【アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ 特別対談】コンディショニングが結果を左右する、水泳選手のベストケア
水泳は運動強度の高いスポーツだ。それだけに、トレーニングの種類や量、試合日の条件にみあった体重や体組成の管理が、パフォーマンスに大きな影響を及ぼす。もちろん、参加する種目の泳法や距離によっても、最適な体重・体組成は異なる。トップスイマーは、どのようなコンディショニング戦略をとっているのだろうか。
『アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ』の特別対談では今回、ストレングス&コンディショニングコーチの土黒秀則氏と、公認スポーツ栄養士の宮本和代氏に、水泳選手のコンディショニングの要点を語ってもらった。土黒氏は、国立スポーツ科学センターにて競泳日本代表選手などのトップアスリートを指導してきた経験をもつNSCA認定CSCS、CPT。宮本氏は、コナミスポーツ(株)で長年、水泳アスリートなどの栄養管理を担当し、海外合宿・試合帯同、保護者へのサポートを含めた活動を続けている。
両氏の対談・前編は、女性大学生スイマーの場合、試合に向けてどのように調整すべきか、という具体的なケーススタディからスタートする。
時期にあわせた計画的なトレーニングを
土黒氏によると、大学生アスリートを例にした場合、年に一度の選手権とインカレに向けて日々コンディションを整えたり、練習を行ったりしていることから、試合参加期間を基準に三つのステージに分けて計画的にトレーニングを行うことが重要だという。
「ピリオダイゼーション」といって、いわゆる「準備期」「試合期」「移行期」だ。この三つのうち準備期はさらに、前半と後半に分け、前半は「一般的準備期」としてスクワットやベンチプレスなどのアスリート一般に共通するトレーニングを行い、後半の「専門的準備期」では競泳種目の特性を考慮した内容に切り替える。
土屋氏が危惧するのは、現役の大学生アスリートの「ケア不足」。トレーニングに対するリカバリーが足りていないと感じることが多々あり、疲労回復のためには、筋肉の再生やエネルギー・栄養補給を絡めて考えないと悪循環に陥ってしまう。
一方、そのようなトレーニングを十分に行うには、十分な栄養が必要だ。宮本氏は、練習時間を中心に食事や補食の時間を計画的に組み立てることが大切だと語る。その選手が何を目標にしてカラダづくりをしているのか、それによって、目標体重や目指す体格も決まる。いわゆる「準備期(トレーニング期)」でその目標に到達できるように計画し、減量が必要な場合は夕食のおかずで調整していく。
泳ぐために必要なエネルギーは、やはり米を中心とした炭水化物が大切だと強調する。また、水中での運動は陸上よりもエネルギー消費が大きいものの、条件次第でその差は大きく、トレーニング効果を最適化するには公認スポーツ栄養士に相談すると良いとアドバイスしている。加えて、プールから上がったばかりは体が冷えており、消化吸収力が低下していることも、水泳選手の栄養補給にとって配慮すべきポイントとしている。
そのほか、水泳選手の怪我の予防、ベスト体重にコントロールするための食事の調節の工夫など、多くのエッセンシャルな内容が語られているので、ぜひ本編をご確認いただきたい。
「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」(味の素)
スポーツをする人に必要な「アミノ酸」。スポーツ時に「アミノ酸」が発揮する効果や、スポーツによって起こるさまざまなトラブルについて、科学的にしっかり理解しましょう。「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」は、スポーツに関する情報発信を通じ、スポーツに真剣に取り組むみなさんを応援します。
「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」(味の素)関連トピックス
- アミノ酸を科学的に学べるサイト「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」を公開 味の素
- アスリートにとっての必須アミノ酸「ロイシン」 筋肉コンディショニング効果のエビデンス
- スポーツ時の疲れを防ぐシスチン・グルタミン ミックスとは? その機序と根拠を解説
- 持久力を支えるグリコーゲンローディング、それを支えるアラニンとプロリン
- 脂質からのエネルギー利用を高める「シスチン」とは? 疲れを軽減するエビデンスも
- 運動中に筋肉が減ってしまう!? その理由を知ればアミノ酸の必要性が理解できる
- 努力が実を結ぶトレーニングのために、運動によるお腹の変化を知っておこう!
- 運動パフォーマンスが伸びない時に考えるべき2つのポイント
- 糖質や脂質を有効活用! ミトコンドリア機能を高めて持久力UP!
- アミノ酸を活用したスポーツ栄養のエビデンスを集約、「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」に「新着!サイエンス情報」新設
- 独自配合のアミノ酸素材が関節の違和感・痛み、腱の状態を改善 味の素株式会社が日米の学会で発表
- 体の理想的な動きに必要な「筋肉」と「関節」、そして「腱」とは?
- 関節と腱のコンディショニングにおける6種アミノ酸ミックスのエビデンス
- 「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ 特別対談・前編」パフォーマンスを最大化するトレーニングと食生活
- 「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ 特別対談・後編」適切なコンディショニングがピークを高める
- 公認スポーツ栄養士が解説する「バランスのよい食事と補食のキホン①」
- 公認スポーツ栄養士が解説する「バランスのよい食事と補食のキホン②」
- 特別対談・サッカー前編「高校生サッカー部員が普段したほうが良いこと、試合前にしたほうが良いこと」
- パフォーマンスを発揮するために大切な食事・栄養とは(パートⅠ)
- パフォーマンスを発揮するために大切な食事・栄養とは(パートⅡ)
- ベストなコンディションにするための食事と栄養① コンディションの把握方法
- ベストなコンディションにするための食事と栄養② 調整すべき3要素と試合当日の食事
- ベストなコンディションにするための食事と栄養③ 筋肉のリカバリーとコンディショニング
- “アミノ酸のはたらき”を活用してスポーツを楽しもう! 味の素が「スポーツアミノ酸の日」を制定
- 特別対談・水泳 前編「コンディショニングが結果を左右する、水泳選手のベストケア」
- 特別対談・水泳 後編「水泳アスリートの成長を支えるトレーニングと食事」
- ベストなコンディションにするための食事と栄養④ お腹(腸)のコンディショニング
- ベストなコンディションにするための食事と栄養⑤ ケガ・故障の予防のためのコンディショニング
- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養①<準備期>
- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養②<試合期>
- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養③<移行期(オフシーズン)>