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腰痛と食事スタイルの関連 高エネルギー食はリスクを高め、高タンパク食は保護的に働く可能性

腰痛は世界の多くの人々の悩みの種。日本人も、男性の有訴者率の第一位、女性では二位に挙げられている。そんな人類の敵とも言える腰痛と食事スタイルとの関連を研究した結果が報告された。エネルギー密度の高い食事は腰痛リスクを高め、反対に高タンパク食は保護的に働く可能性があるという。

腰痛と食事スタイルの関連 高エネルギー食はリスクを高め、高タンパク食は保護的に働く可能性

腰痛リスクを食事で下げられるか?

慢性腰痛は、世界疾病負担研究(Global Burden of Disease Study)において、人々の健康的な生活を阻害する289種類の疾患や傷病の中で、トップに位置付けられている。慢性腰痛のために仕事や日常生活がままならないという経験のある人も少なくないだろう。アスリートの場合はトレーニングに支障が生じ、競技会シーズンであればパフォーマンスへの影響も危惧される。

これまでの研究で、地中海食や植物製食品ベースの食事スタイルは、体内の炎症を抑制し筋骨格痛を抑制する可能性が示唆されている。ただし腰痛と食事スタイルとの関連は明らかでない。

今回紹介する論文の著者らは、この点に着目して以下の横断研究を行った。

イランの地域住民対象コホート研究のデータを解析

この研究では、イランの地域住民対象に実施された、非感染性疾患に関するコホート研究(RaNCD研究)のデータが解析に用いられた。RaNCD研究は、イラン西部に居住する35~65歳のクルド人成人1万人以上を対象に実施された研究。このRaNCD研究参加者から、今回の研究では、心血管疾患や甲状腺疾患、癌の罹患者、妊婦、および摂取エネルギー量が800~4,200kcal/日の範囲から逸脱している人、データ欠落者を除外した7,686人を解析対象とした。

解析対象者の主な特徴は、年齢47.28±7.99歳、男性51.3%、BMI27.28±5.19、ウエスト周囲長96.73±10.67cmであり、身体活動量は41.27±8.38METs・時/日。

食事スタイルを主成分分析で3パターンに分類

食物摂取頻度質問票(food frequency questionnaire;FFQ)を用いて、118種類の食品の摂取量を半定量的に評価し、主成分分析により以下の3種類の食事パターンを特定した。

菜食中心の食事パターン(菜食)

野菜、全粒穀物、マメ科植物、ナッツ、オリーブ、植物油、果物、フルーツジュースが豊富に含まれているスタイル。

高タンパクの食事パターン(高タンパク食)

赤身肉、白身肉、豆類、ナッツ、卵が豊富に含まれているスタイル。

エネルギー密度の高い食事パターン(高エネルギー食)

塩分、糖分、デザート、脂質、清涼飲料、精製穀物、茶、コーヒーの摂取量が多いことを特徴とする、エネルギー密度の高い食事スタイル。

これらの食事パターンをそれぞれスコア化し、三分位で3群に群分けして、腰痛の有病率や他の評価項目との関連を検討した。

高タンパク食で慢性腰痛のオッズ比低下

結果について、まず、3つの食事パターンのスコアの3分位で群分けした結果、認められた傾向に着目してみる。

年齢、体重、BMIは、菜食、高タンパク食、高エネルギー食のいずれについても、そのスコアの違いによる三分位群で有意差が認められた。年齢は高分位群(スコアの高い群)ほど若年で、体重とBMIは高分位群ほど高値だった。

全体の慢性腰痛有病率は22.5%

慢性腰痛の有病率は全体で22.5%だった。

菜食と高エネルギー食のスコアの三分位で分けた3群で比較した場合、腰痛有病率に有意差はなかった。しかし、高タンパク食のスコアの三分位で分けた3群で比較すると、第1三分位群25.3%、第2三分位群21.6%、第3三分位群21.1%と、スコアが高いほど(より高タンパクな食事スタイルであるほど)、慢性腰痛の有病率が低いという有意差が認められた(p<0.001)。

高エネルギー食で慢性腰痛のオッズ比上昇

次に、各食事パターンのスコアの第1三分位群の慢性腰痛有病率を基準として、他の2群の慢性腰痛有病率をロジスティック回帰分析で検討。年齢、性別、BMI、ウエスト周囲長、喫煙・飲酒・身体活動習慣、摂取エネルギー量、糖尿病の影響は調整した。

その結果、高タンパク食はスコアの第2・第3三分位群で慢性腰痛オッズ比の有意な低下が認められた(傾向性p=0.019)。第2三分位群はOR0.85(95%CI;0.75~0.98)、第3三分位群はOR0.84(0.72~0.97)。

反対に、高エネルギー食ではスコアの第3三分位群で慢性腰痛オッズ比の有意な上昇が認められた(傾向性p=0.05)。第3三分位群のOR1.13(1.01~1.32)。

菜食はオッズ比の有意な上昇も低下もみられなかった。

腰痛改善には食事改善も検討を

以上の結果から著者らは、「高タンパク食は慢性腰痛に対する保護効果をもたらす可能性が認められた。その一方、エネルギー密度の高い食事スタイルは、慢性腰痛のオッズ比の上昇と関連していた。したがって、慢性腰痛に悩まされている人は、毎日の食事に生物学的価値の高いタンパク質を採り入れ、塩、菓子、デザート、脂質、清涼飲料、精製穀物、茶、コーヒーの摂取量を減らすことを勧める」と結論している。

なお、高タンパクな食事スタイルが慢性腰痛に保護的に働く可能性のあることに関して、アミノ酸の前駆体がIL-6やCRPを低下させるという抗炎症作用をもつことに加え、アミノ酸の欠乏が神経伝達物質の産生に影響を及ぼすことや、タンパク質の不足による筋量・筋力の低下が生じることに対して、高タンパク食が拮抗するように作用するなどの機序を考察している。また、高エネルギーの食事スタイルが慢性腰痛を惹起するように働く可能性のあることに関しては、高エネルギー食品に含まれている食事成分が炎症を引き起こすためではないかとのことだ。

文献情報

原題のタイトルは、「Major dietary patterns in relation to chronic low back pain; a cross-sectional study from RaNCD cohort」。〔Nutr J. 2022 May 12;21(1):28〕
原文はこちら(Springer Nature)

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