令和2年(2020年)夏の熱中症救急搬送は6.5万人 新型コロナで年齢構成や発生場所、重症度に影響?
今年の夏(6~9月)に熱中症で救急搬送された人の数は、全国で6万4,869人だったことが、消防庁の統計で明らかになった。これは、昨年同期より2,000人少ない。また、年齢層別にみた場合に高齢者の割合が増加した一方、少年(7~18歳未満)の割合は、昨年の約3分の2に低下した。

総数は昨年から2,000人減
6~9月の全国の熱中症による救急搬送人員を過去のデータを比較すると、2年前に平成30年の9万2,710人がこれまでで最多であり、昨年は3割近く減って6万6,869人、今年は昨年からちょうど2,000人減って6万4,869人だった。減少したとは言え、平成29年以前に比べると高い水準と言える。
熱中症の救急搬送数と死亡者数の年別推移

年齢層別では「少年」の割合が例年より低下
年齢区分別にみると、「高齢者」(65歳以上)が最も多く3万7,528人(57.9%)で、次に「成人」(18~64歳)2万1,756人(33.5%)であり、「少年」(7~17歳)5,253人(8.1%)、「乳幼児」(生後28日以上~6歳)329人(0.5%)と続いている。経年的な変化をみると、例年どおり高齢者の割合が高いが今年はより高く、反対に少年の割合は昨年の12.2%から8.1%へと、およそ3分の2に減少した。
熱中症の発生場所は、高齢者では屋内が多く、若年者は屋外での活動中も発生しやすいことが知られている。コロナ禍による外出自粛が、高齢者に対しては熱中リスクの上昇、若年者にはリスクを低下するように働いた可能性も考えられる。
【年齢区分別】熱中症による救急搬送数状況

発生場所は住居がやや増え、屋外はやや減少
発生場所は、「住居」が最も多く2万8,121人(43.4%)であり、2位は「道路」で1万1,276人(17.4%)。「公衆(屋外)」は6,130人(9.4%)だった。経年的な変化をみると、例年どおり住居の割合が高いが今年はより高く、反対に公衆(屋外)の割合は昨年の12.5%から9.4%へと、およそ4分の3に減少した。この変化は、上述の年齢層別にみた結果と同様に、外出自粛の影響と考えることも可能だ。
【発生場所別】熱中症による救急搬送数状況

重症度では軽症がやや減り、中等症がやや増加
医療機関での初診時の重症度は、外来で診療が終了した「軽症」が最も多く3万9,037人(60.2%)、次いで入院が必要とされた「中等症」が2万3,662人(36.5%)、長期入院となった「重症」が1,783人(2.7%)で、「死亡」は112人(0.2%)だった。経年的な変化をみると、軽症がやや減り、中等症がやや増加したようにみられる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への感染リスクや医療現場の負担を考慮して、軽症段階での救急要請を控えたケースがあったと推測することもできるだろう。
【初診時の傷病程度別】熱中症による救急搬送数状況

人口あたりの搬送者数のトップは鹿児島
人口10万人あたりの救急搬送人員を都道府県別にみると、鹿児島が最も多く80.63人で、次いで熊本が73.40人、鳥取72.37人、和歌山68.81人、岡山68.18人の順。一方、北海道の20.22人や青森の32.72人など、気温の低い地域は少なく、首都圏でも神奈川は36.08人であり比較的少なかった。
【都道府県別】熱中症の人口10万人あたりの救急搬送数

8月後半に集中
救急搬送件数を週ごとにみると、7月下旬から増加し始め、8月に入ると顕著に増えて、お盆からの2週間にピークを迎えていたことがわかる。8月10日~23日の2週間の搬送数は2万6,092人であり、この2週間で6~9月全体の搬送数の4割以上を占めた。
令和2年の熱中症による救急搬送状況(週ごと)

6月〜9月については月報(確定値)を使用。10月1日〜4日については週報(速報値)を使用している
関連情報
令和2年(6月から9月)の熱中症による救急搬送状況(総務省)
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