元気な高齢者が増えている!? スポーツ庁「体力・運動能力調査」(1)年齢別にみた体力・運動能力とその年次推移
スポーツ庁は15日、「平成30年度 体力・運動能力調査」の結果を発表した。50歳代後半の人は男女ともに体力年齢の若返りが続いていること、日常的にスポーツをしている青少年は何事も最後までやり遂げようとする意志が強いことなどがわかった。結果の概要を数回に分けて紹介する。
前回の東京オリンピックから続いている調査
「体力・運動能力調査」は、前回の東京オリンピックが開催された昭和39年以来、毎年行われている(平成27年度までは文部科学省が主体)。調査の目的は、「国民の体力・運動能力の現状を明らかにするとともに、体育・スポーツの指導と行政上の基礎資料を得る」こととしている。
調査客体は、小学生1万3,536名(回収率100.0%)、中学生8,460名(同99.3%)、全日制高校生7,614名(同100.0%)、定時制高校生1,504名(同87.4%)、高等専門学校生(男子)600名(同91.5%)、短期大学生(女子)600名(同95.3%)、大学生(20歳未満)2,400名(82.8%)、成人(20~64歳)3万3,840名(72.1%)、高齢者(65~79歳)5,640名(100.0%)。
年齢別にみた体力・運動能力
握力(筋力)、上体起こし(筋力・筋持久力)、長座体前屈(柔軟性)は6~79歳を対象に、反復横とび(敏捷性)、20mシャトルラン(全身持久力)、立ち幅とび(筋パワーおよび跳能力)は6~64歳を対象に調査された。
握力は30歳代でピークに達する
ほとんどの項目において、女子は中学生年代にピークレベルに到達する一方、男子は高校年代で、ピークレベルに到達する時期がやや遅い。ただし握力は特異で、男女ともに30歳代でピークレベルに達し、加齢に伴う低下スピードが他の項目よりも緩やか。
図1 年齢別にみた握力の変化
体力・運動能力の年次推移
青少年
青少年(6~19歳)の体力・運動能力の推移をみると、握力、50m走、持久走、立ち幅とび、ボール投げは水準の高かった昭和60年ごろに比べると、中学・高校の男子を除き、低い水準で推移している。
中学以上の男子の握力は、最近10年間、低下傾向にある。
図1 青少年の握力の年次推移(左図は男子、右図は女子)
成人
成人(20~64歳)の体力・運動能力は、昭和60年ごろと比較し、握力と急歩は30~40歳代で低下、50歳代は同等または向上している。
握力は男女ともにほぼすべての年代で、最近10年間、低下傾向にある。反復横とびは上昇傾向にある。
図2 成人の握力(左図)と反復横とび(右図)の年次推移
高齢者
高齢者(65~79歳)の体力・運動能力は、握力、上体起こし、開眼片足立ち、6分間歩行など、ほとんどの項目が上昇傾向にある。
図3 高齢者の開眼片足立ち(左図)と6分間歩行(右図)の年次推移
関連情報
平成30年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について(スポーツ庁)
スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ
平成30年度(2018年度)
1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性
令和元年度(2019年度)
1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?
令和元年度(2019年度)
1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力
令和2年度(2020年度)
新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向
令和3年度(2021年度)
1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著
令和3年度(2021年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観
令和4年度(2022年度)
①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高
令和4年度(2022年度)
①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性