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バルセロナ所属サッカー選手のトレーニング中の水分・炭水化物補給量などが明らかに

名門サッカークラブ「FCバルセロナ」選手のトレーニング中の発汗量や水分補給量、体液バランス、炭水化物摂取量などを調査した結果が報告された。低温と高温、高運動量と低運動量という4条件で調査されており、条件間の相違が明らかになった。論文の著者は、「水分と炭水化物の摂取戦略が、選手ごとに、かつ環境条件ごとに固有のものでなければならないという推奨を支持する結果が得られた」と述べている。

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気温の高低、運動強度の高低による4条件で比較検討

サッカーでは断続的なランニングの負荷によって、深部体温の上昇(39~40℃)とおよび内因性炭水化物(グリコーゲン)の枯渇が生じ得る。これら両者はサッカーのパフォーマンス低下につながる。サッカーは試合中の水分摂取も可能であるにもかかわらず、大量の発汗のため、試合中に水分バランスが負に傾きやすいことが報告されている。ただし、同じ環境条件下でも、エリート選手は発汗量が少ないとの報告もある。一方、トレーニングや試合中の炭水化物補給量に関しては、ほとんど報告がない。

そこで著者らは、気温と運動強度の異なる条件で、エリート男子サッカー選手のトレーニング中の発汗量、給水量、炭水化物補給量などを比較検討した。発汗量は体重の変化とともに、近年開発された、皮膚レベルで発汗を定量的に測定できるセンサーも用いて測定した。

研究対象は、バルセロナのエリート選手14名

研究対象は、スペインのサッカー1部リーグ所属のFutbol Club(FC)バルセロナの30人のエリート男子サッカー選手。このうち、後述の4条件のすべてに参加し、データの比較解析が可能だったのは14名。

すべてプロのプレーヤーで、60~120分のトレーニングまたは試合を週に3~6回行っていた。年齢は24±4歳、体重75.2±6.2kg、身長180.9±7.1cmで、VO2maxは57.9±3.8mL/kg/分。

研究デザインは観察的な手段で行われ、トレーニングは屋外の乾燥した芝生のピッチ上で午前11時前後に開始し、65±5分続いた。プレーヤーの行動は自由であり、研究者側からの要求による食事等の管理はなされなかった。

全選手が同じメニューのトレーニングセッションに参加した。トレーニング強度の目安として、全地球測位システムによって走行距離を定量した。その他、自覚的運動強度(rate of perceived exertion;RPE)を1~10点で評価してもらい、1~5点を低強度、6~10点を高強度と判定した。

比較された4条件の詳細

設定された4つの条件は以下のとおり。

高温条件でのデータ収集は、スペインのバルセロナで7月に行われた。高温・低強度条件は28±1℃、相対湿度55±9%、高温・高強度条件は28±2℃、同55±10%。低温条件でのデータ収集は、7月に英国、または1月にバルセロナで行われた。低温・低強度条件は14±7℃、同67±7%、低温・高強度条件は14±8℃、同69±7%だった。

プレーヤーは任意のウエアを着用し、6%の炭水化物を含む電解質飲料を自由に摂取できた。また、発汗量測定のためのセンサーを大腿と背中に身に付けた。背中のセンサーは大腿のセンサーからのデータが得られなかった場合に備えてのものであったが、結果的にすべてのプレーヤーから大腿の発汗量データを入手できた。

低運動強度と高運動強度それぞれの運動量は以下のとおり。自覚的運動強度(RPE)は低運動強度条件では2~4点、高運動強度では6~8点、総走行距離は同順に2,509~2,593m、4,889~4,949m、走行速度は40~46m/分、82~86m/分、高速走行(14~20km/時)の距離は33~35m、191~232m、スプリント(20km/時以上)の回数は2~3回、10~12回。なお、トレーニング前の排尿後の体重は前述のように75.2±6.2kgであり、条件間に有意差はなかった。

給水および炭水化物補給戦略の個別化のための基礎的なデータ

では、結果をみてみよう。4群の比較で群間差が有意な場合はそのことを記し、群間差について記していないものは有意でない。

発汗率(L/時):
低温・低強度条件0.55±0.20、低温・高強度条件0.98±0.21、高温・低強度条件0.81±0.17、高温・高強度条件1.43±0.23。低温・低強度条件に比較して、他の3群はいずれも有意に発汗率が高く、さらに高温・高強度条件は、他の3群との比較においても有意に発汗率が高かった。

水分摂取量(mL/時):
低温・低強度条件394±160、低温・高強度条件505±265、高温・低強度条件572±214、高温・高強度条件663±229。高温・高強度条件は低温・低強度条件に比較し、有意に水分摂取量が多かった。

炭水化物摂取量(g/時):
低温・低強度条件12±9、低温・高強度条件11±11、高温・低強度条件15±12、高温・高強度条件15±14。二つの低強度条件に比較して二つの高強度条件では、炭水化物摂取量が多い傾向がみられるが、群間差は有意でない。

発汗率と水分摂取量が有意に正相関

運動前の尿比重は全条件で有意差がなかった。また、運動前の尿比重と発汗率との間に有意な関連は認められなかった(r=0.065,p>0.05)。一方、全条件での発汗率と水分摂取量との間に、有意な正相関が認められた(r=0.31,p=0.019)。

環境温度の高低よりも運動量の高低が脱水率に影響

脱水率を4群で比較すると、低温・低強度条件、高温・低強度条件、低温・高強度条件、高温・高強度条件の順に脱水率が高くなり、二つの高強度条件は二つの低強度条件に比較し有意に脱水率が高かった。つまり、本研究においては、トレーニングの環境温度よりも運動負荷の大小のほうが、脱水リスクに大きく関与していた。

これらのデータについて著者は、「涼しい環境と暑い環境、および低い運動強度と高い運動強度でのトレーニングに応じた、水分補給状態、発汗量、炭水化物摂取量の変化を表しており、水分と炭水化物の摂取戦略を個々のアスリートと環境条件にあわせ個別化しなくてはならないことを示している」とまとめている。

文献情報

原題のタイトルは、Fluid Balance, Sweat Na+ Losses, and Carbohydrate Intake of Elite Male Soccer Players in Response to Low and High Training Intensities in Cool and Hot Environments」。〔Nutrients. 2021 Jan 27;13(2):401〕
原文はこちら(MDPI)

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