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運動誘発性炎症・酸化ストレスに対するタンパク質・アミノ酸の効果 系統的レビュー

運動誘発性炎症および酸化ストレスに対する、タンパク質食品またはアミノ酸サプリメントによる抑制効果を、システマティックレビューで検討した結果が報告された。結論は、「食事性タンパク質またはアミノ酸の介入が、酸化ストレスと炎症という運動誘発性変化を修正できるという、弱く一貫性のないエビデンスが得られた。ただし、これらのデータを報告している研究の多くは研究の主題として検討されたものでないため、さらなる研究が必要」とまとめられている。

運動誘発性炎症・酸化ストレスに対するタンパク質・アミノ酸の効果 系統的レビュー

タンパク質やアミノ酸のもつ、筋タンパク質合成刺激以外の機能性を探る

タンパク質やアミノ酸サプリメントが、運動後の筋タンパク質合成を刺激することに関しては、多くのエビデンスがある。しかし、運動によって誘発される炎症や酸化ストレスに対する効果はまだ明らかでない。

運動誘発性筋損傷(exercise-induced muscle damage;EIMD)の正確なメカニズムはまだ不明だが、機械的ストレスと代謝的ストレスの双方が関与していると考えられている。一方、運動はまた活性酸素種(reactive oxygen species;ROS)や活性窒素種(reactive nitrogen species;RNS)の産生を増やす。

運動後の炎症反応やROSやRNS(RONS)の増加は必要とされる適応反応であり、組織の再生にとっても重要。ただし、過度の反応は細胞機能障害、筋肉機能の回復阻害につながる可能性があり、さらに健康アウトカムへの悪影響も考えられる。これに対して、回復促進および抗炎症/抗RONSを目的とする栄養戦略として、アスリートには、タンパク質ベースのサプリメント、とくにホエイ、大豆、カゼインなどのタンパク質粉末がよく利用されている。しかし既に述べたように、これらが筋タンパク質再合成に有用であることは確かと言えるが、抗炎症/抗RONSという点でのエビデンスは確立されていない。

その理由として、研究によって負荷する運動の種類や程度、トレーニングレベルの相違、介入に用いた食品やサプリメントの種類や用量の相違、評価項目の相違などが考えられる。これらを背景として本論文の著者らは、システマティックレビューによってこの点を検討した。

文献検索の方法

システマティックレビューとメタアナリシスのガイドライン(PRISMA)に則して、MEDLINEとSPORT Discusを用い、それらのデータベースのスタートから2021年6月までに公開された文献を対象として検索を行った。採用条件は、18歳以上の成人を対象とした無作為化比較試験で、タンパク質またはアミノ酸サプリメントによる介入を行い、酸化ストレスまたは炎症マーカーへの影響を評価した、英語で執筆され全文が公開された論文であること。アブストラクトに、介入方法などが詳細に記されている場合も適格とした。一方、患者対象研究、高地などの極端な条件での研究、タンパク質やアミノ酸以外の栄養素による同時介入を行った研究などは除外した。

一次検索で2,065報がヒットし、重複削除後の1,873報を2名の研究者がタイトルとアブストラクトに基づき独立してスクリーニングを行い、180件の研究を全文精査の対象とした。採否の意見の不一致は3人目の研究者が判断。最終的に32件が適格と判断され、その参照文献から2件をハンドサーチで追加し、合計34件を解析対象とした。

現状では、一貫性のない弱いエビデンスという結論に

34件の研究デザインは、19件が並行群間デザインで、他の15件はクロスオーバーデザイン。18件は全タンパク質、16件はアミノ酸による介入を行い、介入回数・期間は単回投与から4週間の範囲だった。

サンプルサイズは8~40人の範囲で平均15人、合計757人で、そのうち女性であることが確認できたのは10人(1.3%)のみだった。年齢は19~40歳の範囲で平均24歳、19件の研究は高度なトレーニングを行っているアスリート、9件はレクリエーションレベルのアスリート、6件はトレーニングを行っていない対象での研究だった。

全研究の評価指標を合計すると50を超える異なるマーカーにより、介入の影響を評価していた。

これ以降、論文中では抽出された研究の詳細を報告している。その中の一部を紹介する。

全タンパク質による介入試験の結果

牛乳成分による介入試験の結果が4件報告されていた。ある研究では、乳タンパク質サプリメント(80g/日)がタンパク質酸化のマーカーであるカルボニル化タンパク質を有意に抑制することを報告していた。それに対して、偏心運動後の500mLの牛乳摂取は、高感度CRP(hsCRP)やグルタチオンと酸化型グルタチオンの比(GSH/GSSG)に影響を与えないという報告もみられた。他の牛乳ベースの3件の研究も、炎症マーカーに影響を及ぼさないと報告していた。

ホエイプロテインサプリメントを使用した12件の研究のうち、2件は抗炎症または抗酸化の好ましい効果を報告し、他の10件は効果がないと報告していた。

植物性タンパク質では、大豆タンパク質分離物1.5g/kg/日の摂取により、持久力運動の48時間後にカルボニル化タンパク質が減少するとの報告があった。一方、大豆タンパク質分離物(21g)を1日2回、40人の男性ボクサーとサイクリストに4週間介入しても、hsCRPなどに有意な影響はみられなかったとの報告もあった。

アミノ酸介入による介入試験の結果

アミノ酸サプリメントを用いた5件の研究のうち、3件は無効、1件はあいまいな効果を報告。1件は、タウリンと分岐鎖アミノ酸(BCAA)を組み合わせたサプリメントにより、プラセボやBCAAと比較して、DNA損傷マーカーである8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)の血清レベルが有意に低下すると報告していた。

このほかに、ロイシン、β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(HMB)、L-カルニチン、L-シトルリン、グルタミン、タウリンなどに関して、有効とする報告と無効とする報告がみられた。

文献情報

原題のタイトルは、「The Effects of Dietary Protein Supplementation on Exercise-Induced Inflammation and Oxidative Stress: A Systematic Review of Human Trials」。〔Antioxidants (Basel). 2021 Dec 22;11(1):13〕
原文はこちら(MDPI)

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