなたでも無料でご登録いただけます。下記よりご登録ください!

SNDJメンバー登録
SNDJメンバー登録

公認スポーツ栄養士・管理栄養士・栄養士向けのスキルアップセミナーや交流会の開催、専門情報の共有、お仕事相談などを行います。下記よりご登録ください!

元気”いなり”プロジェクト
元気”いなり”プロジェクト
おすすめ記事
スポーツ栄養・栄養サポート関連書籍のデータベース
セミナー・イベント情報
このページのトップへ