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未成年の過体重・肥満者は、卵の摂取量が多いほど「代謝的に健康な肥満」の可能性が高い

過体重や肥満の未成年では、卵の摂取量が多いほど、代謝的には健康であることが多いとするデータが、イランから報告された。とくに女子より男子でこの関連が強く認められるという。

未成年の過体重・肥満者は、卵の摂取量が多いほど「代謝的に健康な肥満」の可能性が高い

子どもの「代謝的に健康/不健康な肥満」と卵摂取量に関連はあるか?

卵の摂取を巡っては、健康に良くないとする研究結果もあればそれとは正反対に、健康に良いとする研究結果もあって、一貫性が見られない。一貫性の欠如の理由として、研究対象集団の違いの影響があると考えられており、心血管疾患リスクの高い集団では健康に良くない可能性があり、低栄養が問題になる高齢者などでは反対の可能性がある。ただし先進国では前者に該当する場合でも、スタチンなどの脂質改善薬による治療が普及しているため、卵の摂取を控えたとしてもその影響はマスクされてしまうという指摘もある。

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他方、心血管代謝性疾患リスク因子として、肥満や過体重が重要であることはゆるぎない。ところが、肥満/過体重者の全員が心血管代謝性疾患のリスクを抱えているかというと、必ずしもそうとはいえず、「代謝的に健康な肥満(metabolically healthy obese;MHO)」と呼ばれる状態も存在する。今回紹介する論文の研究は、小児肥満に焦点を当てて、卵の摂取量が、代謝的に健康な肥満(MHO)か、そうではない一般的な肥満、つまり「代謝的に不健康な肥満(metabolically unhealthy obese;MUO)」か、という違いに関係しているかを横断的に検討したもの。

イランの未成年対象の横断調査

解析対象は、イラン中部の都市、イスファハン市にある16の学校に通う12~18歳の生徒203人(男子101人〈49.8%〉)。サプリメントや代謝・血圧に影響を及ぼす薬剤を服用している生徒、カロリー制限を行っている生徒、遺伝性疾患または糖尿病や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患を有する生徒は除外されている。

肥満/過体重は世界保健機関(World Health Organization;WHO)の年齢・性別の成長曲線に基づくBMIにより判定した。代謝的に健康な肥満(MHO)や代謝的に不健康な肥満(MUO)は、国際糖尿病連合(International Diabetes Federation;IDF)基準(メタボリックシンドローム構成因子が二つ以上該当する場合にMUOと判定)、および、インスリン抵抗性の有無(HOMA-IRが3.16未満でMHOと判定)という、2種類の基準で判定した。

卵の摂取量は、精度検証済みの147項目からなる食物摂取頻度調査票(food frequency questionnaire;FFQ)で把握した。このほか、未成年対象の身体活動質問票(physical activity questionnaire for adolescents;PAQ-A)で身体活動量を把握した。

卵摂取量の三分位で3群に群分けした場合の栄養素摂取量などの比較

203人の平均年齢は13.98±1.61歳、BMIは27.35±3.24だった。代謝的に不健康な肥満(MUO)と判定されたのは、IDF基準では67人(33.0%)、HOMA-IRに基づく判定では79人(38.9%)だった。

摂取エネルギー量で調整後の卵摂取量の三分位で3群に分けると、第1三分位群の摂取量は1日あたり20.09g未満、第2三分位群は20.09~33.01g、第3三分位群は33.01g超となった。この3群を比較すると、性別(男子の割合)、年齢、BMI、血圧、世帯の社会経済的地位には有意差がなかった。一方、身体活動量は卵の摂取量が最も少ない群より多い群のほうが高値であり、また空腹時血糖値、トリグリセライド、HOMA-IR、インスリンも卵摂取量の少ない群で高く、HDL-Cは低かった。

栄養素摂取量に関しては、摂取エネルギー量には有意差はなかったが、卵摂取量が多い群は、脂質、タンパク質、一価不飽和脂肪酸、コレステロール、飽和脂肪酸、ビタミンC、リボフラビン、ビタミンB12、葉酸、ビタミンB6、マグネシウム、カリウム、亜鉛、をより多く摂取しており、炭水化物摂取量は少なかった。

交絡因子調整後にも、卵摂取量が多いほど代謝的に不健康な肥満は少ない

IDF基準に基づく代謝的に不健康な肥満(MUO)の有病率は、卵摂取量の最も少ない第1三分位群は55.2%であり、第2三分位群は39.7%で、卵摂取量の最も多い第3三分位群は22.1%であって、卵摂取量が多い群ほどMUO有病率が低いという有意な関連が認められた(p<0.001)。同様に、HOMA-IRに基づくMUOの有病率も、同順に49.3%、30.9%、19.1%であって、卵摂取量が多い群ほどMUO有病率が低いという有意な関連が認められた(p=0.001)。

女子では身体活動量と社会経済的地位で調整すると関連が非有意に

次に、多変量解析にて、年齢と摂取エネルギー量を調整する「モデル1」、モデル1の調整因子に身体活動量と社会経済的地位を加える「モデル2」、モデル2にBMIを加える「モデル3」という3通りで検討。

その結果、全体解析ではモデル3であっても、卵摂取量が多い群ほど代謝的に不健康な肥満(MUO)のオッズ比が低いという有意な関連が認められた(傾向性p=0.04)。性別にみた場合は、女子ではモデル1ではこの関連が有意だったが(傾向性p=0.03)、モデル2以降は有意性が消失した。一方の男子はモデル3でもこの関連が有意だった(傾向性p=0.04)。

まとめると、未成年の過体重/肥満者では卵摂取量が多いほど、MUOの定義にかかわらずMUOに該当するオッズ比が低いという、負の相関が存在していた。この相関は女子より男子で、より強く認められた。

著者らは、本研究が横断研究であるため、この関連の確認のために縦断的デザインの研究が必要とされると述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「The association between egg consumption and metabolic health status in overweight and obese adolescents」。〔Sci Rep. 2023 Feb 16;13(1):2778〕
原文はこちら(Springer Nature)

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