運動パフォーマンスが伸びない時に考えるべき2つのポイント
筋肉の量や筋力を高めることは、多くの競技においてパフォーマンス向上の重要な戦略だ。実際に筋肉量・筋力がパフォーマンスと相関するという科学的データが存在する1)。筋肉量・筋力を高めるには筋肉に負荷をかける「レジスタンストレーニング」が欠かせない。レジスタンストレーニングによって筋肉量が増え2)、筋力が高まることについても3)、科学的エビデンスが確立している。
ただ、やみくもにトレーニング量を増やせば良いというわけではなく、トレーニング効果を高めるために忘れてはならないポイントがある。そのポイントを、立命館大学スポーツ健康科学部・藤田聡教授に解説いただいた。
トレーニングは、栄養、とくにタンパク質との組み合わせが重要
1つめのポイントは、栄養、とくにタンパク質の摂取だ。トレーニングの負荷により失われたタンパク質(アミノ酸)を補わなければ、受給バランスがマイナスになってしまう。トレーニングを習慣的に行っている人では、タンパク質摂取量1.6g/kg/日までは、摂取量が多いほど筋肉量が増えるという関係が明らかになっている4)。
タンパク質(アミノ酸)が足りないと、ダメージからの回復が遅くなる
トレーニングに伴い筋肉に炎症が生じる。炎症は組織の修復に欠かせない正常な反応だが、その程度が強すぎたり長引いたりすると、炎症自体がダメージの原因となる。よって、トレーニングの後にはなるべく早く回復を図る必要がある。
トレーニング後の回復にもやはり、タンパク質(アミノ酸)がしっかり摂取されていることが大切だ。とくに、筋タンパク質合成のスイッチを入れる、必須アミノ酸の一種である「ロイシン」の重要性が最近注目されている5)。
休養(睡眠)もトレーニングの大切なパート
トレーニング効果を高めるためのもう1つのポイントは休養、とくに睡眠だ。睡眠不足になると筋力トレーニングの効果が低下してしまうというデータもある6)。「質の高いトレーニング」とは、しっかりとした栄養と休養に支えられて、はじめて達成されるということだろう。
以上、トレーニング効果を高めるポイントのみを紹介した。より詳しくは、「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」をご覧いただきたい。
トレーニングの効果をより高める大切なポイントは栄養と休養にあり
〈監修者〉立命館大学スポーツ健康科学部 藤田 聡 教授
理想とするパフォーマンスを発揮するには筋肉を「早めに回復する」ことが大切。では、具体的に何をすればいいか?
〈監修者〉立命館大学スポーツ健康科学部 藤田 聡 教授
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- ピリオダイゼーションに合わせた食事と栄養③<移行期(オフシーズン)>
引用文献
- 1)J Appl Physiol (1985). 2009 Jun;106(6):2040-8.
- 2)Eur J Appl Physiol. 2017 May;117(5):853-866
- 3)Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2006 Jun;16(3):233-44
- 4)Br J Sports Med. 2018 Mar;52(6):376-384
- 5)Am J Physiol Cell Physiol. 2009 Dec;297(6):C1434-44
- 6)J Sci Med Sport. 2018 Sep;21(9):959-968