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小中学生体力低下の原因は? スポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(2)

スポーツ庁の令和元年度「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果、第2回目は生活習慣に関する調査結果を取り上げる。

小学生男子の体力が過去最低 スポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(1)

前回の記事「スポーツ庁『全国体力・運動能力、運動習慣等調査』(1)」で述べたように、近年、小中学生の体力が低下しているが、その背景因子として同庁では、生活習慣の変化を指摘している。具体的には、スクリーンタイムや肥満、朝食欠食率の増加など、以下の調査結果からその変化をみてとれる。

令和3年度調査結果①小中学生の体力低下は新型コロナの影響か?

令和3年度調査結果②小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?

過去の調査結果(アーカイブ)はこちら

生活習慣:体力低下の原因と関連している可能性

スクリーンタイムの増加:とくに男子で長時間化

ゲームやスマートフォンなどの利用時間を示す「スクリーンタイム」は増加していて、とくに小・中学生ともに男子で長時間化している。男子はスクリーンタイムが1日5時間以上の小学生が15.4%、中学生は11.8%で、いずれも前年度より0.2ポイント増加した。女子は小学生で9.2%、中学生で10.1%だった。

そして、小・中学生の男女ともに、スクリーンタイムが長いほど体力合計点数が低いという傾向がみられた。

スクリーンタイムと体力合計点との関係

スクリーンタイムと体力合計点との関係

(出典:スポーツ庁)

体格の変化:小中学生の男女ともに肥満が増加

体格の変化をみると、小・中学生の男女ともに肥満の割合が増加していることがわかる。令和元年度の小学生男子の肥満の割合は11.1%、女子は8.1%で、ともに頻度が最少だった平成27年度から上昇傾向にある。中学生男子は8.6%、女子は6.6%で、こちらも前年より増加した。

肥満である児童生徒の割合の経年変化

肥満である児童生徒の割合の経年変化

(出典:スポーツ庁)

そして、肥満に該当する児童・生徒は、他の体格カテゴリーの児童・生徒に比較し、以下に記すように体力合計点数が低い傾向がみられた。小学生男子の体力合計点数は体格が普通の場合54.4点、痩身の場合53.4点に対し、肥満の場合47.5点。以下同順に、小学生女子では56.1点、54.9点、50.8点、中学生男子42.4点、36.5点、35.4点、女子50.6点、46.6点、44.6点。

朝食の摂取状況:毎日朝食を食べる児童生徒は体力が高い

小学生で「朝食を食べない日がある」割合が、男子は14.5%、女子は15.0%で、それぞれ前年度から0.9ポイント、1.1ポイント増加した。中学生は前年度とほぼ変わらず、男子が13.3%、女子が17.1%だった。

そして、小・中学生の男女ともに、朝食を毎日食べる児童・生徒は、その他の回答をした児童・生徒に比較し体力合計点数が高い傾向がみられた。

朝食摂取状況と体力合計点との関係

朝食摂取状況と体力合計点との関係

(出典:スポーツ庁)

どんな時に運動やスポーツを楽しいと感じるか

試合に勝ったときや記録が伸びたとき、上手にできたとき、最も楽しさを感じている

児童・生徒の半数以上が、「勝ったとき」「記録が伸びたとき」「上手にできたとき」「できなかったことができるようになったとき」に、運動やスポーツの楽しさを感じると回答した。

体力合計点数で分析すると、点数が高い児童・生徒は「勝ったとき」や「記録が伸びたとき」に最も楽しさを感じていて、点数が低い児童・生徒は「上手にできたとき」に最も楽しさを感じるという違いが見られた。

授業が苦手な児童生徒が運動やスポーツを楽しいと感じる体育授業

体力合計点数が低く運動が苦手な児童・生徒に対して、授業での助け合いや話し合い等の取り組みを行うと、行っていない場合に比べて運動やスポーツを「好き」と回答する割合が高くなる傾向がみられた。例えば、小学生男子で、「授業での助け合い、役割を果たす活動」をしている場合、「運動やスポーツをすることは好き」との回答が59.9%とほぼ6割を占めたのに対し、授業でそのような取り組みをしていない場合は30.3%とほぼ3割であり、半数だった。

その他にも、授業において目標を設定することや、ICTの活用など、さまざまな取り組みが、児童・生徒の運動やスポーツに対する好意的な意識につながる可能性があることがわかった。

関連情報

令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果(スポーツ庁)

スポーツ庁「体力・運動能力調査」アーカイブ

平成30年度(2018年度)

1.元気な高齢者が増えている!?
2.10代女性の運動習慣に明らかな差
3.ストレス解消、学力向上、達成意欲...スポーツのさまざまな効果と可能性

令和元年度(2019年度)

1.小学生男子の体力が過去最低
2.小中学生体力低下の原因は?

令和元年度(2019年度)

1.調査概要と加齢に伴う運動能力の変化
2.年齢別に見る体力・運動能力の年次推移
3.体力・運動能力を前回の東京五輪開催時と比較
4.幼児期の外遊びと小学生の運動・体力

令和2年度(2020年度)

新型コロナの影響か?「令和2年度 体力・運動能力調査」は、わずかに低下傾向

令和3年度(2021年度)

1.小中学生の体力が低下しているのは新型コロナの影響か?
2.運動時間が減りスクリーンタイムの増加が顕著

令和3年度(2021年度)

①体力・運動能力の加齢に伴う変化
②青少年6~19歳の体力・運動能力
③成年20〜64歳と高齢者65~79歳の体力・運動能力
④10年間の調査結果の概観

令和4年度(2022年度)

①子どもの体力が3年連続低下
②中学女子以外は肥満の割合が過去最高
③体育が楽しい中学生の割合が過去最高

令和4年度(2022年度)

①体力・運動能力の加齢に伴う変化(全年齢)
②6~19歳の体力・運動能力
③20~79歳の体力・運動能力
④運動・スポーツ実施状況と体力、健康状態、生活充実度などとの関係性

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