【アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ】パフォーマンスを発揮するために大切な食事・栄養とは(パートⅡ)
北海道文教大学人間科学部健康栄養学科講師で公認スポーツ栄養士である佐々木将太氏の監修による「パフォーマンスを発揮するために大切な食事・栄養とは」というコラムを以前、ここで紹介した。そのコラムは、パフォーマンスを支える重要な要素として筋力に焦点を当て、筋量を増やすための食事・栄養戦略を解説したものだった。
今回紹介するコンテンツはそのパートⅡにあたるコラムで、スポーツパフォーマンスを支えるもう一つの柱である持久力を高めるための食事・栄養戦略が解説されている。
持久力を決める要素にはいろいろあるが、運動のためのエネルギー源の枯渇が最初に考えられるだろう。運動時のエネルギー源は、運動強度や経過時間によって異なるが、主要な物質は糖質であり、体内ではその大半が肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられている。
しかし、グリコーゲンを全てエネルギーに換算したとしても、その量は2,000kcal程度。そのため長時間の持久系スポーツでは、競技中や休憩時間での補給が、後半でのパフォーマンス低下を防ぐ戦略として重要となる。また、競技前の数日間でグリコーゲンの量を高めておく「グリコーゲンローディング」と呼ばれる手法もある。パートⅡのコラムでは、それらの具体的な方法が最新の知見に基づき解説されている。
ふんだんにある脂質をエネルギー源として活用できるか?
ところで、ヒトは糖質(グリコーゲン)のほかにもエネルギー源となる物質を蓄えている。脂質だ。その量はエネルギーに換算すると数万kcalとなり、糖質より桁違いに多い。この脂質をエネルギー源として自由に活用できれば、どんな長時間スポーツでもスタミナ切れの心配は無用だ。
しかし、話はそう簡単ではない。脂質からエネルギーを取り出すには、糖質から取り出すよりも複雑な過程を経なければならず、時間がかかるのだという。ただし一方で、高脂肪食と持久系トレーニングとによって、脂質の利用が増加することや、中鎖脂肪酸の豊富な食品がある種のスポーツのパフォーマンス向上に役立つ可能性も示されている。
とは言っても脂質摂取は体重増加につながりやすく、体重増加は持久系スポーツのパフォーマンスにマイナスの影響を及ぼしてしまう。「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」のこのコンテンツでは、このような複雑な相互関係がわかりやすく解説されている。
「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」(味の素)
スポーツをする人に必要な「アミノ酸」。スポーツ時に「アミノ酸」が発揮する効果や、スポーツによって起こるさまざまなトラブルについて、科学的にしっかり理解しましょう。「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」は、スポーツに関する情報発信を通じ、スポーツに真剣に取り組むみなさんを応援します。
「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」(味の素)関連トピックス
- アミノ酸を科学的に学べるサイト「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」を公開 味の素
- アスリートにとっての必須アミノ酸「ロイシン」 筋肉コンディショニング効果のエビデンス
- スポーツ時の疲れを防ぐシスチン・グルタミン ミックスとは? その機序と根拠を解説
- 持久力を支えるグリコーゲンローディング、それを支えるアラニンとプロリン
- 脂質からのエネルギー利用を高める「シスチン」とは? 疲れを軽減するエビデンスも
- 運動中に筋肉が減ってしまう!? その理由を知ればアミノ酸の必要性が理解できる
- 努力が実を結ぶトレーニングのために、運動によるお腹の変化を知っておこう!
- 運動パフォーマンスが伸びない時に考えるべき2つのポイント
- 糖質や脂質を有効活用! ミトコンドリア機能を高めて持久力UP!
- アミノ酸を活用したスポーツ栄養のエビデンスを集約、「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」に「新着!サイエンス情報」新設
- 独自配合のアミノ酸素材が関節の違和感・痛み、腱の状態を改善 味の素株式会社が日米の学会で発表
- 体の理想的な動きに必要な「筋肉」と「関節」、そして「腱」とは?
- 関節と腱のコンディショニングにおける6種アミノ酸ミックスのエビデンス
- 「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ 特別対談・前編」パフォーマンスを最大化するトレーニングと食生活
- 「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ 特別対談・後編」適切なコンディショニングがピークを高める
- 公認スポーツ栄養士が解説する「バランスのよい食事と補食のキホン①」
- 公認スポーツ栄養士が解説する「バランスのよい食事と補食のキホン②」
- 特別対談・サッカー前編「高校生サッカー部員が普段したほうが良いこと、試合前にしたほうが良いこと」
- パフォーマンスを発揮するために大切な食事・栄養とは(パートⅠ)
- パフォーマンスを発揮するために大切な食事・栄養とは(パートⅡ)
- ベストなコンディションにするための食事と栄養① コンディションの把握方法
- ベストなコンディションにするための食事と栄養② 調整すべき3要素と試合当日の食事
- ベストなコンディションにするための食事と栄養③ 筋肉のリカバリーとコンディショニング
- “アミノ酸のはたらき”を活用してスポーツを楽しもう! 味の素が「スポーツアミノ酸の日」を制定
- 特別対談・水泳 前編「コンディショニングが結果を左右する、水泳選手のベストケア」
- 特別対談・水泳 後編「水泳アスリートの成長を支えるトレーニングと食事」
- ベストなコンディションにするための食事と栄養④ お腹(腸)のコンディショニング
- ベストなコンディションにするための食事と栄養⑤ ケガ・故障の予防のためのコンディショニング
- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養①<準備期>
- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養②<試合期>
- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養③<移行期(オフシーズン)>