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肉および魚介類摂取量をバイオマーカーで把握できるか? 文献レビューでの検討

筋肉の維持に必要な必須アミノ酸の供給源として肉の摂取は重要である。また成長・発達に必要な微量元素の利用可能性も高い。一方で、加工肉や赤身肉の多量摂取は心血管疾患、がん、全死亡の増加と関連するとされる。そのため、これらの食品の摂取量を適切に把握することが望まれる。しかし食生活アンケートや食事記録などの自己評価ツールは正確性に乏しい。とくに、健康的な食品または非健康的な食品と認識されている食品に関しては、報告の信頼性がより低下する。さらに調理法の違いによる影響も考慮する必要もある。

肉および魚介類摂取量をバイオマーカーで把握できるか? 文献レビューでの検討

これらのネックをトータル的に解決する方法として、バイオマーカーを用いて摂取量を推定する手法が考えられる。本レビューは、現時点で利用可能性のあるバイオマーカーを横断的に取り上げ、それぞれの長所・短所をまとめたもの。文献検索は、PubMed、Scopus、およびISI Web of Knowledgeを用い、2015年11月から12月の間に行い、すべての食品の情報を2018年12月末に更新した。

論文の結論として、約20種類のバイオマーカーとなり得る可能性のある物質を取り上げている。以下にその一部を抜粋する。

肉摂取の一般的なバイオマーカー

肉摂取の一般的なバイオマーカーの報告は953件ヒットし、最終的に26件が選択基準を満たした。主なマーカーとして、アンセリン、カルノシン、クレアチン、クレアチニン、カルニチン、アシルカルニチン、タウリンなどが挙げられる。なお、尿素窒素(BUN)は多くの研究で総蛋白質摂取量の評価に使用されていたが、肉摂取量のバイオマーカーではないため、リストには含めていない。 検体は主に尿であり、その後に血漿が続いたが、糞や毛髪を用いるものもある。

ヒスチジン関連化合物

脊椎動物の筋肉には、カルノシン、アンセリン、バレニンが存在する。従ってこれらは肉の摂取量の評価指標となる可能性がある物質として検討の候補に挙がる。

カルノシンについては、牛肉や豚肉、鶏肉などの摂取後、尿中でそのレベルが増加することが報告されている。食後5時間後にピークに達し、20〜25時間以内に尿中に完全に排泄される。よって24時間の尿定量検査により、陸生動物の食肉総摂取量を推定できる。一方、血漿カルノシン値に関しては、報告により一致せず食肉摂取のマーカー候補ではない可能性がある。

アンセリンは、尿中レベルが鶏の摂取量の良いマーカーと報告されている。血漿アンセリンレベルは、牛肉や豚肉、加工肉などと用量反応的な関連がみられるが、鶏肉とは関連がない。

カルニチン、アシルカルニチン

カルニチンは、必須アミノ酸であるリジンとメチオニンから体内で合成される。血漿レベルは肉食者で最も高く、魚介類摂取者、ベジタリアン、ビーガンがそれに続く。肉や魚に含まれるアミノ酸と脂肪酸の摂取を反映している可能性があり、動物性食品摂取量の一般的なマーカーと見なされることがある。しかし、年齢、性別、尿中への排泄などの生理的条件次第で変動し、定量的評価に適したマーカーではない可能性があり、単一のマーカーとしての可能性にはさらなる検証が必要。

クレアチン、クレアチニン

クレアチンは、赤身の肉、魚、家禽を含む肉を主な食事源として変動する。いくつかの研究は、肉の摂取後の尿中クレアチンレベルの増加を報告し、肉を含む1回の食事でさえ尿中クレアチンを増加させるとの報告もある。赤身肉および家禽の習慣的摂取のマーカーとしてクレアチンの循環レベルの活用が提案されているが、それを裏付ける実験的研究は不足している。現時点では、尿および血漿/血清中クレアチンは、肉の総摂取量のマーカーの候補である。

クレアチニンは、体内でのクレアチンの分解および肉の調理中にも発生する。尿中クレアチニン値が、極端なレベルの肉摂取に対してのみ、食物摂取バイオマーカーとして機能することが示されている。尿中への排泄は体内で高度に調節されており、腎機能が正常な人のクレアチニンは、総筋肉量に比例する。よって筋肉量を補正せずに、肉の摂取量をクレアチニンから推定することはできない。したがって、一般的な肉摂取量のバイオマーカーとして有用ではない。

タウリン

タウリンは動物組織で最も豊富な遊離アミノ酸であり、主に卵や乳製品を含む動物性食品の摂取に由来するが、生体内で合成もされる。菜食主義者に比べ雑食性の被験者では高い尿中タウリンレベルが報告されている。肉の摂取量との一部関連があるとする介入研究もあるが、総摂取量を評価するのに十分なほど堅固ではない。

魚介類摂取のバイオマーカー

既に複数のバイオマーカーが魚介類の摂取に関連していることが明らかになっている。ω-3(n-3)長鎖多価不飽和脂肪酸(n-3LCPUFA)に関する研究が多くを占めるが、最近提案されているものとして、フラン脂肪酸、アスタキサンチン、有機ヒ素化合物などがある。なお、魚介類の摂取には食物連鎖の影響が強く現れるため、そのバイオマーカーは、それら魚介類が生息する地域の環境に一部依存する可能性がある。

n-3LCPUFA

エイコサペンタエン酸 (EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)、およびそれらの中間生成物であるドコサペンタエン酸(DPA)などのn-3LCPUFAは、脂肪の多い魚介類に多く含まれている。甲殻類や赤身魚、淡水魚などではあまり高くないものの、陸生動物の食肉は数十~100分の1レベルに低い。

血中のn-3LCPUFAは魚介類摂取のバイオマーカーとして用いられている。血液検体では短期間の摂取量を反映するが、赤血球膜や脂肪組織では長期間の習慣的な摂取を反映する。摂取量との用量反応関係が複数の研究で報告されている。

n-3/n-6脂肪酸比

n-3/n-6比、EPA/AA比などの脂肪酸の比率は、魚の消費に関連する健康上の結果に相関する可能性がある。しかしこれらの値は他の食料源によって影響される可能性がある。よって魚と肉の摂取量を比較する対照研究でのみ有用かもしれない。

フラン脂肪酸

DHA、EPAに加えて最近、フラン脂肪酸が魚介類摂取のバイオマーカーとして提案された。地中海食によってフラン脂肪酸が増加することや、脂質異常症患者で魚油摂取後の血漿および尿にその値が増加し、4週間のウォッシュアウト後も依然として高値が維持されていたことなどが報告されている。

アスタキサンチン

アスタキサンチンは、藻類、オキアミ、ザリガニ、サケ、イクラ、エビ、カニなどに多く、とくにサケや甲殻類の甲皮に多い。血清中のアスタキサンチン濃度は、サプリメントとして10〜100mg摂取後、12時間でCmaxが50〜280μg/Lに達し、半減期は12〜21時間。アスタキサンチン濃度の測定は再現性が高い可能性があるが、一部の研究では個体間の応答の相違が非常に大きいと報告されている。

有機ヒ素化合物

食物連鎖の結果、魚介類にはかなりの量のヒ素が含まれている。海水中の無機ヒ素は海洋生物の生体内で有機ヒ素化合物に変換される。そのうちのアルセノベタインはヒトでの検討において、尿中レベルは個体間変動が少なく、水生肉摂取量との関連も認められ、それら食品の有望なバイオマーカーの候補と考えられる。

上記のほか、本論文では検討した約20種類のバイオマーカー候補物質について、その検体、マーカーとしての妥当性、用量反応性、時間応答、信頼性、安定性、パフォーマンス、再現性を評価し、それらの結果を一覧形式にまとめた表も掲載されている。

文献情報

原題のタイトルは、「Biomarkers of meat and seafood intake: an extensive literature review」。〔Genes Nutr. 2019 Dec 30;14:35〕

原文はこちらSpringer Nature)

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