10代女性の運動習慣に明らかな差 スポーツ庁「体力・運動能力調査」(2)運動習慣・体力年齢の年次推移、年代別比較
スポーツ庁「体力・運動能力調査」は昭和39年度から継続し実施されているが、今回は平成30年度調査ということで、平成30年間の変化をまとめて分析した結果が報告されている。そこから、運動習慣・体力年齢の年次推移と、体力・運動能力を年代別に比較した結果を紹介する。
運動習慣の年代別年次推移
「運動やスポーツをどのくらいしているか」との質問に対し、ほとんど毎日(週に3日以上)、ときどき(週に1~2日くらい)、ときたま(月に1~3日くらい)、しないの四択で回答を得た。
若年の女子は年齢により運動習慣の差が大きい
青少年では平成の30年間を通じてほとんど変化がみられず横ばいで推移している。ただし女子については年齢により運動習慣が大きく異なる傾向が続いている。具体的には、11歳や16歳で運動習慣のある者の割合が減少する傾向がみられる。
一方、高齢者については、運動習慣のある者の割合が緩やかに上昇している。
図1 青少年(女子)の年齢別にみた運動習慣の年次推移
体力年齢の年次推移
実年齢(暦年齢)と、体力テストの結果から算出した体力年齢を比較した結果、男女ともに50歳代後半の年齢層で、体力年齢が若い人が増加している。具体的には、平成10年度調査で体力年齢が実年齢より若かった人は男性30.9%、女性36.5%だったが、20年後にあたる今回発表された平成30年度調査では、それぞれ52.5%、54.8%と約20ポイント増えている。
なお、平成9年度までと10年度以降では、体力年齢の算出方法が異なるため連続性がない。
図2 実年齢と体力年齢の比較の年次推移(50歳代後半)
一方、30代後半の女性に関しては反対の現象がみられ、実年齢のほうが若い人が増加している。平成10年度調査では40.3%の人が、体力年齢が実年齢より若かったのに、平成30年度調査では26.8%と13.5ポイント減ってしまった。
図3 実年齢と体力年齢の比較の年次推移(30歳代後半の女性)
体力・運動能力の年代別比較
調査開始時の昭和39年に調査対象の中で最も年少であった昭和29年度生まれ(当時10歳)と、平成元年生まれの者とで、比較可能な項目について経年的変化を調べた。結果はいずれの項目も、昭和29年度生まれのほうがピーク値が高く、また、ほとんどの項目で昭和29年度生まれのほうが成績向上期間が長かった。
図4 体力・運動能力の年代別比較の推移
関連情報
平成30年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について(スポーツ庁)
スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ
平成30年度(2018年度)
1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性
令和元年度(2019年度)
1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?
令和元年度(2019年度)
1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力
令和2年度(2020年度)
新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向
令和3年度(2021年度)
1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著
令和3年度(2021年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観
令和4年度(2022年度)
①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高
令和4年度(2022年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性