運動中に筋肉が減ってしまう!? その理由を知ればアミノ酸の必要性が理解できる
競技種目によって差はあるが、大半のスポーツは筋肉量や筋力はないよりあったほうが有利だ。筋肉量・筋力をつけるため、多くのアスリートが競技に必要な技術・テクニック向上の練習とは別に、レジスタンストレーニングを行っている。しかし、驚かれるかもしれないが、運動をしているまさにその最中に、筋肉の量が減ってしまう可能性が考えられることをご存知だろうか。今回は、日本体育大学体育学部・杉田正明教授に監修いただき、その理由と対策を解説する。
身体のタンパク質は毎日消費されている
ヒトの身体の細胞は毎日作り替えられている。筋肉の細胞も同じように毎日少しずつ、古くなったものが新しいものに入れ替わっている。いわゆる「新陳代謝」だ。その筋肉はタンパク質から成り、タンパク質はアミノ酸で構成されている。つまり、筋肉の新陳代謝には、アミノ酸が欠かせないということである。アスリートは、この新陳代謝のために、一般成人よりも多くのたんぱく質(アミノ酸)が必要とされる。
なぜ、アスリートのアミノ酸需要は高いのか?
身体活動のエネルギー源として通常は糖質が優先的に使われる。しかし体内の糖質量(グリコーゲン量)には限りがあり、長時間のトレーニングでは不足しやすい。そのようなときに身体はタンパク質を分解しエネルギーを生み出す。この過程で筋肉のタンパク質やアミノ酸が使われる。これが冒頭に述べた「運動をしている最中に、筋肉の量が減ってしまう可能性」の根拠だ。
実際に、グリコーゲンが枯渇した状態で運動を行うと、タンパク質が消費され(異化が亢進し)尿素窒素レベルが上昇することが古くから知られている1)。また、より強く運動したり2)、運動する時間がより長くなったりすると3)、カラダの中のアミノ酸はもっと使われていってしまうというデータもある。
十分なトレーニングを続けるためには十分なアミノ酸の補給が必要であり、それをしなければ、筋肉量が減少してしまうリスクがある。詳細は「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」でご確認を。
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引用文献
- 1)J Appl Physiol Respir Environ Exerc Physiol. 1980 Apr;48(4):624-9
- 2)Proc Nutr Soc. 1994 Mar;53(1):223-40
- 3)Eur J Appl Physiol Occup Physiol. 1976 Dec 6;36(1):39-48