ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性 スポーツ庁「体力・運動能力調査」(3)
スポーツには、人を変え、人を動かすパワーがあり、人生を豊かにする。そのようなスポーツの及ぼす影響は、スポーツ庁「平成30年度 体力・運動能力調査」からも見て取ることが可能だ。
ふだんスポーツをしている青少年は、何事も最後までやり遂げようとする
青少年(12~19歳)を対象に行った達成意欲に関する質問の回答と、体力テストの合計点数との関連を検討したところ、達成意欲が強いほど体力合計点が高いという結果だった。また、運動・スポーツの頻度が高いほど、なんでも最後までやり遂げたいと回答する者が多かった(図1)。
図1 12〜19歳の男女における運動実施状況(縦軸)と達成意欲(何でも最後までやりとげたいと思う)の関係
日常的に運動をしている成人は、それによるストレス解消効果を感じている
「運動・スポーツはストレス解消に効果があると感じるか」との質問に、大いに感じる、まあ感じる、あまり感じない、まったく感じないの四択で回答を得た。すると、週に1回以上、運動やスポーツをしている人はストレス解消効果を感じている割合が、全年齢をとおして高かった(図2)。
図2 運動・スポーツ習慣とそれによるストレス解消効果の関係
幼児期に外遊びしていたほど、小学生になってから日常的に運動し、体力が高い
小学校入学前に外で遊ぶ機会が多かった児童ほど、小学校入学後に運動・スポーツを実施する割合が高く、さらに体力テストの合計点も高いという関係があった(図3)。
図3 小学校入学前の外遊びの頻度と、入学後の体力テストの成績の関係
6分間歩行距離が長い高齢者は生活が充実している
高齢者(65~79歳)に、「毎日の生活が充実しているか」と質問し、充実している、まあ充実している、あまり充実していない、充実していないの四択で回答を得た。すると、日常的に運動をしている人では「生活が充実している」と感じている割合が高かった。同様に、6分間歩行距離との関連についても、歩行距離が長いほど「生活が充実している」と感じている人が多かった(図4)。
図4 6分間歩行距離と生活充実感の関係
関連情報
平成30年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について(スポーツ庁)
スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ
平成30年度(2018年度)
1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性
令和元年度(2019年度)
1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?
令和元年度(2019年度)
1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力
令和2年度(2020年度)
新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向
令和3年度(2021年度)
1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著
令和3年度(2021年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観
令和4年度(2022年度)
①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高
令和4年度(2022年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性