熱中症2021 オリパラ、早い梅雨入り、新型コロナ…今年は早めの熱中症対策が必要か
今年も暑い夏が近づいてきた。そろそろ熱中症対策を始めても早すぎるということはない。今年の夏は、いつもと違う。例年と今年の夏が異なる理由の一つは、東京オリンピック・パラリンピックが開催されること、もう一つは、全国的に梅雨入りが2週間ほど早かったぶん梅雨明けも早まると予測されていること、そして今現在もコロナ禍にあることだ。そこで、今年の熱中症対策に役立ちそうな情報をとりまとめて紹介する。
環境省・気象庁「熱中症警戒アラート」 今年は全国規模での運用開始
環境省と気象庁は、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境が予測される場合に、暑さへの「気づき」を呼びかけ国民の熱中症予防行動を効果的に促す「熱中症警戒アラート」を、4月から運用している。この熱中症警戒アラートは昨年度、関東甲信地方限定で試験的な運用を先行的にスタートしていた。今年度は全国規模で実施する。
全国を58 ブロックに分け、各対象地域内に設置された観察拠点のいずれかで、その日の最高暑さ指数(WBGT)※1が33 以上と予測される場合にアラートが出される。アラート発表は、前日の17 時と当日の5時のデータを基に判定する。
アラートの発表や各観察拠点のWBGTは、パソコンやスマートフォン、および携帯電話で確認可能。情報提供期間は10月27日(水)まで。
※1 暑さ指数(WBGT):気温、湿度、輻射熱(日差し等)からなる熱中症の危険性を示す指標。Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略称。
アラート発表時の予防行動5カ条
熱中症警戒アラートが発表された場合の具体的な対応について、環境省と気象庁は以下の5点を挙げている。
1)外出はできるだけ控え、暑さを避ける
昼夜を問わず、エアコン等を使用して部屋の温度を調整する。不要不急の外出はできるだけ避ける。
2)熱中症のリスクが高い人への声かけ
高齢者、子ども、慢性疾患患者、肥満者、障害者等の熱中症のリスクが高い人の身近にいる人は、それらの人たちに対して夜間を含むエアコンの使用やこまめな水分補給等を行うよう、声をかける。
3)普段以上に「熱中症予防行動」を実践
喉が渇く前のこまめな水分補給。涼しい服装。屋外で人と十分な距離(2メートル以上)を確保できる場合は適宜マスクを外す。
4)外での運動は、原則、中止/延期
暑さ指数(WBGT)に応じて屋外や、エアコン等が設置されていない屋内での運動は、原則、中止や延期を。
5)暑さ指数(WBGT)を確認する
暑さ指数(WBGT)は時間帯や場所によって大きく異なることに注意し、身の回りの暑さ指数を行動の目安にする。なお、政府は今年3月に策定した「熱中症対策行動計画」において、中期的な目標を「熱中症による死亡者数ゼロに向けて、できる限り早期に死亡者数年1,000人以下を目指し、顕著な減少傾向に転じさせる」とし、今年度は「熱中症警戒アラートなどに基づき、国民、事業所、関係団体などによる適切な熱中症予防行動の定着を目指す」ことを目標としている。
関連情報
環境省「熱中症予防情報サイト」:PCサイト、スマートフォンサイト
「熱中症警戒アラート」の全国での運用開始について(環境省)
危険な暑さを事前に知らせるための「熱中症警戒アラート」全国で運用を開始しました!!(政府広報)
東京オリンピック・パラリンピック熱中症予防情報サイトを7月から公開
上記の熱中症警戒アラートに加え、環境省は今年、「東京2020オリンピック・パラリンピック熱中症予防情報」という特設サイトを7月1日から公開すると発表した。
41カ所の競技会場について、それぞれの会場周辺の暑さ指数(WBGT)の予測値・実況値を、数値データ(CSV形式)とともに提供する。データの提供期間は、7月中旬からパラリンピック終了後の9月中旬の予定。
情報提供対象会場には、東京都や千葉、埼玉、神奈川、茨城県内の会場だけでなく、北海道(札幌大通公園、札幌ドーム)や宮城県(宮城スタジアム)、福島県(福島あづまスタジアム)、静岡県(富士スピードウェイなど)といった遠隔地の会場も含まれている。
関連情報
環境省「東京2020オリンピック・パラリンピック熱中症予防情報」 ※2021年7月から
昨年の熱中症も、例年とは異なる傾向があった
今年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下で二度目の夏となる。暑熱環境では、感染症抑止のためのマスク着用が熱中症リスクを上げてしまう。他者との適切な距離を確保のうえ、適宜マスクを外すことが勧められる。
詳細はこちら
マスク着用は熱中症のリスク! 新型コロナ予防と熱中症予防を両立するには?(スポーツ栄養Web)
昨年の夏は、熱中症による救急搬送件数に例年とは異なる傾向がみられた。屋内にいる時間帯が長いと考えられる高齢者の熱中症による搬送は前年どおり高率である一方、屋外で活動することの多い年少者の熱中症は前年の約3分の2に減少していた。また、発生場所も屋外は減り屋内が増えていた。さらに、搬送時点の重症度分類では、軽症が減り中等症が増加し、救急要請を控える傾向の現われとも見れる変化があった。
熱中症の救急搬送数と死亡者数の年別推移
詳細はこちら
令和2年(2020年)夏の熱中症救急搬送は6.5万人 新型コロナで年齢構成や発生場所、重症度に影響?(スポーツ栄養Web)
国内でもCOVID-19ワクチン接種がスタートしたが、いまだ先行接種(医療従事者)以外の接種対象者は高齢者のみだ。海外では、ワクチン接種後の人はマスク着用不要とするアナウンスが公的機関から発せられ始めているものの、東京2020までに国内がそのような状況になることを期待するのは難しそうだ。
来年の夏は、堂々とマスクを外してスポーツに参加できるようになっていることを願いつつ、今年は万全な対策で熱中症と感染リスクを抑え込みたい。
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