米国のエナジードリンク・エナジーショット売上上位75製品に含まれている成分と量の調査結果
米国で流通しているエナジードリンクやエナジーショットの売上上位75製品に含まれている成分と量を調査した結果が報告された。全般的にカフェインとビタミンB群が多く含まれており、成分非公表の“独自ブレンド”も15製品に含まれていた。
エナジードリンクの流通状況には継続的なモニタリングが必要
エナジードリンクは、米国で消費される最も人気のあるパッケージ飲料の一つ。2015年の推定売上高は28億米ドルであったものが、2020年には120億米ドルに成長したことが報告されている。エナジードリンクは摂取とともにエネルギーが補給され覚醒感が向上することを特徴としている。通常、8~16オンス(1オンスは約28.35g)で販売され、カフェイン、ビタミン、アミノ酸、電解質、およびハーブ抽出物などが含まれている。また、エナジードリンクの成分を濃縮したものとして近年は、エナジーショットの人気も高まっている。エナジーショットは通常3オンス程度の内容量だ。
エナジードリンクは1990年代後半に米国内で市場に浸透し始め、当初は活動的な若年成人向けに販売されていた。現在、年齢や性別を問わずに利用され、アスリートや軍人は習慣的に摂取していることが多い。エナジードリンクの摂取率は2003年から2016年にかけて、0.5%から5.5%に増加した。
エナジードリンクにカフェインが多用されているとは言え、コーヒーによるカフェイン摂取量に比べれば、全体の摂取量ははるかに下回る。しかし、エナジードリンクの場合、一回あたりの摂取量が多く、かつ、ごく短時間で摂取されることが多い。これにより、常に安全性に関する懸念が指摘されてきた。また、エナジードリンクにはカフェイン以外の成分も高濃度で含まれていることが少なくない。
総じて、エナジードリンクやショットの人気と消費量は上昇しているため、それらを習慣的に摂取することの影響の継続的なモニタリングが必要とされる。今回紹介する研究は、このような状況を背景として実施された。
売上上位75製品を解析
2021年9月時点で流通しているエナジードリンク/ショットのトップ75製品を、複数の小売Webサイト(アマゾン、ウォールマート、クローガー、ターゲットの4サイト)から抽出した。
選択基準は、エナジードリンクは、エナジードリンクとして販売されていること、エネルギーや集中力を改善することを目的としていること、栄養補助食品として販売されていないこと(サプリメントファクトラベル〈栄養素の強調表示〉はしていない)、すぐに飲み切れる形状であること、少なくとも以下の4つ以上の成分を含むこと(カフェイン、ビタミンB群、砂糖、タウリン、ケルセチン、ガラナ、朝鮮人参、コエンザイムQ10、電解質、分岐鎖アミノ酸)。なお、カフェインを添加したスパークリングウォーターは除外した。
一方、エナジーショットは、エナジーショットとして販売されていること、エネルギーや集中力を改善することを目的としていること、栄養補助食品として販売されていること、少量(3オンス以下)であること、すぐに飲み切れる形状であること、前記の成分のうち少なくとも3つ以上を含んでいることとした。
極めて多量の成分が含まれている製品も
75製品のうち、エナジーショットは20製品、他の55製品はエナジードリンクだった。
非公表成分が含まれている製品はエナジーショットに多い
1製品あたりの成分数は18.2±5.7で、15製品には成分名が公表されていない独自のブレンドが含まれていた。その15製品のうち14製品はエナジーショットであり、エナジードリンクは1製品のみだった。
使われている成分はカフェイン、ビタミンB群が多い
含まれている成分の上位には、カフェインやビタミンB群、タウリンなどが挙げられた。カフェインは解析したすべての製品に含まれており、平均174.4±81.1mg、ビタミンB6は72%に含まれており、平均して1日あたりの推奨量の367±648%パーセント、以下、ビタミンB3は67%に含まれており12.41±69.9%、ビタミンB12も67%に含まれており5,245±10,475%、ビタミンB5は67%に含まれており113.6±76.6%であって、タウリンは37.3%に含まれていた。
特定の成分の解析結果として、ニコチン酸の上限摂取許容量(35mg/日)を超えるものとして6製品の存在が確認された。そのうち5製品はエナジードリンク、1製品はエナジーショットだった。
単回ではなく連続摂取する場合や未成年は、成分をよく確認してから
一連の結果のまとめとして著者は、「いくつかのエナジードリンクとエナジーショットに含まれるビタミンB群の量は、推奨される1日の値をはるかに超える量で存在することがわかったことは注目に値する。消費者は、これらの購入にあたり、仮に習慣的に摂取したり、複数を同時期に摂取することを考えているのであれば、成分ラベルを十分に確認する必要がある。また、カフェインについても、体格が大きくない人、つまり未成年は有害事象のリスク回避に注意を要する」とまとめている。
文献情報
原題のタイトルは、「Prevalence and Amounts of Common Ingredients Found in Energy Drinks and Shots」。〔Nutrients. 2022 Jan 13;14(2):314〕
原文はこちら(MDPI)