スポーツ庁「令和6年度体力・運動能力、運動習慣等調査」
【後編】「運動は好き」と回答した割合が中学生・男子で過去最高
スポーツ庁はこのほど、「令和6年度体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を公表した。新型コロナウイルス感染症パンデミック中には子どもたちの体力低下が報告されていたが、今回の調査の結果、中学生・男子ではパンデミック前の水準に戻った。ただし、小学生・男子および中学生・女子では前年度からほぼ横ばいであり、かつ、小学生・女子は引き続き低下していた。
同調査は国公私立の小学校5年生および中学校2年生を対象とした悉皆調査で、対象者数は小学生約98万人、中学生約87万人。主な内容を2回に分けて紹介する。【後編】となる本稿では、小学生・中学生の運動習慣・生活習慣・運動意識の状況に関する調査の中からピックアップしてお届けする。
運動習慣・生活習慣・運動意識の状況
小学生・中学生の運動時間
1週間の総運動時間(体育の授業を除く)が420分以上の割合は、小学生で増加、中学生・男子は横ばい、中学生・女子は減少した。1週間の総運動時間が60分未満の割合は、小学生でほぼ横ばい、中学生は減少した。
図1 小学生・中学生の1週間の運動時間
小学生・中学生の体格の状況
肥満の割合は、令和4年度に小学生・中学生の男女で最高となっていたが、2年連続して減少した。ただし小学生・女子ではその減少がわずか。
図2 肥満である小学生・中学生の割合
朝食摂取、睡眠時間、学習以外のスクリーンタイムの状況
朝食を「毎日食べる」割合は、小学生・中学生の男女ともに増加した。
図3 小学生・中学生の朝食摂取状況
睡眠時間が「8時間以上」の割合は、小学生・中学生の男女ともに増加した。
図4 小学生・中学生の睡眠時間
学習以外のスクリーンタイム(平日1日あたりのテレビ、スマートフォン、ゲーム機等の画面の視聴時間)が「3時間以上」の割合は、小学生・中学生の男女ともに増加した。
図5 小学生・中学生のスクリーンタイム
運動やスポーツに対する意識
「運動は好き」と答えた小学生・中学生は、小学生・中学生の男女ともに増加し、中学生・男子では過去最高。「体育・保健体育は楽しい」と答えた小学生・中学生は、小学生・中学生の男女ともに増加し、小学生・中学生の男子は過去最高。
図6 「運動やスポーツをすることは好き」と答えた割合
図7 「体育・保健体育の授業は楽しいと思う」と答えた割合
小学生や中学生が「体育・保健体育の授業を楽しいと感じるとき」として、「できなかったことができるようになったとき」、「友達と交流したり、協力できたとき」と回答する割合が多い。
図8 体育・保健体育の授業が楽しいと感じるとき【小学生の回答】
図9 体育・保健体育の授業が楽しいと感じるとき【中学生の回答】
関連情報
各データの詳細、その他のデータについては、こちらをご覧ください。
令和6年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(スポーツ庁)
スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ
平成30年度(2018年度)
1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性
令和元年度(2019年度)
1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?
令和元年度(2019年度)
1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力
令和2年度(2020年度)
新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向
令和3年度(2021年度)
1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著
令和3年度(2021年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観
令和4年度(2022年度)
①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高
令和4年度(2022年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性
令和5年度(2023年度)
①調査結果の概要と今後の対応
②過去60回分のデータを活用した分析結果
令和6年度(2024年度)
【前編】中学生・男子はコロナ前の体力に戻るが、小学生・女子は引き続き低下【後編】「運動は好き」と回答した割合が中学生・男子で過去最高