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会食時に新型コロナに感染した事例の研究結果「斜め向かい着座などがリスクを下げる可能性」国立感染症研究所

2020年11月11日

一般的な会食時に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が伝播したと考えられるケースを、国立感染症研究所が実地調査した結果が同研究所のサイトに公表された。飲食店の客については、店舗内に感染者が居合わせることよりも、同席のグループ内に感染者がいることの方が感染リスクが高い可能性があり、一方、スタッフについては常に感染のリスクが存在すると考えられるという。

会食時に新型コロナに感染した事例の研究結果「斜め向かい着座などがリスクを下げる可能性」

飲酒ではなく食事を目的とした会食の事例研究

国立感染症研究所の実地疫学専門家養成コースは、COVID-19集団発生事例に対する調査派遣依頼に対して、都道府県、管轄保健所とともに実地疫学調査を実施してきている。これまでに、35都道府県から述べ120事例(10月9日時点)に対応。今後のCOVID-19クラスター対策に資する情報提供を目的として、このほど「一般的な会食」における集団感染の調査結果が公表された。

なお、「一般的な会食」とは、レストラン、喫茶店、定食屋などであって、飲酒ではなく食事を目的として、未成年も含めて入店できる店舗での集会のこととしている。成人が集団で飲酒を伴う会食を行った場面での感染拡大に関しては、別途まとめる予定という。

集団感染事例3件の詳細

調査された集団感染事例は3件で、2件はテーブル席、1件はカウンター席での伝播だった。店舗の種類は、市中飲食店が2件、レストランが1件で、店員や客のマスク着用状況は、2件は全員着用なし、1件は詳細不明だった。

3件すべてにおいて、発症者と感染者の距離が近かったが、発症者と同じ店舗に居合わせ、別のテーブルに座っていた客で感染が起こった事例はなかった。各事例の詳細は以下のとおり。

3人でレストランでの会食

発症者とテーブルを挟んで対面した2人が感染したケース。

対面距離は1m程度。感染者は発症者の対面で数時間マスクなしで会話。店舗内の他のテーブルを利用した人への感染は確認されていない。

推定された感染伝播の要因:
発症者と同席し、距離が近かったため感染したと考えられた。この3人は、この会食以外にも、同じイベントにも参加していたことから、必ずしも会食が感染の機会だったとは断定できない。

カウンターで4人の会食

カウンターに横並びで4人が着席。カウンター内に店員1名、カウンター外で配膳担当の店員が1名いた。会食者の右から2人目が発症者で、その右(一番右に着席した人)と、一番左に着席した人、および、カウンター外の店員が感染。

隣の人との距離はかなり近く、腕があたる程度であり、店内は隣の知らない人とも気軽に会話する雰囲気。テーブル席を利用した者の感染は確認されていない。

感染しなかったカウンター内の店員は調理のみを行い、客との接触はカウンター越しのみであった。カウンターの座席と調理者の距離は2m程度であり、ついたてなどはなかった。

マスクは全員着用せず。調理用の大きな換気扇があり、部屋全体の換気はできていた。店の広さは20m2程度。

推定された感染伝播の要因:
発症者と距離が近かったため感染したと考えられた。店員の1人は接客により感染した可能性が考えられた。

テーブルで4人の会食

発症者(母)の右横に子1人、正面に甥、右斜め前に子1人(A)が着席し、A以外の2人が感染。母の正面に座っていた甥に対して、母は母自身のスプーンで母のおかずを食べさせた。なお、甥の感染機会はこの食事の時のみ。A(非感染)は、自分自身で食事をした。

推定された感染伝播の要因:
会話での感染だけでなく、感染者とのスプーンの共有で、付着した唾液により感染した可能性も考えられた。

食べている時以外はマスクを

研究グループによると、国内で4月4日までに発生した全61件のクラスターのうち、レストランやバーで発生したクラスターは10件(16%)と件数は比較的少ないという。一方、米国からは、外来受診者における検査陽性者は検査陰性者と比べ、発症2週間以内にレストランで外食している者が、オッズ比で2.4倍と有意に多いことが報告されている。ただ、検査陽性者は、店を訪れた際にマスク着用や身体的距離の確保(ソーシャルディスタンシング)といった感染対策の推奨を、遵守していなかったという。

今回の研究結果からは、一般的な会食の場では、客については同店舗に感染者が居合わせることよりも、同席のグループ内に感染者がいることの方が感染するリスクが高いと推測された。一方、スタッフは店舗内に感染者が居合わせると、配膳、会計、その他の場面で接触する可能性があるため、常に感染のリスクが存在すると考えられるとしている。

なお、今回の調査対象ではないが、国内の高齢者施設の食堂で、互いに斜め向かいになるように着席することが感染伝播抑止につながったと考えられるケースが、参考事例として紹介されている。

これらの報告と今回の調査結果から、一般的な感染対策であるマスク着用、手指衛生、従業員の健康管理、身体的距離の確保、同席のグループ内での身体的距離の確保、飲食中以外の時間(トイレ移動、会計、注文、食後の会話など)におけるマスクの着用、箸やスプーンなどを共有しない――という点に注意することで、一般的な会食においては感染伝播の可能性を下げられると考えられるという。

本調査結果を解釈するうえの制限として、調査対象が4月の流行初期の事例が多く、各種ガイドラインが未制定で感染対策が現在ほど徹底していなかったこと、その反面、緊急事態宣言のため一般的な会食の場に、感染者が居合わせた場面が少なかった可能性、床面積や換気状況などの店舗内環境に関する詳細な調査は行っていないことなどを挙げ、留意が必要と述べている。

関連情報

一般的な会食における集団感染事例について(国立感染症研究所)

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