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クレアチンによる疲労感の軽減、筋肉の張りや硬さの解消・回復促進をヒト対象試験で確認

クレアチン摂取によって、運動後の疲労感が軽減され、筋肉の張りや硬さの解消、および筋力の回復が促進されるとする研究結果が、国内外の学会で発表された。いずれも、ヒトを対象とするプラセボ対照比較試験の結果。大正製薬発行の2報のニュースリリースを基に紹介する。

クレアチンによる疲労感の軽減、筋肉の張りや硬さの解消・回復促進をヒト対象試験で確認

運動後に残る疲労感・筋肉の張り・筋力低下が軽減

大正製薬と慶應義塾大学体育研究所の稲見崇孝氏らを中心とした研究チームは、アミノ酸の一種であるクレアチンが、運動後の筋損傷に由来する筋肉の疲労感・張り・筋力低下などを軽減させることをヒト対象試験において確認し、第11回日本トレーニング指導学会大会(2022年12月3日、東京)にて発表した。

クレアチンの摂取は、筋力の増大や運動パフォーマンスの向上効果が確認されているアミノ酸であり、これは既にスポーツの現場で広く認知されていて、アスリートなどが摂取するサプリメント等にも多く配合されている。本研究では、3gのクレアチンを28日間摂取することによる、運動後に残る疲労感・筋肉の張り(上腕周囲径の増加)・筋力(最大等尺性筋力※1)の低下に対する効果を、対プラセボで検証した。

※1 最大等尺性筋力: 肘を直角に曲げた状態で手首に固定されたベルトを引っ張る力を測定。

その結果、プラセボ群と比べクレアチン摂取群において、運動後の筋肉の疲労感が軽減されることが確認された(図1)。

図1 運動後の筋肉の疲労感に対するクレアチンの効果(VAS※2での評価)

運動後の筋肉の疲労感に対するクレアチンの効果(VASでの評価)

n=10、二元配置分散分析、*: p<0.05、**: p<0.01、vs. プラセボ群。
※2 Visual Analogue Scale: 「0」を「疲労はない」状態、「100」を「想像しうる最も激しい疲労」状態として、現在の疲労感が100mmの直線上のどの位置にあるかを評価する方法。
(出典:大正製薬)

また、運動後の筋肉の張りを抑制し、筋力の回復を促進する効果も確認された(図2、3)。

図2 運動後の筋肉の張りに対するクレアチンの効果

運動後の筋肉の張りに対するクレアチンの効果

n=10、二元配置分散分析、*: p<0.05、**: p<0.01、vs. プラセボ群。
(出典:大正製薬)

図3 運動後の筋力低下に対するクレアチンの効果

運動後の筋力低下に対するクレアチンの効果

n=10、二元配置分散分析、*: p<0.05、**: p<0.01、vs. プラセボ群。
(出典:大正製薬)

本研究により、クレアチン摂取は、運動後の筋損傷に由来する筋肉の疲労感を軽減することが明らかとなった。

運動後の筋肉の硬さを速やかに軽減

また、同社と稲見氏らの研究チームは、クレアチンが運動後の筋肉の硬さ※3などの疲労症状を軽減することをヒト対象試験で確認し、欧州スポーツ科学学会(ECSS2023、7月4~7日、パリ)で発表した。欧州スポーツ科学学会は、世界最大規模の国際学会の一つ。

※3 筋肉の硬さ:超音波エラストグラフィによって評価される筋肉の伸びにくさの指標。スポーツの現場では、ストレッチ効果や治療経過の観察のために用いられる。

この研究では、健康な若年男性を2群に分け、1群にはクレアチンモノハイドレート(クレアチン)を、他の1群には結晶セルロース(プラセボ)を、1日3g、28日間摂取してもらった。この介入終了後に、肘関節等尺性最大屈曲筋力の50%負荷のダンベルを使用した10回、5セットの伸張性収縮運動にて筋肉の硬さを評価したところ、クレアチン摂取により運動後の筋肉の硬さが軽減されることが明らかになった(図4)。

図4 運動後の筋肉の硬さに対するクレアチンの効果

運動後の筋肉の硬さに対するクレアチンの効果

n=10、Bonferroni法、*: p<0.05、**: p<0.01、vs. プラセボ群。
(ECSS Paris 2023発表内容より改変)
(出典:大正製薬)

筋肉の硬さは、可動域の低下や肉離れにつながることが報告されている※4ことから、クレアチンの摂取は、パフォーマンス向上や怪我のリスク低減をもたらすことが期待される。

※4 Front Bioeng Biotechnol. 2022 Aug 15;10:958242(DOI: 10.3389/fbioe.2022.958242)

クレアチンは、運動後に「筋肉の硬さを軽減」させるだけでなく、本稿の前半で紹介した研究から「疲労感の軽減」「筋肉の張りの緩和」「筋力の回復促進」にも有効であることが示されており、運動後のリカバリーを促進することが示唆される。これまでクレアチンは、主として筋肉量増加を目的とするアスリートを中心に摂取されることの多い成分だったが、運動後に残る疲労から素早く回復したい人にとっても有益な成分である可能性がある。

図5 クレアチンによる運動後のリカバリー効果(イメージ)

クレアチンによる運動後のリカバリー効果(イメージ)

(出典:大正製薬)

ニュースリリース

クレアチンによる運動後に残る疲労感・筋肉の張り・筋力低下の軽減効果をヒト試験で確認(大正製薬)
クレアチンが運動後の筋肉の硬さを速やかに軽減することをヒト試験で発見

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