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令和元年度「体力・運動能力調査」(4)幼児期の外遊びと小学生の運動・体力 スポーツ庁

スポーツ庁「令和元年度 体力・運動能力調査」の結果を4回にわたって紹介している。最終回の今回は、「幼児期の外遊びと小学生の運動習慣・体力」と「スポーツのその他の多面的な価値」の結果を取り上げる。

スポーツ庁令和元年度「体力・運動能力調査」(4)幼児期の外遊びと小学生の運動・体力

令和3年度調査結果①小中学生の体力低下は新型コロナの影響か?

令和3年度調査結果②小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?

過去の調査結果(アーカイブ)はこちら

幼児期の外遊びと小学生の運動習慣・体力

幼児期に外遊びをよくしていた小学生は、日常的に運動し、体力も高い。

入学前の外遊びの実施状況と、現在(10歳〈小学5年生〉)の運動・スポーツ実施状況との関係をみると、男女ともに入学前の外遊びの実施頻度が高いほど、現在の運動・スポーツ実施頻度の高い者の割合が多いことがうかがわれる。

入学前の外遊びの実施状況別にみた10歳の新体力テストの合計点は、男女ともに、入学前に外遊びをしていた頻度が高い群ほど高く、入学前に週6日以上外遊びをしていた群と週1日以下の群とでは、男子は5点、女子は2点程度の差が存在する。

これらより、幼児期に外で体を動かして遊ぶ習慣を身につけることが、小学校入学後の運動習慣の基礎を培い、体力の向上につながる要因の一つになっていると考えられ、幼児期の外遊びは非常に重要である。なお、この傾向は6~11歳のすべての年齢において確認できる。

図1 入学前の外遊びの実施状況別に見た現在の運動・スポ-ツ実施状況(10歳)

入学前の外遊びの実施状況別に見た現在の運動・スポ-ツ実施状況(10歳・男子)
入学前の外遊びの実施状況別に見た現在の運動・スポ-ツ実施状況(10歳・女子)

図2 入学前の外遊びの実施状況別新体力テスト合計点(10歳)

入学前の外遊びの実施状況別新体力テスト合計点(10歳・男子)
入学前の外遊びの実施状況別新体力テスト合計点(10歳・女子)

スポーツのその他の多面的な価値

達成意欲と運動習慣・体力

日常的に運動・スポーツを実施している青少年期の子供の多くは、なんでも最後までやりとげたいと思っている。

青少年期の子供(15歳、18歳)の「達成意欲(なんでも最後までやりとげたいと思う)」の回答状況と体力合計点の関係をみると、男女ともに達成意欲を強くもつ者ほど体力合計点が高い。

図3 「達成意欲(なんでも最後までやりとげたいと思う)」回答別新体力テスト合計点

「達成意欲(なんでも最後までやりとげたいと思う)」回答別新体力テスト合計点-男子(15歳)
「達成意欲(なんでも最後までやりとげたいと思う)」回答別新体力テスト合計点-女子(15歳)
「達成意欲(なんでも最後までやりとげたいと思う)」回答別新体力テスト合計点-男子(18歳)
「達成意欲(なんでも最後までやりとげたいと思う)」回答別新体力テスト合計点-女子(18歳)

図4 運動実施状況別意欲達成についての割合

運動実施状況別意欲達成についての割合(男子)
運動実施状況別意欲達成についての割合(女子)

運動・スポーツのストレス解消効果の認識と運動習慣

日常的に運動している成人および高齢者の多くは、運動・スポーツのストレス解消効果を感じている。運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」と答えた者の割合をみると、日常的に運動・スポーツを実施している者は実施しない者に比べて、ストレス解消効果を感じている者の割合が多い。

ただし、成人および高齢者の多くは,運動・スポーツのストレス解消効果を感じているが、年代によっては意識と行動に差がみられる。ストレス解消効果について「大いに感じる」または「まあ感じる」と回答した者の割合をみると、男女・年代を問わず90~97%に達し、たいへん高い。しかし、運動・スポーツの実施状況が「週1日以上」と答えた者の割合は、男子の30~54歳、女子の20~49歳の年代で50%を下回る。運動の効果に対する意識と実際の行動との間には年齢や男女によって差が存在する。

図5 運動・スポーツ実施状況別 運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」と答えた者の割合

運動・スポーツ実施状況別 運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」と答えた者の割合-男子
運動・スポーツ実施状況別 運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」と答えた者の割合-女子

図6 運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」「まあ感じる」と答えた者の割合、運動・スポーツ実施状況が「週1日以上」と答えた者の割合

運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」「まあ感じる」と答えた者の割合、運動・スポーツ実施状況が「週1日以上」と答えた者の割合-男子
運動・スポーツのストレス解消効果について「大いに感じる」「まあ感じる」と答えた者の割合、運動・スポーツ実施状況が「週1日以上」と答えた者の割合-女子

生活の充実度と運動習慣の関係

日常的に運動している成人および高齢者は、生活が充実していると感じる割合が多い。

現在の運動・スポーツ実施状況別に、毎日の生活が「充実している」と答えた者の割合を年齢区分ごとにみると、週1日以上運動・スポーツを実施している群は週1日未満の群に比べ、毎日の生活が「充実している」と回答している者の割合が男女ともにすべての年代において、5ポイント以上上回っている。これにより、日常の運動習慣と生活の充実度が密接に関連していることがうかがわれる。

また、高齢者の運動習慣、歩行能力および生活の充実度には関連性がある。

生活の充実度と歩行能力の関連性をみると、男女とも生活の充実度に関して「充実している」、「まあ充実している」と答えた者は、6分間歩行の距離が長い。これにより、運動・スポーツを日常的に実施することは、長い時間を速く歩くことができることに代表されるような全身持久力に影響を及ぼし、そのような体力の高さが生活の充実に結びついている可能性があることがうかがわれる。

図7 運動・スポーツ実施状況別 毎日の生活が「充実している」と答えた者の割合

運動・スポーツ実施状況別 毎日の生活が「充実している」と答えた者の割合-男子
運動・スポーツ実施状況別 毎日の生活が「充実している」と答えた者の割合-女子

図7 「生活の充実度」別 6分間歩行距離

「生活の充実度」別 6分間歩行距離-男子
「生活の充実度」別 6分間歩行距離-女子
すべての図の出典は、スポーツ庁

関連情報

令和元年度体力・運動能力調査の結果について(スポーツ庁)

スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ

平成30年度(2018年度)

1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性

令和元年度(2019年度)

1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?

令和元年度(2019年度)

1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力

令和2年度(2020年度)

新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向

令和3年度(2021年度)

1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著

令和3年度(2021年度)

①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観

令和4年度(2022年度)

①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高

令和4年度(2022年度)

①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性

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