スポーツ庁、令和3年度体力・運動能力調査④「10年間の調査結果の概観」
スポーツ庁「令和3年度体力・運動能力調査」の結果を4回に分けて紹介している。その第4回目は、第1期スポーツ基本計画が策定され開始された平成24年度から、第2期計画期間が終了した令和3年度までの10年間の調査結果を概観した結果について。
各年代における体力合計点の年次変化
平成24年度の値を100%とし、第2期スポーツ基本計画期間が終了した令和3年度までの年次変化をみると、平成2年度9~令和元年度にかけて、多くの年代で男女ともに横ばい、または向上傾向がみられる。ただし、40歳代女子では低下傾向がみられる。なお、令和3年度は40歳代以降の男子のほとんどの年代において低い値を示している。
図1 各年代における体力合計点の年次変化ヒートマップ(男子)
図2 各年代における体力合計点の年次変化ヒートマップ(女子)
平成24年度・平成28年度・令和3年度の各テスト項目の年次変化
各年代(中学生、40~44歳、70~74歳)の平成24年度の結果を100%とし、平成28年度(第1期スポーツ基本計画最終年度)と令和3年度(第2期スポーツ基本計画最終年度)の各テスト項目の結果をテスト項目別にみると、年代および男女において一定の傾向はみられないが、40歳代女子においては、平成24年度と比べてすべての項目で低い値となっている。
図3 平成24、28、令和3年度の各テスト項目のレーダーチャート(中学生)
図4 平成24、28、令和3年度の各テスト項目のレーダーチャート(40~44歳)
図5 平成24、28、令和3年度の各テスト項目のレーダーチャート(70~74歳)
各年代における運動習慣の年次変化
第1期と第2期のスポーツ基本計画において、成人以降では週1回以上の運動・スポーツ実施率の目標値は65%。そこで、週1日以上の運動・スポーツ実施率の年次変化をみると、成年男子においては目標値をやや下回っているが、いくつかの年代では10年間で向上の傾向がみられる。一方、成年女子においては、とくに20~40歳代で目標値を大きく下回っており、10年間で実施率の低下の傾向がみられる。
高齢者では、男女ともにすべての年代で目標値を満たしており、さらに男子の一部の年代を除いて向上の傾向がみられる。
なお、小・中・高校生の目標値は定められていないが、ほとんどの年代の男女で70%以上の値を示している。ただし、女子の高校生ではやや向上の傾向がみられるものの、55%程度にとどまっている。
図6 各年代における運動習慣の年次変化ヒートマップ(男子)
図7 各年代における運動習慣の年次変化ヒートマップ(女子)
関連情報
スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ
平成30年度(2018年度)
1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性
令和元年度(2019年度)
1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?
令和元年度(2019年度)
1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力
令和2年度(2020年度)
新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向
令和3年度(2021年度)
1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著
令和3年度(2021年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観
令和4年度(2022年度)
①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高
令和4年度(2022年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性