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特集「クレアチン」
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第4回「中高齢者のクレアチン摂取効果」

サプリメントを効果的かつ安全に活用するためには、サプリメントに関する正しい知識が不可欠です。本シリーズでは、スポーツサプリメントの代表格であるクレアチンについて、エビデンスに基づいた情報をテーマ別に取り上げます。第4回目は中高齢者のクレアチン摂取により期待される効果を試験結果と併せてご紹介します。

特集「クレアチン」第4回「中高齢者のクレアチン摂取効果」

加齢に伴う筋肉量の減少・体力の低下

一般的な人の筋肉量は30歳頃から減少しはじめ、60代以降になるとその減少はより加速する

25~65歳にかけて減少する筋肉量は25~35%、成人後の生涯で失われる体力は30~40%と言われており、加齢による筋肉量の減少は体力の低下と密接に繋がっている1)

これらの進行は早期からの対策で遅らせることが可能であり、基本となる適度な運動や適切な食事に加え、正しい知識に基づいたサプリメントの活用が予防対策として有用である。

加齢に伴うクレアチン体内量の減少

クレアチンは筋肉のエネルギー源であり、短時間高強度の運動、いわゆる瞬発力の発揮・維持に関与している。(第1回「クレアチンの基礎 その効果と作用機序、歴史」参照

この瞬発力は瞬間的に大きな力を発揮する(例:重い荷物を持ち上げる)だけでなく、立ち上がりや歩行といった日常的な動作の機敏さ・疲れにくさにも関わる力である。

クレアチンはクレアチンリン酸として筋肉中に蓄えられているが、加齢とともにその体内量は減少していく2,3)。また運動により消費されるクレアチンリン酸の再合成率は体力回復の目安の一つだが、これも加齢とともに低下し、30歳を過ぎると10年毎に最大8%ずつ低下していく4)

クレアチンリン酸の体内量

(出典:文献5より引用)

体内のクレアチンリン酸量は加齢とともに減少

一方で、クレアチンを摂取することで、体内のクレアチンリン酸量が中高齢者でも若年者と同レベルまで増加することが試験で示されている5)

  • 試験内容:平均年齢30歳の若年男女5名と平均年齢58歳の中高齢男女4名を対象に、クレアチン0.3g/kg・体重を5日間摂取。
  • 試験結果: 中高齢男女のクレアチンリン酸の体内量が若年男女と同レベルまで増加した。

クレアチンリン酸の体内量

(出典:文献5より引用)

この試験ではまた、中高齢者のクレアチンリン酸の再合成率も有意に向上し若年者と同レベルになったことが示された。
この試験から、クレアチンの摂取は若年者以上に中高齢者こそ大きな恩恵を得られる可能性が示された。

中高齢者のクレアチン摂取効果

中高齢者のクレアチン摂取が筋力や身体機能および筋肉量に与える効果は、短期間摂取・長期間摂取双方の試験で示されている。

1.短期間のクレアチン摂取効果6)

  • 試験内容: 59〜72歳の男性18名を対象に、クレアチン0.3g/kg・体重を7日間摂取。
  • 試験結果: 筋力と下肢身体機能(椅子立ち上がり回数・歩行速度)が有意に向上した。

短期間のクレアチン摂取効果

(出典:文献6より引用)

2.長期間のクレアチン摂取効果(a)7)

  • 試験内容:平均年齢69.6歳の男女20名を対象に、クレアチン3g/日を12週間摂取。また週3回の低強度の水中運動プログラムも実施。
  • 試験結果:クレアチンを摂取した群はプラセボ群よりも運動効果が一層高まった。

長期間のクレアチン摂取効果

(出典:文献7より引用)

3.長期間のクレアチン摂取効果(b)8)

  • 試験内容:55-84歳の健康な男女45名を対象に、クレアチン3g/日を12週間摂取。
  • 試験結果:運動と併用し摂取することで除脂肪体重が有意に増加した。

除脂肪体重の変化

(出典:文献8より引用)
※除脂肪体重:脂肪重量を差し引いた体重。除脂肪体重の変化は、筋肉量の変化の指標になる。

こうした試験結果をもとに日本では2019年に健常な中高齢者を対象に、クレアチンが「運動と併用することで、筋肉量や筋力の維持に役立つ」として機能性表示食品制度の届出が受理されている。

海外では2017年にEUの専門機関であるEFSA(欧州食品安全機関)により、55歳以上を対象にクレアチン摂取とレジスタンストレーニングの併用による筋力向上効果の機能性表示が認められている。

最後に

近年クレアチンは筋肉量や筋力だけでなく、記憶力や知力といった脳機能に対しても有用であることが試験で示されている9)

今後、中高齢者の活動的な毎日を多角的にサポートする素材として、クレアチンのますますの普及が期待される。

:「加齢とともに筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態」を「サルコペニア」と呼ぶ。また、「サルコペニア」より広義に、「骨・関節・筋肉など運動器に障害が起こり、身体能力が低下している状態」を「ロコモティブシンドローム」、「身体能力が低下し健康障害が起きやすくなっている’健常’と’要介護’の中間的な状態」を「フレイル」と呼ぶ。

第5回「クレアチン摂取によるメンタルパフォーマンスの向上」

参考文献

  • 1) R. JAEGER et al.: FOOD Style21. 7(6) (2003)
  • 2) P Möller, J Bergström, P Fürst, K Hellström: Effect of aging on energy-rich phosphagens in human skeletal muscles. Clin Sci (Lond). 1980 Jun;58(6):553-5.
  • 3) G. Parise, A. Brose, N. McCartney, M. Tarnopolsky: Book of Abstracts 6th International Meeting on Guanidino Compounds in Biology & Medicine, August 31st-September 3rd (2001)
  • 4) K McCully, J Posner: Measuring exercise-induced adaptations and injury with magnetic resonance spectroscopy. Int J Sports Med. 1992 Oct;13 Suppl 1:S147-9.
  • 5) SA Smith, SJ Montain, RP Matott, et al.: Creatine supplementation and age influence muscle metabolism during exercise. J Appl Physiol (1985). 1998 Oct;85(4):1349-56.
  • 6) Lincoln A Gotshalk, Jeff S Volek, Robert S Staron, et al.: Creatine supplementation improves muscular performance in older men. Med Sci Sports Exerc. 2002 Mar;34(3):537-43.
  • 7) 石﨑聡之 et al., FOOD Style21, 14(6) (2010)
  • 8) Rogers ME, Bohlken RM, Beets MW, et al: Effects of creatine, ginseng, and astragalus supplementation on strength, body composition, mood, and blood lipids during strength-training in older adults. J Sports Sci Med. 2006; 5(1): 60-69.
  • 9) Rae C, Digney AL, McEwan SR, et al: Oral creatine monohydrate supplementation improves brain performance: a double-blind, placebo-controlled, cross-over trial. Proc Biol Sci. 2003; 270(1529): 2147-2150.
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