子どもの体力が3年連続低下 スポーツ庁「令和4年度体力・運動能力、運動習慣等調査」①
スポーツ庁はこのほど、「令和4年度体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果を公表した。小学生・中学生の男子・女子ともに、令和元年度から3年連続で、体力合計点が低下したことが明らかになった。とくに持久走のタイムの低下が著しく、また、運動をしていない子どもの割合の増加も認められたという。さらに、肥満に該当する子どもの割合の増加も確認された。
同調査は国公私立の小学校5年生および中学校2年生を対象とした悉皆調査で、対象者数は小学生約99万人、中学生約91万人。 主な内容を3回に分けて紹介する。1回目は、児童・生徒の体力について
児童・生徒の体力
体力合計点の状況
体力合計点は、令和元年度調査から連続して小・中学校の男女ともに低下した。
低下の主な要因としては、
- 1週間の総運動時間が420分以上の児童生徒の割合は増加しているものの、以前の水準には至っていないこと、
- 肥満の児童・生徒の増加、
- 朝食欠食、睡眠不足、スクリーンタイム(テレビ、スマートフォン、ゲーム機等による映像の視聴時間)の増加などの生活習慣の変化、
以上のほか、新型コロナウイルス感染症の影響により、マスク着用中の激しい運動の自粛なども考えられるとしている。
各実技テスト種目の状況
50m走、20mシャトルラン、持久走、上体起こし、反復横とび
各実技テスト(8種目)の数値を個別にみると、令和3年度調査と比較して、小・中学校の50m走、20mシャトルラン、中学校の持久走、上体起こし、反復横とびは低下した。なお、持久走は中学校のみの調査項目であり、持久走と20mシャトルランのいずれかを学校が選択して実施。その選択率は、男女ともに全生徒の約3割。
長座体前屈
長座体前屈は小・中学校ともに向上した。
立ち幅とび
立ち幅とびは、小学校は低下した一方、中学校男子は調査開始以来の最高値だった。中学校女子は低下した。
握力、ソフトボール/ハンドボール投げ
握力、ソフトボール/ハンドボール投げは、ほぼ横ばいだった。
体力合計点の評価の状況
体力合計点の評価の変化をみると、令和4年度は、小・中学校男女ともに、AやBの割合が減少し、DとEの割合が増加した。なお、A~Eの評価は、各実技テストの結果を10点満点で換算し合計80点とし、以下の基準により判定している。
関連情報
スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ
平成30年度(2018年度)
1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性
令和元年度(2019年度)
1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?
令和元年度(2019年度)
1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力
令和2年度(2020年度)
新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向
令和3年度(2021年度)
1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著
令和3年度(2021年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観
令和4年度(2022年度)
①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高
令和4年度(2022年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性