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クレアチン一水和物(CrM)とHMBの併用に相加的効果

クレアチン一水和物(Creatine Monohydrate;CrM)やβ-ヒドロキシβ-メチル酪酸(β-Hydroxy β-MethylButyrate;HMB)は、スポーツ領域で一般的なエルゴジェニックエイドであり、それぞれ単独ではよく利用されている。しかし両者を併用した場合にその効果は相加的か相乗的か、あるいは相殺的なのかは明らかでない。本研究はこの疑問を、プラセボ対照二重盲検試験で検討したもの。

クレアチン一水和物(CrM)とHMBの併用に相加的効果

ボート競技アスリートに10週間介入

対象は28人のボート競技ローイング(漕ぎ手)アスリート。スペインのトップクラブに所属し5年以上の経験があり、年齢30.43±4.65歳、BMI23.92±1.85、体脂肪率8.3±1.15%。研究開始前に健康診断を行い、被験者が健康であることを確認し、かつ喫煙や飲酒習慣がある者や薬物治療中の者は除外した。また、他の栄養補助食品の影響を避けるために、2週間のウォッシュアウト期間を設けた。

10週間にわたる介入期間中、クラブ所属の登録栄養士がアスリートごとにトレーニング負荷に基づいて献立を作成した。介入期間中、アスリートは食事のほかは、割り当てられたサプリメントとトレーニング後の回復のためのシェイク(組成は後述)のみを摂取した。

被験者全体を無作為に以下の4群に分けた。クレアチン一水和物(CrM)を0.04g/kg/日摂取する群(CrM群)、β-ヒドロキシβ-メチル酪酸(HMB)を3g/日摂取する群(HMB群)、CrMを0.04g/kg/日とHMBを3g/日摂取する群(CrM+HMB群)、およびプラセボ摂取群。介入期間中のトレーニング終了後30分以内にチョコレート風味の回復シェイク(炭水化物1g/kg+蛋白質0.3g/kg)とともにそれぞれのサプリメントを摂取した。

介入前と介入終了時点でローイングエルゴメーターを用いた増分運動試験を施行し、嫌気性閾値と、乳酸値が4mmol/Lおよび8mmol/Lに到達時のパワーを測定した。

介入前後での体重・体組成の変化。プラセボ群のみ筋肉量が減少

介入期間中、各グループ間にエネルギー摂取量および腫瘍栄養素の摂取量に統計的有意差はなかった。各群、エネルギー摂取量は約45kcal/kg、蛋白質は約1.9g/kg、脂質は約1.5g/kg、炭水化物は約6.0g/kgだった。

体重と体脂肪量は介入により全てのグループで有意に減少した。ただし筋肉量はプラセボ群でのみ有意な減少が認められ、他の3群の筋肉量は介入後も前値と変化がなかった。

嫌気性閾値や設定乳酸値におけるパワーの変化

介入前後で有意差が認められた各群の嫌気性閾値、設定乳酸値別のパワーは以下のとおり。

  • CrM群では、乳酸値8mmol/L到達時のパワーが、介入前300±20W、介入後314±21W。
  • HMB群では、嫌気性閾値が介入前238±40W、介入後253±35W、乳酸値8mmol/L到達時のパワーが同順に295±45W、314±49W。
  • CrM+HMB群では、嫌気性閾値が介入前238±22W、介入後264±19W、乳酸値4mmol/L到達時のパワーが同順に236±29W、262±19W、乳酸値4mmol/L到達時のパワーが288±21W、331±35W。
  • プラセボ群はいずれの条件でも有意な変化はなかった。

CrMとHMBの併用に相加的効果

前記した変化を群間で比較してみると、CrMとHMBの併用に相加的な効果が認められた。

具体的には、乳酸値8mmol/L到達時のパワーがプラセボ群では介入前後の変化量が-1±3%だったのに対し、CrM+HMB群では15±5%と有意に大きく向上しており、この向上率は、CrM群やHMB群の向上率と比較しても有意だった。

以上より本研究の結論として、「10週間のトレーニングでクレアチン一水和物(CrM)とβ-ヒドロキシβ-メチル酪酸(HMB)を組み合わせた経口サプリメントは、有酸素パワーに対する相加的効果を示した。双方のサプリメントが増分運動試験で個別に改善の傾向を示したが、両者を組み合わせることで、恐らく両者の生理学的メカニズムが異なるため、相加的効果を発揮するのだろう」と著者らは述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Effect of Ten Weeks of Creatine Monohydrate Plus HMB Supplementation on Athletic Performance Tests in Elite Male Endurance Athletes」。〔Nutrients. 2020 Jan 10;12(1)〕

原文はこちら(MDPI)

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